【治験を実施する上での注意点。治験を行うときの注意点。治験実施のポイント。】

治験の流れ(9)
9.有害事象発生・継続審査





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■■■9−1.有害事象

■■■9−2.副作用
・モニターは実施担当医療機関で生じた全ての有害事象について、プロトコル、IRB、治験依頼者及びGCPによって要求されている期間内に適切に報告されていることを確認する。

・モニターは担当医療機関で発生した重篤な有害事象(SAE)について、早期に直接閲覧にて確認を行う

・モニターは海外や他機関他医療機関で生じた重篤な有害事象や重篤な副作用薬について、責任(分担)医師等、治験協力者および医療機関の長(事務局)に報告する。

・有害事象とは治験薬がを投与された際に被験者に生じた起こる、あらゆるすべての好ましくない又、または意図しない疾病又はその徴候(臨床検査値の異常変動を含む)をいい、症状または病気のことであり、当該治験薬との因果関係の有無は問わない。

・治験薬においての副作用とは、当該治験薬と有害事象との間の因果関係について、少なくとも合理的な可能性があり、因果関係が否定できないもの反応を指す。


・SAE重篤な有害事象または重篤な副作用とは、治験薬が投与された(投与量に関わらない)際に生じたあらゆる好ましくない医療上の出来事のうち、以下のものをいう。(薬事法施行規則第273条)

@死亡

A死亡につながるおそれのあるもの症例Q2

B治療のために病院または診療所への入院または入院期間の延長が必要とされるものQ3(治療のために入院したが、特に処置を行っていない場合も含む。検査を行うための入院またはその期間の延長は含まれない)

C障害(日常生活に支障を来す程度に機能不全の発現を示すもの、永続的または顕著な障害もしくは機能不全に陥る症例)

D障害につながるおそれのあるもの症例

E @〜Dに準じて重篤なもの

F後世代における先天性の疾病または異常を示すもの症例

実施医療機関で有害事象が発生した場合、全体として以下のような業務が発生する。


1)有害事象発生
    ↓
2)担当医師による判断(重篤か否か)
    ↓
3)医師は速やかに依頼者と医療機関の長に報告(速報)する(医師)
    ↓
4)後日、治験責任医師からの有害事象報告〔43.1、43.2〕 を依頼者と医療機関の長に文書による詳細な報告(詳報)を行う(医師)
    ↓
5)モニターは発生した有害事象について、早期に直接閲覧を行う行い、詳細を確認する。
    ↓
6)発生した有害事象が未知であるか、既知であるかの検討を行う。
依頼者は既知・、未知、因果関係を判定する。
責任医師・依頼者の両方が因果関係を否定した事象については他の医療機関(実施医療機関の長・責任医師)及び規制当局への報告対象外である。
    ↓
7)因果関係を否定できない未知である又は既知であるが死亡の場合
    ↓
8)規制当局に当該SAEを報告する。
    ↓
9)依頼者は、SAE(重篤な副作用)の発生となり、全ての医療機関の長および、責任医師および規制当局に重篤で予測できない副作用等の報告〔46.21〕
にて速やかに報告する。
    ↓
10)治験継続の可否をIRBで審議する。


【まとめ】

・有害事象とは治験薬が投与された際に起こる、あらゆる好ましくない、または意図しない徴候(臨床検査値の異常変動を含む)、症状または病気のことであり、当該治験薬との因果関係の有無は問わない。

・治験薬においての副作用とは、当該治験薬と有害事象との間の因果関係について、少なくとも合理的な可能性があり、因果関係が否定できないものを指す。
他施設でSAE重篤な副作用が発生し規制当局への報告対象となるた場合、医療機関の長および責任医師に安全性情報としてを提出する。
また、IRBでの審議を依頼する。

・他施設でSAE発生した場合、担当施設の責任医師に、上記の情報を踏まえて治験継続について問題がないか、同意・説明文書の改訂の要否について確認を行う。

・同意・説明文書の改訂の有無について確認を行う。治験参加中の被験者にがいた場合、責任医師にSAEに関するから当該情報を伝えてもらい、治験参加継続の意思を確認し、その結果を診療録に記録してもらう。
また改訂された同意・説明文書が、IRB承認された後に、同意・説明文書(改訂版)を用いて、再同意を文書で取得する。

・以上は個別症例の報告に関する手順である。

これとは別に、依頼者は6ヵ月毎に、因果関係を否定されたSAEも含めて規制当局へ定期報告を行うので、その報告内容についても全医療機関(医療機関の長・責任医師)へ報告する必要がある
(報告手順など詳細については、事前に依頼者へ確認しておくこと)。
【重要】

・治験における重篤な副作用の規制当局への緊急報告は重篤度重篤区分により、以下のように分けられる。

●治験薬概要書から予測できない
・死亡
・死亡につながるおそれのあるもの

以上は情報を知りえた日から7日以内に報告


●治験薬概要書から予測できない
・治療のために病院または診療所への入院または入院期間の延長が必要とされるもの
・障害(日常生活に支障を来す程度に機能不全の発現を示すもの、永続的または顕著な障害もしくは機能不全に陥る症例)
・障害につながるおそれのあるもの
・上記に準じて重篤なもの
・後世代における先天性の疾病または異常を示すもの

予測できる
・死亡
・死亡につながるおそれのあるもの

以上は情報を知りえた日から15日以内に報告
 
 
**********治験に関する質問と答え************

Q1: SAE重篤な有害事象が発生した時に行う直接閲覧では、どういったことを確認するのですか?

A1: 医師から受領した、重篤な有害事象SAEの速報と詳報について、原資料と整合性があるかどうかを確認します。
確認する時期は、なるべく早い時期が好ましいです。
速報と詳報は、様式、記載内容、報告時期がプロジェクトにより大きく異なるので、事前に確認してください。

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**********治験に関する質問と答え************

Q: 速報の報告は責任医師からでなくても良いのですか?
重篤な有害事象が発生した時に行う直接閲覧では、どういったことを確認するのですか?
「死亡につながるおそれのある症例」とは、どのように考えたらよいか?

A: 医師から受領した、重篤な有害事象の速報と詳報について、原資料と整合性があるかどうかを確認します。
確認する時期は、なるべく早い時期が好ましいです。
速報と詳報はプロジェクトにより大きく異なるので、事前に確認しておく必要があります。
詳報の報告については、省令第48条2項により責任医師から報告すると定められていますが、速報についてはGCP上特に定められていませんので、分担医師からでも報告は出来ます。
ただし、プロトコールによっては速報も責任医師から報告すると定められている場合もありますので、注意が必要です。
ICHの規定の「生命を脅かすもの」に該当し、その事象の発現時点において患者が死の危険にさらされている場合をいう。
仮にもっと重度であれば死を招いたかもしれないという意味ではない。

(副作用等報告に関するQ&Aについて 平成18年5月31日事務連絡)

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**********治験に関する質問と答え************

Q: 「治療のために病院又は診療所への入院又は入院期間の延長が必要とされるもの」とは、どのように考えたらよいか重篤な有害事象が発生した時に行う直接閲覧では、どういったことを確認するのですか?

A: 医師から受領した、重篤な有害事象の速報と詳報について、原資料と整合性があるかどうかを確認します。確認する時期は、なるべく早い時期が好ましいです。速報と詳報は、様式、記載内容、報告時期がプロジェクトにより大きく異なるので、事前に確認しておく必要があります。ICHの規定の「治療のための入院又は入院期間の延長が必要であるもの」に該当する。副作用治療のために入院又は入院期間が延長になった場合であり、副作用治療のため入院したが特に治療を行っていない場合(安静治療)も該当する。例えば、アナフィラキシーショック、偽膜性大腸炎で入院した場合等が該当する。なお、検査を行うための入院又はその期間の延長、副作用が治癒又は軽快しているものの経過観察のための入院は含まない。
(副作用等報告に関するQ&Aについて 平成18年5月31日事務連絡)

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■■■9−3.治験薬割付けコードを早期に開封した場合
・モニターはプロトコル治験実施計画書に定められた手順によって開封が行われていることを確認し、責任医師に予定より早い治験薬割付けコードの開封記録の作成を依頼する。

・盲検法による治験において重篤な有害事象SAE等が発生し、責任医師が割り付けられた治験薬の種類を知る必要が生じた場合、緊急用薬剤エマージェンシーキーコードの開封が行われる。

・盲検法による治験において予め定められた時期よりも早い段階での開封(事故による開封、SAE重篤な有害事象のための開封等)を行った時は、責任医師はこれをその理由とともに速やかに文書に記録し、依頼者に提出する。(答申6‐2‐8‐4)

・盲検下の治験では、依頼者は治験薬のコード化および包装に際して、医療上の緊急時に当該治験薬がどの薬剤であるかを直ちに識別できるようにし、かつ盲検性が破られたことを検知できるようにしておかなければならない。(答申8‐1‐9‐4)

・緊急用薬剤エマージェンシーキーコードを開封する場合には即時性が大切なのであるため、24時間体制で開封できる方法が考慮されている必要がある。24時間対応のため、エマージェンシーキーコードの保管・管理を業者に委託している場合もある。

・事故による開封や紛失においても開封となるため、責任医師に十分注意して頂くように予めコードの設置設定手順も含めて説明しておくこと。

■■■9−4.健康被害に対する補償
・治験に関して被験者に生じた健康被害(治験に係る業務の一部を委託した場合における当該委託業務により生じた健康被害を含む)の治療に要する費用その他の損失の補償履行を確保するために、保険、その他の措置を講じてあるかを確認する。

・健康被害に関する申し出・訴えの情報を責任医師・分担医師より因果関係も含めて入手

・施設事務局及び依頼者へ報告

・被験者保護の立場から、発生した費用(有害事象に対する医療費、入院費、必要な交通費等)を一時的に支払う必要性の有無、その他について検討する。(依頼者)

・依頼者から検討結果を受ける。

・医療機関を通じて被験者への対応を行う。

・治験との因果関係が否定されれば、補償対象外である(治療は行う)。
当初は否定できなくてもその後の追加情報から否定された場合は、否定された時点以降が補償対象外になる。


【注意点】

治験に関して被験者に健康被害が生じた場合には、過失によるものであるか否かを問わず、被験者の損失は適切に補償されなければならない。
その際、因果関係の証明等について被験者に負担を課すことがないようにすること。


●GCPの精神に基づき、有害事象に基づく治療費等の支払いをすることになった場合は、速やかに行うことが望ましい。




**********治験に関する質問と答え************

Q :依頼者が保険に入っておれば、CROは保険に入らなくていいのですか?

A :健康被害に関してCROは依頼者と共同で補償の責任を負うことになり、依頼者との間で補償についての取り決めをしておかなければなりません。
CROは、自らが責任を取れるように、別途、保険に加入する等、適当な措置を講じなければなりません。

【GCP関連 Q&A網羅集 平成14年4月版より抜粋】

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■■■9−5.継続審査
治験期間が1年を経過する場合

・責任医師に治験の現況の概要に関する文書の作成を依頼する。
   ↓
・IRBによる審査
   ↓
・継続審査結果を確認し、医療機関の長から次の必須文書治験に係る文書治験に係る文書を入手する。

・なお、承認の場合は治験継続、条件付き承認の場合はその理由を検討し、プロトコルの改訂等の対応をする


【注意点】

・治験期間が1年を経過する場合一般にの審査を継続審査という。
その他は継続の可否を問う審査と呼ばれている。

・年度契約の場合、1年未満でも更新時に行うことが多い。


●継続の可否を問う審査継続審査の対象となる事事項事項項

・治験期間が1年を経過する場合

・重篤で予測できない副作用等
責任医師からのSAE重篤な有害事象の報告

・責任医師が被験者の意思に影響を与える情報を入手手し、説明文書を改訂したい旨の報告

・その他医療機関の長が必要であると認めた場合



●責任医師はIRBの継続審査を受けるために、治験の現況の概要を年に1回またはIRBの求めに応じてそれ以上の頻度で、医療機関の長に文書をもって提出しなければならない。(GCP第48条第1項解説)

・IRBの開催日時は予め治験事務局の方に伺っておき、IRBの審査に間にに合うように責任医師に書類の作成を依頼する。

・審査結果が条件付承認だった場合、速やかに依頼者に連絡する。
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