【治験の進め方のコツ・ポイント】

モニタリングのコツ・治験の効率的な進め方。治験の進め方のポイント(5)
治験を進めることで注意すること。治験の進め方のコツ・モニタリングの注意点




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●症例報告書の回収・点検・修正・固定
●治験の進め方のポイント(21)

●症例報告書の回収・点検・修正・固定


責任医師、または分担医師が作成し、責任医師が内容に問題がないことを確認した、記名捺印または署名済みのCRFを速やかに回収する。

回収にあたりCRFの内容に不備がないことを確認し、写しを責任医師に保存依頼する。


モニターは、基本的に責任医師を訪問のうえでCRFを入手することになる。

責任医師の最終確認が完了していれば、分担医師やCRC経由で入手することも可能である。

また、紛失を避けるため、郵送でのやりとりはなるべく行わないほうがよい。

なお、入手時は、責任医師へCRF(写)の提供・保管依頼が必要となる。


チェックの際には通常「チェックリスト」を用いる(しかし、チェックリストにだけ頼ってはいけない!)。

チェックリストはCRF記載項目やプロトコルに従って作成される。

このリストが記載漏れや内容の矛盾等を「全て」見付けることができるデザインであれば、誰でも問題なくチェックすることが可能である(ただし「絶対」ではない)、。


また、チェックリスト作成時には、チェック漏れがないように、細心の注意を払う必要がある。

そのためには、プロトコルの内容およびCRFの記載方法を「完全に」理解しなければならない。



「CRFの社内点検時に必要な資料」

@SDVの記録

A署名・印影一覧表

署名・印影一覧表は、少なくとも1症例目の同意取得前〜CRFを作成する前までの間に入手しておく。

また、分担医師、協力者の追加があった場合には、適宜、署名・印影一覧表を入手する。

B医療機関での治験薬の保管・管理記録の(写)

C検査の基準値及びその範囲の最新版

D原資料との矛盾を説明した記録(該当する場合)

Eその他:被験者のスクリーニング名簿や実施医療機関の長が指名した治験分担医師及び治験協力者のリスト等



●欠陥品、使用期限切れの治験薬の回収および追加交付
●治験の進め方のポイント(22)

●欠陥品、使用期限切れの治験薬の回収および追加交付

・治験実施中に使用期限切れの治験薬が生じる前(内服薬の場合期限の2〜3ヶ月前)に、また、欠陥品があった場合適宜回収し、必要に応じて使用可能な治験薬を追加交付する。

・追加交付の際には、初回交付と同様に治験薬を交付し、治験薬納品書を提出する。また、治験薬受領書を入手する。

・回収の際には、治験薬および治験薬返却書を入手し、治験薬受領書を提出する。


品質等に関する事項で治験薬を回収する必要が生じた場合には、責任医師および治験薬管理者に治験薬の投与を中止して頂く等の指示を速やかに行う。


治験薬を追加交付するとき、モニタリング報告書にはどのようなことを記載するのか?

⇒初回交付時と同様の内容、追加理由(症例追加等)、並びに追加数、組番を記載。



治験薬の欠陥品を医療スタッフが発見した時に、モニターはどのように対応するのか?

また、モニターが連絡を受けた後に、医療機関や依頼者へどのような対応をするか?

⇒欠陥品を発見した時点で、すぐに連絡するように前もって説明しておきます。

医療機関からの連絡があり次第、依頼者に内容を報告して対策を練ります。



僕が実際に体験したのは治験薬が本来なら分包の中に3錠入っているはずなのに、2錠しか入っていないと治験薬管理者から連絡があったというもの。

その時は、社内の人間を総動員して、「全ての」治験薬を「全ての」医療機関から回収して(患者に渡された治験薬も含めて)、もう一度、治験薬の分包状態を目視検査した。

その上で、治験薬を再交付。

大変だった・・・・・。




●症例登録終了の通知

・症例登録数が治験実施計画書の予定症例数に到達した時点で依頼者は責任医師、分担医師および協力者に対し登録完了の通知を文書により行う。

・予定症例数は除外・脱落例を加味した解析対象例とする。

・医療機関への連絡は、文書の郵送により一斉に行うことが一般的であるが、電話・面談等により再確認することが必要である。

●治験薬の品質・安全性・有効性等の情報及び新たな重要な情報の報告
●治験の進め方のポイント(23)

●治験薬の品質・安全性・有効性等の情報及び新たな重要な情報の報告です。

治験をやっていると、いろんな思わぬ、想定外の情報が飛び込んできますからねぇ。


●品質・安全性・有効性の情報、新たな重要な情報を治験依頼者から入手。
 
   ↓

●全ての治験責任医師、医療機関の長に速やかに被験者の安全に悪影響を及ぼす情報に関する治験依頼者の通知書を面談若しくは、郵便、電話、e-メール、FAX等で連絡した後に訪問し、詳細を報告する。

郵便やメールで連絡した場合も最終的には治験責任医師等に面談して、その情報が確実に当人に届いたことを確認しましょう。

(これは治験に限らず、社内での重要な情報の伝達も一緒。メールを送ったからと言って安心してはいけない。)


治験依頼者は被験者の安全に悪影響を及ぼし、治験の実施に影響を与え、または治験継続に関するIRBの承認を変更する可能性のある情報を、治験に関与する全ての治験責任医師、医療機関の長に速やかに通知すること。


品質・安全性・有効性の情報、新たな重要な情報を治験依頼者から入手した際、同意・説明文書等を改訂する可能性があるので変更の要否を治験責任医師に確認する。

なお、CRCからの確認だけではなく、CRCから確認した場合は改めて治験責任医師からその旨を確認すること。


●被験薬の有効性、安全性に関する情報は、治験責任医師、医療機関の長(事務局)、分担医師、CRCに速やかに正確に通知すること。

●重篤な副作用等は発現症例一覧として初回の治験届から起算して1年に1回、その期間の満了後3月以内に治験責任医師及び医療機関の長に通知する。


必要に応じて下記の書類を残しておく。

1)被験者の安全に悪影響を及ぼす情報に関する治験依頼者の通知書

2)重篤で予測できない副作用等の報告

3)治験薬概要書の改訂前に報告する安全性情報




●品質・安全性・有効性の情報とはどのような情報でしょうか?
 
    ↓

「品質の情報」とは、治験薬の保存条件等に関すること。

「安全性の情報」とは、有害事象や副作用などに関すること。

「有効性の情報」とは、同じ薬の治験が海外で行われた場合や先行して海外で治験が進んでいる、既に市販されているときに入手される情報のことです。



●「新たな重要な情報」とはどのような情報でしょうか?

    ↓

被験者の安全に悪影響を及ぼし、治験の実施に影響を与えたり、験の継続に関するIRBの承認を変更する可能性のある情報です。

上記の品質・安全性・有効性の情報等が該当します。




新たな重要な情報が得られ、かつ同意・説明文書の改訂が必要と判断された場合、治験責任医師は治験中の被験者への情報提供と同意・説明文書の改訂のどちらを優先させればいいでしょうか?

新たな情報が得られた場合には、治験中の被験者への情報の提供を優先すべきです。

具体的には@改訂内容を当該被験者に口頭説明し、治験継続の意思を確認 A当該確認につきカルテに記載 BIRBで承認された同意・説明文書を用いて再同意を得る、とういうことですね。


 
●同意文書及びその他の説明文書の改訂
●治験の進め方のポイント(24)

●同意文書及びその他の説明文書の改訂

・被験者の同意に影響を与える新たな治験薬概要書や治験実施計画書改訂を含む情報が得られた場合、同意文書及びその他の説明文書の改訂が必要であるか否かを治験責任医師と協議する。

必要であれば、モニターは治験責任医師が行う同意文書及びその他の説明文書の改訂に協力する(同意・説明文書(案)を提供する)。

治験責任医師が作成した同意・説明文書の改定案を検討の結果、改訂内容が適切な場合は、その改訂案を医療機関の長に提出しIRBの承認を得るよう依頼する。


・治験責任医師によって改訂された同意・説明文書は、IRBの承認を得る必要がある。承認後、治験依頼者が入手します(忘れないように!)。



●治験への参加の継続について被験者又は代諾者の意思に影響を与える可能性のある情報が得られた場合には、治験責任医師又は治験分担医師は、当該情報を速やかに被験者又は代諾者に伝え、被験者の治験への参加の継続について、被験者又は代諾者の意思を確認すること。

この場合にあっては、当該情報を被験者又は代諾者に伝えたことを文書に記録しておくこと(カルテでよい)。


●既知の副作用により被験者に健康被害が発生しつつあるとき、「被験者の継続の意思」に影響を及ぼすので、継続するかどうかを被験者に確認する場合もある。

ただし、この場合は、同意説明の改訂の必要はない(既に同意説明文書に記載されているはずなので。もちろん、記載が無い場合は改訂を検討する)。


 
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