【治験を実施する上での注意点。治験を行うときの注意点。治験実施のポイント。】

治験の流れ(5)
5.治験中のモニタリングについて(適宜発生する事項)





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【主な作業の流れ】
1)症例登録依頼

2)治験実施医療機関、治験責任医師の要件維持の確認

3)治験実施計画書遵守の確認

4)直接閲覧

5)外部監査実施

6)治験薬の使用状況の確認

7)治験薬の使用法の説明・指示の確認

8)症例報告書の回収・点検・修正・固定

9)未使用薬の回収及び治験薬を依頼者へ返却
●下記2点が治験期間を通して継続していることを確認する。

・医療機関および責任医師が治験を適切に実施するのに求められる要件を満たしていること。

・検査室や必要な装置およびスタッフを含む設備が、治験を安全かつ適正に実施するのに十分であること。


医療機関の要件(答申5‐1‐1に該当)が維持されているか

@開催されたIRBが要件(省令第27〜34条)を満たしていること。

A当該治験が安全にかつ科学的に実施されていること。

B責任医師、分担医師、薬剤師、CRC等当該治験スタッフが人事異動等により変更がないこと。

C治験薬管理者が治験薬の性質およびプロトコルを理解し、当該治験薬の適切な保管、管理および調剤等を実施していること。

D記録等の保存を適切に行なっていること。


上記の項目は、施設SOPや治験事務局、CRC、薬剤部等より確認することができる。

・施設SOPは度々改訂が行われることがあるため、施設SOPが改訂された際に、通知していただくよう予め依頼し、改訂されたら改訂版(写)を入手して、医療機関選定時に確認した要件等に変わりがないこと、改訂版に沿って治験が実施されていることを確認する。

なお、施設SOP(写)の提供を拒否された場合は、閲覧確認でもやむを得ないが、モニタリング報告書にはその旨記載する。

・責任医師、分担医師、治験事務局やCRCに対し、治験を行なうための基準要件に関わる変更(職名変更等)が行われた際には、モニターに連絡して頂くように事前に要請しておく。
●注意点

・医療機関の長は、人事異動等による責任医師等の変更がある場合には依頼者に事前に連絡する旨、規定はされているが(省令第36条第1・2項解説)、モニターは受け身の姿勢ではなく、モニターの方でも積極的に、該当事項発生の有無を調査する必要がある。

・IRB委員に変更があった場合、変更後のIRBがIRB構成要件に合致するかを確認すること。(継続審査時)

・IRB委員の変更については、治験審査委員会の設置者が保存する記録 1)委員名簿 〔2.1-1〕
及び、治験の継続に関する医療機関の長の指示、決定に関する文書〔7.2〕 に添付されている治験審査委員会の治験の継続に関する通知文書〔6.3〕の写しに委員の名前が記載されているので、それを見ることによって委員の変更の有無を確認する。
治験責任医師の要件(再掲)

@治験を適切に行うことが出来る十分な教育および訓練を受け、かつ十分な臨床経験を有すること。

A治験実施計画書、治験薬概要書及び治験薬の適切な使用方法に十分精通していること。

B当該治験を実施に際し、GCP及び治験実施計画書を遵守できること。

C依頼者によるモニタリング及び監査並びにIRB及び規制当局による調査(原資料等の直接閲覧を含む)を受け入れる意思があること。

D治験を行うのに必要な時間的余裕を有すること。

E目標症例数(適格な被験者)を合意した治験期間に実施できること。

F分担医師及び協力者等の適格なスタッフを確保できること。
治験を行うことが出来る十分な教育および訓練を受け、かつ十分な臨床経験を有する。
*********治験に関する質問と答え**********

Q1: 要件が維持されていることについて、いつ、どのように確認するのですか?

A1: 適宜、CRCや治験事務局、その他依頼者のMR、医療機関の人事担当者に訪問や電話等にて確認します。
直接責任医師に聞くことはあまりありません。

また、3月末や年末には、組織の編成、(転勤・出向・退職等の人事異動)等、医療機関内で様々な変化が生じることが多く、病院の人事担当者等に医師の職名変更の有無を確認する必要があります。

またIRB委員についても同様に確認する必要があります。
IRB委員の異動については、指名記録やIRB出欠リストにより知り得ることがあるので、しっかり内容確認を行なうことが必要です。

その他、院内検査を実施している場合、検査機器や試薬の変更によって、院内基準値が変更される場合があるので検査科への確認が必要です。

いずれにしても、日頃から医療機関や医師の変化を敏感に感じ取れるように心がけ、気付いた時にはすぐに確認し、必要に応じて手続きを実施します。
そして、その経緯を含め全てをモニタリング報告書に残すことが必要です。

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*********治験に関する質問と答え**********

Q2: 医師の「時間的余裕」はどのように確認するのですか?

A2: 責任医師には、教授や助教授准教授、診療科部長等、職位の高い先生が就くことが多く、診療や手術、講義等の通常業務で大変忙しいのが現状です。

そのため、面会のためにいかに時間を割いていただくか、あるいはいかに空いている時間をモニターがかぎつけるかがポイントとなります。
例えば、外来の診療時間および外勤を確認する等、医師のスケジュールをチェックしておくことが必要となります。

稀なケースですが、施設によっては、履歴書に責任医師の診療時間や診療日数を記載する欄があることもあります。
その他、他の治験を何件されているか、その件数も判断基準として考えられます。どうしてもアポイントが取れない場合は、PLに相談し、対策を考える必要があります。

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*********治験に関する質問と答え**********

Q3: 責任医師、分担医師、薬剤師、CRC等当該治験スタッフが人事異動等により変更になった場合どのようにすればよいか?

A3:責任医師が変更になった場合には、責任医師との治験に関する合意(作業2)、および治験審査委員会の審議、および契約(作業3)を行う。分担医師または他のスタッフが変更になった場合には、作業3を行い、契約書または契約書の代わりに覚書を締結する。

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●具体的な行動

責任医師および分担医師が、医療機関の長の指示、決定および承認されたプロトコルに従って治験を実施している事を確認する。

プロトコルからの逸脱の有無を、担当医師から口頭で確認、または直接閲覧時に原資料により確認する。

確認する項目としては以下のものが挙げられる。


被験者からの文書同意の取得(同意文書の保存を確認する。電子カルテの場合に注意)

同意取得以前に、治験のための検査や投薬、観察、ウォッシュアウト等が事前に行われていないことも確認する。
加えて、同意・・説明文書が改訂されている場合は、改訂版で再同意が取得されていることを確認すること。

・選択基準への合致

・除外基準への抵触

・検査の未実施(ズレや欠測)

・併用禁止薬の使用

・併用制限薬の使用方法

・治験薬の投与経路・投与方法・服薬方法等の間違い

・評価のズレ(適切格な評価日に評価されているかどうか)

上記において逸脱がみられた場合には、「症例および症例データの取り扱い基準書」に従って対応する。

プロトコル遵守の確認を行うことも重要であるが、逸脱を未然に防ぐ対策を講じることが最も重要である。

特に、担当医師毎の組入れ1症例目については、エントリー後すみやかに直接閲覧を実施し、被験者組入れの妥当性を確認する。


 
■■■5−2.治験実施計画書遵守の確認
【事前準備】

直接閲覧の実施を依頼する際に、医療機関によって以下の手続きが必要となる場合がある。

・依頼者から医療機関へ「直接閲覧申請書」等の提出

・医療機関(事務局)から「直接閲覧許可書」等の入手

・依頼者から医療機関(事務局)へ「直接閲覧結果報告書」の提出
■■■5−3.直接閲覧
*********治験に関する質問と答え**********

Q1: プロトコルの逸脱を防止するためにはどうすればいいですか?

A1: 責任医師・分担医師に合意を得る段階やガイダンス時に、詳しく説明しておくことが重要となります。

同様に、薬剤部、CRC、検査部等の関連部署に対して詳しく説明することも重要です。

また、施設訪問時にその時点までの逸脱の有無を確認した上で、問題点・疑問点があれば再度説明することも必要です。

その他、逸脱を防ぐために、プロトコル概要の携帯版、診療場所(外来等)で使用できる治験スケジュールカードなどのアイテムを用意することもあります。

特に担当医師1〜2症例目の被験者が登録される前後は、最も重要な時期なので、こまめに施設を訪問することが大切です。

また、プロトコルに沿った症例ファイルを提供し、検査項目欠落等の逸脱を未然に防ぐことも重要です。

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●直接閲覧対象資料 ⇒ 準備依頼先

・医療機関が保管する治験に係る文書又は記録(契約・手続き関連資料を含む)⇒ 記録保管担当者(治験事務局等)

・責任医師保管の治験に係る文書又は記録 ⇒ 治験責任医師

・治験薬の管理に関する資料 ⇒ 治験薬管理者

・原医療記録 ⇒ 責任医師、分担医師、CRC

*上記は一例であり施設により異なるので注意する。



*規模の大きい施設では、カルテやX線フィルム等は、通常の保管場所以外の場所に持ち出されている場合がある。
この場合、借り受けるまでに時間がかかるため、スケジュールを確認した上で余裕をもって直接閲覧申請書(又は直接閲覧実施連絡票)(又は直接閲覧実施連絡票)を提出する申請書を提出する必要がある。
被験者の来院予定日には、カルテが出庫されていることが多く、閲覧が難しくなる可能性が高いので注意が必要である。
また、入院患者のカルテ等も直接閲覧当日に使用中であったり、あるいはすぐに返却しなければならないことがある。

 ●直接閲覧は、2種類に分けられる。

1)SDV(Source Document Verification)
  「直接閲覧による原資料との整合性の確認」のことであり、治験を評価する上でCRFと施設が保管する原資料(カルテ等)を照合・確認する。

2)DA(Direct Access)
照合すべき対象となる文書はないが、被験者情報や施設の治験実施体制等の確認をするために、医療機関の保有する記録、文書等を閲覧することを言う。

例えば、『@カルテの閲覧による選択基準や有害事象、逸脱の確認、A施設で保管されている治験に係る文書又は記録の確認、B原資料の閲覧、CCRFの閲覧』等がある。

施設では、DAおよびSDVを一括して「直接閲覧」という言葉で表現している。

すなわち、言葉の区別が無いため、直接閲覧を依頼する場合は、5W1Hに従い正確に依頼内容を施設に伝える事が必要である。



直接閲覧を行う際に、医療機関に持参する備品は以下のようなものが挙げられる。

<DA(治験に係る文書又は記録の直接閲覧を除く)・SDV>

・医薬品集(今日の治療薬、治療薬マニュアル等)
・カルテ用語辞典
・医学用語辞典
・電卓
・付箋
・チェックリスト
・治験実施計画書及び症例報告書の作成、改訂の手続きに関する文書記録記録〔11.1-3〕
・CRFまたはCRFのコピー(未回収の場合は医師・CRCに準備して頂く)
・カレンダー(手帳等の小さいものがよい)



●注意点

以下の項目について確認する。

<DA(治験に係る文書又は記録の直接閲覧を除く)の時>

・CRFに記入漏れがないか。

・CRFへの記載が症例報告書の変更又は修正の手引き書〔9.1-3〕 に従って行われているか。

・すべてのAEが記載されているか、SAEに該当するものが存在しないか。

・プロトコルからの逸脱の有無を確認する。逸脱事項があれば責任医師に指摘し、その経緯および理由を調査の上、その改善策を協議・指示するとともに、その結果をモニタリング報告書に記録する。その結果をモニタリング報告書に記録する。なお、緊急の危険を回避するための逸脱の場合は、なお、緊急の危険を回避するための逸脱の場合は、治験実施計画書からの緊急の逸脱又は変更の記録〔34〕
の作成を依頼し入手する。

・緊急の危険を回避するため緊急の危険を回避するため以外の逸脱については、以外の逸脱については、GCP上、GCP上、カルテなどから確認できれば問題なく、カルテなどから確認できれば問題なく、当該事項の記録を目的とした文書を別途作成する必要はないとされているが、当該事項の記録を目的とした文書を別途作成する必要はないとされているが、施設SOPに準拠して対処する。施設SOPに準拠して対処すること。

・登録された被験者の全ての中止例・脱落例が記載され、その理由が説明されているか。

・訂正・修正があった場合、訂正・修正日と署名または捺印(場合により理由)がされているか。

・分担医師が作成したCRFを責任医師が確認した上で記名・捺印、または署名されているか。


<SDVの時>

DA(必須文書の直接閲覧を除く)の時に確認する項目に加えて、以下の項目を確認する。

・治験薬の用量や治療法の変更があった場合、その全てが各々の被験者について記録されているか。

・プロトコルが要求するデータがCRFに正確に記載され、それらが原資料と一致しているか

・原資料との矛盾があった場合には、責任医師または分担医師に確認した後、症例報告書の変更又は修正の手引き書〔9.1-3〕
に従い、CRFの変更または修正を依頼する。あるいは、原資料との矛盾を説明した記録〔38.1-1〕 の作成を依頼・入手する。

・AE、併用療法および合併症、既往歴がプロトコルに従って記載されているか。

・被験者が規定通りに来院しなかった日や検査が実施されなかった場合その旨が記載されているか。

<DA(治験に係る文書又は記録の必須文書の直接閲覧)>

・医療機関(責任医師、医療機関の長、治験薬管理者、IRB事務局)が保管すべき文書が保管されているか。


【具体的行動】

●責任医師および分担医師が作成したCRFの記載内容について、原資料と一致していることを直接閲覧により確認する。

●直接閲覧は、CRF内での記載方法が誤っていないかを確認する場合(カルテ等の原資料不要)と、CRF記載内容とデータとの整合性の確認を行なう場合(カルテ等原資料必要)に分類される。

*********治験に関する質問と答え**********

Q:原資料、特にカルテを直接閲覧したい場合の申請はどうしたらいいのですか?


A:施設によっては(開業医等の場合)、直接閲覧の申請は必要ない場合があります。

また、統一書式を採用している施設でも申請は必要ありませんが、また、統一書式を採用している施設でも申請は必要ありませんが、「直接閲覧実施連絡票」を使用している場合もありますので、「直接閲覧実施連絡票」を使用している場合もありますので、施設SOPに準拠して対処してください。

施設SOPに準拠して対処してください。

規模の大きい施設では、カルテが保管庫に保管されている場合があり、出庫のために申請が必要な場合もありますもありまになります。

また、またすなわち、カルテを閲覧したい場合、「どの時期からどの時期まで、どこの科の何を見たいのか」を正確に施設に伝える必要があります。

また、直接閲覧の申請をどこの誰に対して確認するのかを予め、治験事務局の方に聞いておくなどの調査をしておくことが必要です。

なお、直接閲覧申請書や直接閲覧報告書は「治験に係る文書又は記録」には該当しませんので、「治験に係る文書又は記録」には該当しませんので必須文書ではなく、施設SOPや合意SOP、モニタリング手順書等にそれら文書の作成が規定されていない場合は、モニタリング報告書等に閲覧結果を記載しておくことが必要とされます。

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●注意点

監査は監査計画書に基づいた項目について行われる。
具体的項目は依頼者や監査目的により異なる。
ただし、必ず行われる監査項目は施設保管の治験に係る文書又は記録の確認である。
その時までに、モニターは適宜モニタリング時に直接閲覧を実施し、施設に治験に係る文書又は記録が適切に保管されているかを確認しておかなければならない。


施設SOPによって、治験に係る文書又は記録等の直接閲覧、または監査不可である旨が規定されている場合がある。
この事項に関しては、施設選定時に確認しなければならない事項の一つである。
また、直接閲覧、または監査が出来なければ、その施設で入手したデータは信頼性のないデータと見なされるため、通常は治験実施施設として不適格と判断される。

*********治験に関する質問と答え**********

Q1: 監査はどの時期に行われますか?
A1: 目的により時期は様々ですが、治験開始前時、治験薬投与時、
治験終了時に行うことが望ましいと考えられています。なお、必ず監査を行わなければならない時期は、治験終了時です。

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*********治験に関する質問と答え**********

Q2: 監査は全施設で行われますか?

A2: 監査は全施設で行われることはありません。一般的に√N(全施設数)若しくは√N+1数の施設を監査します。
(治験依頼者ごとに考え方は違います。)

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*********治験に関する質問と答え**********

Q3: 監査施設の選定方法はありますか?

A3:症例が多い所や今までに実地調査を受けていない施設、SAEが発生している施設を監査対象とすることが多いです。

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*********治験に関する質問と答え**********

Q4: 監査対象項目には何がありますか?

A4: 各社各様です。たとえば・・・

監査項目(監査の対象)

・治験実施の社内手続き(被験者に対する補償、医学専門家の選定を含む)

・プロトコル(案)、CRFの見本(案)および被験者への同意説明文書(案)および治験薬概要書(案)の作成

・責任医師、治験実施医療機関、調整医師の選定

・治験の依頼・契約〜終了および中断・中止・開発中止

・治験薬の管理

・安全性情報

・CRF

・データマネジメント及び症例固定

・統計解析


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●医療機関での治験薬の取扱いおよび保管・管理が、治験薬の管理に関する手順書〔21.1〕に従って医療機関での治験薬の保管・管理記録〔32.1〕 に適切に記録されていることを、治験途中の段階で訪問により確認する。

また、併せてその時点の医療機関での治験薬の保管・管理記録〔32.1〕 の写しを入手しておくとよい。

そして、不備があれば指摘すること。


・治験薬の取扱い手順書に記載されていることは全て大切であるが、被験者への処方方法、並びに保管場所や保管方法の遵守は特に確認が必要である。

・施設での治験薬払い出しやその後の流れに不備や問題がないかを確認することも必要である。
■■■5−5.治験薬の使用状況の確認 
*********治験に関する質問と答え**********

Q:治験薬がきちんと管理されているかの確認は、随時行うのですか?

A:モニタリング手順書に記載されていることがあるので、その場合は手順書に従ってください。

治験実施中にある程度の間隔で医療機関での治験薬の保管・管理記録〔32.1〕 を入手して確認するべきである。

治験薬の使用数及び残薬数と、プロトコル上その時点までに予定されている治験薬の使用数及び残薬数とが一致していることを確認し、もし不整合が生じていれば早期にそれを把握することが目的である。なお、あまり頻繁だと薬剤部に嫌がられるので頻度には留意すること。

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治験薬の管理に関する手順書〔21.1〕

医療機関での治験薬の保管・管理記録について

(答申5‐2‐6‐3、5‐2‐6‐4に該当)

・医療機関が、治験薬受領、医療機関での在庫、被験者ごとの使用状況および未使用治験薬の依頼者への返却、または、それに代わる処分に関して、医療機関での治験薬の保管・管理記録〔32.1〕
を作成し、保存していることを確認する(治験薬取扱い手順書に従って記録・作成および保存していることを確認する)。

・この記録には、
@日付
A数量
B製造番号または製造記号
C使用期限(必要な場合)
D治験薬および被験者識別コードが記載されている。

・さらに、プロトコルに規定された量の治験薬が被験者に投与され、また依頼者から受領した全ての治験薬の数量が正しく管理された医療機関での治験薬の保管・管理記録〔32.1〕および治験薬の投与記録〔32.2〕が作成され、保存されていることを確認する。
これらの記録の写しを入手する際は被験者のプライバシーを留意し、被験者名をマジックで消す等の措置をして、個人を特定できない工夫が必要である。


【具体的行動】

モニターは、責任医師または分担医師が、プロトコルに定められている治験薬の使用方法を被験者に対して説明・指示をしていることを確認する。


【注意点】

被験者に適切な説明がなされているかを直接医師に確認することが必要である。間接的にモニターには、以下の点を確認する。

・医療機関での治験薬の保管・管理記録〔32.1〕で治験薬の使用数および残薬数と、プロトコル上その時点までに予定されている治験薬の使用数および残薬数とが一致しているかを確認。
また、医療機関での治験薬の保管・管理記録〔32.1〕の写しを入手する。

・カルテや処方箋を直接閲覧し、処方(投与)方法に誤りが無いかを確認。

・責任医師または分担医師、CRC、薬剤師に被験者のコンプライアンスを口頭で確認

・服薬記録がある場合は、それを確認する。


■■■5−6.治験薬の使用法の説明・指示の確認
●以上の確認事項から説明指示が徹底されていないようであれば、再度使用方法について責任医師、分担医師、CRC、薬剤師に対し説明を行なう。

また、必要な場合は、カルテシール等を作成し、処方内容・被験者への説明事項について正確な記録が残るような対策をとる。


複数の治験を実施している施設では、モニターが治験薬保管場所を逐一確認することは、他の治験との関係上難しいことがある。

そのような場合、保管管理状況や用法・用量が徹底されているか確認できるように、予め治験薬管理者等と打ち合わせをしておく必要がある。


【備考】

●「カルテシール」とは、プロトコルにある検査の欠測・記入もれ等の防止を目的として、CRFに記載すべき内容でカルテに記載漏れの可能性のある内容の記載欄等を、そのままカルテに貼れるようにしたシールのこと。
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