【治験の進め方のコツ・ポイント】

モニタリングのコツ・治験の効率的な進め方。治験の進め方のポイント(7)
治験を進めることで注意すること。治験の進め方のコツ・モニタリングの注意点




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●治験実施計画書・症例報告書の改訂
●治験の進め方のポイント(25)

●治験実施計画書・症例報告書の改訂

・モニターは治験責任医師とプロトコルおよびCRFの改訂(レイアウトのみの変更の場合は手続き不要)について合意する場合、事前に治験責任医師に改訂プロトコル(案)、改訂CRF(案)および最新の治験薬概要書、その他必要な資料・情報を提供すること。

・モニターは、有害事象等によりプロトコルおよび治験薬概要書の変更が行われる場合、治験事務局を通じて医療機関の長およびIRB事務局へ文書で報告し、医療機関の長及びIRBより承認を得る(通常はIRBで承認され、医療機関の長の許可が来る)。



治験実施計画書やCRF等の改訂を行った際、改訂前と改訂後の対照表及び改訂版(最新版)を治験関係者全てに提供する。

また、改訂後は、分担医師、CRCへの情報提供を行う。


・新たに得られた情報により、検査の頻度の変更、試験方法の変更等が必要な場合、必要に応じプロトコルに記載されている医学専門家に相談する(依頼者が行うことが多い)。


・治験の依頼をしようとする者は、治験責任医師となるべき者に対して、提供された治験実施計画書案等の資料・情報を十分検討し、治験の依頼をしようとする者と協議するために必要な時間を与えること。治験実施計画書及び症例報告書の見本を改訂する場合も同様とすること。(GCP省令7条ガイダンス)。

・施設SOPに改訂に関する変更手続文書が規定されている場合は、治験責任医師の署名または記名・捺印が必要なものもあるので、プロトコル、CRFの改訂に関する合意のときに併せて入手する。

その後、この文書を治験事務局へ提出する。



●治験責任医師に異動があった場合、その都度プロトコルを改訂する必要があるでしょうか? この場合、当該医療機関内の対応だけでいいでしょうか?

      ↓

治験責任医師が異動等により変更される場合、その都度プロトコルを改訂する必要があります。

さらに、新しい治験責任医師にプロトコルの内容を確認し、遵守して行うことについて合意いただいた上で、当該医療機関の長およびIRB事務局へ文書で報告し、医療機関の長より承認を得る必要があります(契約書の変更も発生します)。

しかし、これらの情報は通常は治験実施計画書の別冊に掲載されるため、当該医療機関以外の医療機関については治験責任医師との合意、医療機関の長への改定案の事前提出、IRBの審議は不要です。

なお、治験責任医師の変更については、事前に治験計画変更届を規制当局へ提出しなければなりません(注意!!)。


●治験薬概要書の改訂
●治験の進め方のポイント(26)

●治験薬概要書の改訂

・モニターは新たな情報が得られた場合等には、治験薬概要書の改訂に先立って、治験責任医師、医療機関の長、規制当局にこれらの情報を報告する(GCP省令8条ガイダンス)。

依頼者は、開発段階に応じて、また、被験薬に関連する新たな情報が国内外から得られた場合等には、SOPに従って少なくとも年に1回治験薬概要書を見直し、必要に応じて改訂すること。

(見直した結果、改訂の必要が無かった場合は、その旨の記録を残しておく。これはちょっとしたコツ。こうすることで、監査や当局の人に「治験薬概要書は見直していますか?」という質問に「はい。このとおり、見直しましたが、改訂の必要が無かった、という記録があります」と答えられる。)


治験薬概要書の改訂箇所を責任医師に説明するとともに、IRB審議資料として、書類を治験事務局に提出する。


IRBにて改訂が承認された後、治験関係者(分担医師、CRC、治験薬管理者)への情報提供を行う。

また、安全性情報による改訂の場合、同意・説明文書の改訂が必要な場合もある




●治験薬概要書の改訂版の作成に代えて、該当部分だけを記載した追補版の作成で対応しても特に問題ないでしょうか?     

    ↓

新たな重要な情報が得られた場合、当該情報としてまとめて責任医師等に提供することに、特に問題はありません。

ただし、追補版の情報を見落とさないようにするために本体とセットで取り扱われる工夫(例えば、バインダー綴じによる保存)が必要です。

そして、少なくとも年1回の治験薬概要書見直しの際に、原則として追補版の情報を本体に組み入れて改訂すべきです。
           
【GCP関連 Q&A網羅集 平成14年4月版より抜粋】




●IRB審査対象文書の追加・更新・改訂

・治験依頼者は治験期間を通して、IRB審査の対象となる文書のうち、依頼者が提出すべき文書が追加、更新または改訂された場合、その全てを速やかに医療機関の長に提出する。



・IRB審査の対象となる文書のうち、依頼者が医療機関の長に提出すべき文書は以下のものがある。(GCP省令第10条第1項ガイダンス)

1)プロトコル(分冊を作成しており、当該分冊に記載された当該医療機関以外の実施医療機関に特有の情報を改訂する場合は不要)

2)治験薬概要書 

3)CRFの見本(記載内容がプロトコルに記載されている場合は不要)

4)同意・説明文書

5)責任医師の履歴書およびその他の文書、分担医師の氏名リスト(求められた場合は履歴書)

6)予定される治験費用に関する資料(被験者への支払い(支払いがある場合)に関する資料)

7)被験者の健康被害に対する補償に関する資料

8)その他の必要な資料


これら審査対象文書に連動して、変更の可能性のある文書(例えば、契約書等)が発生する場合があるので注意が必要。




●「その他の必要な資料」とはどのようなものがあるでしょうか?

    ↓

分担者・協力者リスト、IRBに提出する契約書(案)、会社を説明するもの(パンフレット等、必要に応じて)、被験者募集のポスター(募集する場合)、モニターの履歴書(必要に応じて)、モニター指名書(必要に応じて)、企業との連携がある場合、利益相反に関する資料等があります。



●プロトコル逸脱:緊急の危険回避以外の逸脱または不遵守
●治験の進め方のポイント(27)

●プロトコル逸脱:緊急の危険回避以外の逸脱または不遵守

【事前準備】

緊急の危険回避以外の逸脱でも、その逸脱内容はすべてカルテなどから確認できればよく、当該事項の記録を目的とした特別な文書(「逸脱報告書」のような)を別途作成することはGCP上求められていない。

従って、緊急の危険回避以外の逸脱の場合の対処については、施設SOPや事務局、あるいは自分の会社のSOP、先輩、上司に予め確認しておくこと。


●プロトコルからの逸脱またはGCP不遵守等の情報を入手(モニタリングによる発見および、責任医師もしくは分担医師からの申し出等による)した場合は、その内容がカルテなどの原資料から確認できるか検討し、確認できない場合は該当者に対処を依頼する。
  ↓
再発防止・遵守確保の措置を講じる(これが大事!!)。


モニタリング報告書に遵守を確保するための措置に関する記録を残す。

内容は以下の通り(省令第22条) 

・逸脱の内容 

・経緯(逸脱の原因)
     
・治験責任医師に告げた事項

・講じられるべき措置(再発防止策!)

・措置に関するモニターの所見


*逸脱が重大であること、又は逸脱が継続し改善されない場合、当該責任医師、当該実施医療機関との契約を解除することもある。

この際、依頼者はこの事実を規制当局に通知する。(省令第24条)


プロトコル逸脱が起こらないよう、予め治験責任医師、治験分担医師、CRCに注意すべき点等(特に検査項目、検査日等)を十分に説明し、理解していただく必要がある。

また、検査予定日の2、3日前にFAXや電話、e-メールで知らせる等の措置を取ることで、逸脱を防ぐことが出来る。(「予防」が大事!!)



・タイムリーなSDVを実施し、正確な情報を入手することにより早期に逸脱を発見し、再発防止を講じなければならない。

・逸脱事項を治験責任医師および必要に応じて医療機関の長に伝えるとともに、そのような逸脱の再発を防止するための適切な措置を講ずること(省令第22条解説)。

・緊急の危険回避以外の逸脱内容がIRB審議にかけられるとは限らないが、継続審査時や終了報告書に添付されて審議される可能性もあるので、施設SOPや事務局で予め確認すること。

・逸脱に対するデータ上の取り扱いは、「症例および症例データの取り扱い基準書」に従う。 




●再発防止・遵守確保の措置とは具体的にどのようなことでしょうか?

    ↓

医師やCRCにプロトコルを再度説明を行い、二度と逸脱が起こらないよう注意を促す。

また、モニター間で逸脱の情報を共有し、各担当施設にその内容を伝えることが大切です(未然防止策につながるため)。
   
さらに、注意書きを記載したマウスパットを提供すること等により、常に見ていただける状況にしておく等の工夫があります。



●プロトコルからの逸脱をモニターが直接閲覧で発見した場合、既にプロトコルに沿った治験実施の機会を失っているもの(検査日が過ぎてしまっている等)では実施しない方がいいのでしょうか?

あるいは実施時期が遅れていても実施する方がいいのでしょうか?

     ↓

個々のケースごとに治験責任医師と依頼者が判断することになります。

一般論としては、プロトコルからの逸脱が被験者の安全確保の観点から問題となり得るかの判断が必要です。

この点で問題が無ければ、次に継続するか否かは有効性を評価し得るか否かによります。

これは依頼者とも協議のうえ、最終的に治験責任医師が判断することになります。
              
【GCP関連 Q&A網羅集 平成14年4月版より抜粋】




●緊急の危険回避以外の逸脱とはどのようなものがあげらるでしょうか?

     ↓

検査日のずれ、検査未実施、除外基準に抵触・選択基準に合致しない症例の組み入れ、治験薬と市販薬の取り違え、治験薬の過量投与・・・など等があげられます。

プロトコルによっては、逸脱の傾向が決まってくることもあるので、チーム内で逸脱情報を共有して、逸脱防止策、再発防止策を検討しましょう!




 
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