【モニター教育担当者用】
1)一番大切なこと | 2)研修のあり方 | 3)カリキュラムの作り方 | 4)講師の育て方 |
4.カリキュラム見直しのポイント |
■カリキュラムの見直し カリキュラムを見直すということは、一言で言えば、「研修の評価をする」ことです。 研修の評価方法は、2種類有ります。 ・1つ目は、研修そのものがうまく行ったかどうか ・2つ目は、研修の成果がモニターの身についているか この2つの違いですが、例えば1番目の評価方法は、研修の最後に確認試験を行う、或いは、アンケートを取ることである程度、測れます。 2番目が重要かつ大変です。 よく、研修担当者の人事評価をどうするか?という話になることがあります。 研修の数で評価するのか? それとも受講生の定期試験の点数で評価するのか? これを考えるヒントは、結局、『何故、モニターに研修が必要か?』 ということの中にあります。 まず、第一にGCPを教えて、守らせる必要があります。さらに医師等にも守らせるスキルが必要です。 さらに、SOPを教えて、守らせる必要があります。 何故、GCPやSOPを教えて、守らせないといけないのか? それは、GCPやSOPを守っていない治験は単なる人体実験になるからです。 ですから、研修担当者の人事評価は、結局、モニターがGCPやSOPを遵守しているかどうかにかかっていると思います。 以下に、上記の ・1)研修そのものがうまく行ったかどうか ・2)研修の成果がモニターの身についているか の評価方法について解説します。 |
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■研修そのものがうまく行ったかどうかの評価方法 | ||
これは、今日やった研修方法や内容が良かったのかどうだったのか? とか、今日教えたことをモニターは覚えてくれただろうか?という評価です。 例えば、知識を教えた研修だったら、これは研修の最後に(途中でも)、確認試験を行えば、簡単に分かります。 もちろん、研修終了後1週間たったところで試験をしても構いません。 また、スキル、例えば医師との面談方法という研修をロールプレーを交えて行ったとします。 こんな場合は、次回の研修でいきなり、同じことをやってみるという方法もあります。 さらに、研修方法そのものや中味について、モニターがどう感じたか? というアンケートも役立つでしょう。 僕もこの2年間にいろんな研修をやってきましたが、モニターが感じた印象は、こちらが思ってやったことと、全く違うこともありました。 例えば、モニター自身がまだ自分たちには必要だと感じていなかった頃に、医師との面談スキルをやったときのことでした。 この時は、アンケートでは、役に立つとは思えないという答えが多かったですね。 何故なら、それまでモニターは医師を説得しようということを考えたことが無かったからです。 それはさておき、いずれにしてもアンケートも役立ちます。 こんなアンケートを取ればいいでしょう。(もちろん、無記名です。)
上のアンケートの2)をご覧ください。役立つと思うかという質問に対して、「いいえ」と答えた人に対する質問です。 ここで、理由の記載を無理強いすると、「役に立つと思う」ほうに答えを変える人がいます。1)の答えを「はい」に変える人も、中にはいるんですね。 ですから、あえて、「無理に理由を書く必要は無い」とわざわざ断っているわけです。 さて、アンケートを取ったからには、その結果を「素直」に分析します。 ここでわざわざ「素直」と断ったのは、僕なんかはそうなのですが、上記の知識確認試験とか、上のアンケートの結果が悪いと、それを「モニターのせいにする」傾向があるからです。 ここはやはり、どうしてモニターが知識を覚えてくれなかったのだろうか? どうして、モニターは役に立つと思わないのだろう? ……という謙虚な分析を行います。 その結果、教え方が悪かったとか、興味を引くような方法でやってなかったとか、色々と理由が浮かんでくるようにしましょう。 自分がモニターの立場で、今日の研修を受けたら、どう思っただろうか? やはり役に立たないと思っただろうか? それはどうしてだろう? そう言えば、講義の途中から寝ている人が多かったな、あれは、きっと僕の講義がつまらなかったからだな、と思えるようになりましょう。 そこから、では、次にどうするかを考えます。 講義ばかりではつまらないから、途中で、ロールプレーをやってみようとか、最後ではなく、こまめに確認試験を研修の合間に入れてみよう、等というアイディアがでてくると思います。 このようにして、研修そのもの、ひいては、カリキュラムを見直していきます。 |
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■研修の成果がモニターの身についているかどうかの評価方法 | ||
せっかく時間をかけて教えたことでも、それをモニターが実行に移していないと意味がありません。 そのために、何を目安にするといいのでしょうか? 僕としては、次の3点をまず挙げます。
会社としては、上記の1)が一番、研修担当者の評価として使いやすいでしょう。 また、研修担当者としても、最も役に立つ素材になりますし、自分の評価材料にもなりえます。 しかし、そうそう信頼性調査が有るわけではありません。 そこで、2)の監査の指摘事項が出てきます。 これまた、会社としても、研修担当者の評価としてい使いやすいでしょうし、研修そのもののネタにもなります。 しかし、これでさえも、タイムリーとは言えません。 そこで、毎月1回位の頻度で、実際のモニタリング報告書やSDV記録を見せてもらいます。 モニタリングやSDVのタイミングがSOP通りかどうか、モニタリング報告書の記載内容が十分かどうか、SDV記録の方法は充実したものになっているかどうか、を確認します。 例えば、いくらSOPに「最初の登録症例は2週間以内に最初のSDVを実施する」と規定されていることを教えても、実際に、それがやられていなかった場合、研修としては失敗です。 ここまで来ると、研修の評価を超えた問題(例えばマンパワーの問題)が含まれてくるかもしれません。 でも、実際にあなたは、研修で「SOP通りに、『最初の登録症例は2週間以内に最初のSDVを実施する』ように」教えたわけです。 それが、その通りに行われていないことの理由を考えてみましょう。 ひょっとしたら、最初のSDVの実施時期について、その意義を十分に伝えきれていなかったのかもしれません。 また、その他の時期のSDVのタイミングや記録もみて、同じことを考えてみましょう。もちろん、CRFも同時に見せてもらいます。 ひょっとしたら、SDV方法にまずいやり方を発見するかもしれませんし、コメント文が不十分あるいは不適切だということに気がつくかもしれません。 モニタリング報告書も同じようにチェックしてみましょう。 このようにして、自分が行った研修の評価を常にしていきます。 そして、半年に一度、急を要する事態なら、次回から研修内容やカリキュラムの見直しをしましょう。 何事もやりっぱなしではいけません。研修をしたから、これで研修担当者の責任を果たしたと思ってはいけません。 最近、いろんな会社の不祥事や事故が多発しています。それらの会社にもきっとSOPや行動マニュアルが有ったと思います。 それを教える人もいたはずです。 あなたは、自分の会社のモニターがGCPの知識不足で重篤な副作用報告が遅れ、それが原因で死ななくてもいい患者さんが死んでしまった場合、どう思いますか? 僕は、それは「重篤な副作用報告が発生した場合のマニュアル」をきちんと意義も含めて、教えていなかった研修担当者の責任だと思います。 そうはなりたくないと、僕はいつも思っています。 |
1.年間計画 | 2.レベル別カリキュラムの作り方 |
3.超短期(8週間)モニター育成方法 | 4.カリキュラム見直しのポイント |
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