【モニター教育担当者用】

1)一番大切なこと 2)研修のあり方 3)カリキュラムの作り方 4)講師の育て方


2)研修のあり方


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4の参考資料.事例検討(ケーススタディ)の材料

■新入社員に「治験の倫理や人道的」を考えさせる

治験の倫理や人道的とは何か? と言っても、新入社員はまず治験そのものをまだよく分かりません。
そこで、次のような別のケースを題材にします。


■「人道的とは何か?」を考えさせるケーススタディ

この文章を読み、自分一人で検討してもらいます。検討時間は5分です。(厳守)


【人道的とは?】

あなたが乗っていた船が座礁し、海に投げ出されました。
幸い近くの救命ボードに助けられました。
ところが、その救命ボードに載っている10人のうち、ひとりが致死性の高い感染症にかかっていることが分かりました。

あなたなら、どうしますか?


5分たちましたら、各自に考えがまとまったことを確認します。
次に一人ずつ、自分の考えを発表してもらいますが、決して、他の人の発言を聞いて、自分の意見を変えないよう釘を刺しておきます。

上の問題に正解は有りません。ただ、何が人道的か? ということは言葉でいうほど簡単なことではないことを実感させるためにやる研修です。

たいてい、受講生は、その患者が自分ではなく、別の人だと想定して答えてきます。それはそれでよしとします。
中には、「自分が患者だった場合と別の人が患者だった場合」と区別して答える人もいます。これは「患者が自分ではなく、別の人だと想定した受講生」に、新たな視点を与えてくれます。
また、そのような考え方までする同期の人がいることに感心し、自分の考え方の狭さを反省することにもなります。

僕の場合は、最後に自分の意見を言います。
たいてい、新入社員は、常識的な、あるいは建前的な範囲で答えてきます。

▼僕の今までの経験から返ってきた新入社員の答えの例;
・「自分が病人だったら、自分から身を投げる。」
・「その患者さんを乗せながら、他の人に感染しないよう祈る」
・「その人にどうしたいかを聞き、それに従う」(ボートに残りたいなら残す)
・「多数決で決める」

僕は、本音で答えます。
その答えは内緒^^

このケーススタディは、各自の答えを聞くだけで終りです。
しかし、これだけで、新入社員にとっては、「人道的って何?」ということを考えることの難しさと厳しさを実感してもらえることができます。

また、どうしても自分で何かを決定しないといけないことの辛さを味わってもらいます。

しかし、現実の会社生活でも、自分が決定しないといけないのは、よくある話しです。
ここで、「自分で考える、自分で決定する」という心構えを伝えましょう。

このケーススタディが、これから始まる新入社員の会社生活の全てを決定することに繋がりかねないほどの研修です。


■「倫理的」とは何か?ということ、そして「チームで検討することの難しさ」を教える

次に、倫理的とは何か? ということと、チームで限定された情報をもとに短時間で結論を出す訓練をするためのケーススタディの例を提示します。

次のような資料を受講生の人数分用意し、全員に配布します。
次に受講生を5人ほどのチームに分けます。


心臓移植候補者

候補者

性別

年齢

家族構成

仕事

あなたの順位

チームの最終順位

40歳

妻(専業主婦)、子ども3人

サラリーマン

10歳

孤児

60歳

妻病死、子ども事故死、孫3人(幼稚園)

零細会社の社長

20歳

独身、60歳の母親は要介護状態

世界的なピアニスト

30歳

新婚3ヶ月目、奥さんは妊娠中

ノーベル賞級の科学者



新入社員は「臓器移植ネットワークの委員」です。今、ここにひとつの移植可能な心臓があります。
その心臓を移植可能な人が登録されているデータベースで検索したら上の5人が抽出されました。
ただし、順不同です。

与えられた情報は、これだけであることを伝えます。また、心臓は30分しかもたないとします。
上の資料を配布してから5分間で、まず、自分なりに移植する優先順位付けをさせます。

そして、残り(25分)の時間内にチームで検討してもらい、チームとしての最終順位付けを決めてもらい、発表してもらいます。
(時間は新入社員や受講生のレベルに応じて、適宜変更可能。上級レベルほど短時間にします。)

この研修をやると、面白いことに、「与えられた情報は、これだけである」と強く言っても、必ずいろんな質問をしてきます。

心臓の大きさは?とか、成功率は?とか、抽出された人の心臓の病気の重症度とか・・・これらには、一切、答えません。

とにかく、与えられた情報は上の紙にあるだけです。

チームとしての答えを報告してもらったら、ケーススタディの感想を聞きます。

もし、次に、もう一度やるなら、今度はどうやるか? なども聞くといいでしょう。


▼このケーススタディで新入社員が学ぶこと

まず、「限定された情報と限定された時間」にとまどいます。
でも、僕たちが普段やっている日常の仕事上の問題を解決するときも、全ての情報が分かるとは限りません。 
学生の時と、会社で働くことの決定的な違いを認識してもらいます。
このことをケースステディの最後に伝えます。
つまり、これからきみたちがやる仕事というのは、上の事例検討とほとんど同じ状況で、物事を決断しなければいけないということです。

次に、自分でとにかく物事を決定することの難しさと大切さを教えます。

そして、最後にチームで、物事を決めることの難しさを実感してもらいます。
また、その時の決定方法も学ばせます。
決して、単純に多数決で物事は決まらないこと。
自分の意見と他人の意見はいつも同じとは限らないこと。むしろ、違うことのほうが多いこと。
自分の意見を通すことの難しさ。

そして、倫理とは?
今回、心臓移植をされなかった人を、あなたはどう思うのか?

・・・・・・新入社員はいろんなことを、このケーススタディを通して学ぶことでしょう。


研修方法の実際

1.講義形式&筆記試験 2.模擬研修
3.ロールプレー 4.事例検討(ケーススタディ)
5.e-ラーニングと集合研修の違い


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