【モニター教育担当者用】
1)一番大切なこと | 2)研修のあり方 | 3)カリキュラムの作り方 | 4)講師の育て方 |
2)研修のあり方 |
3.ロールプレー | ||||
このロールプレーもいろんな研修に応用できますが、基本的には対人関係に及ぼすコミュニケーションスキルの向上を目指して行います。 なお、今回は「集合研修」における「ロールプレー」を想定しています。 ■ロールプレーで培われるスキル ロールプレーを集合研修で行うことにより培われる主なスキルは次のものです。
1)の説得スキルと言うのは、説明不要でしょう。 2)の精神的タフさ、と言うのは、多くの受講生の前で医師役を説得するために、失敗することもありますが、それを恥ずかしいと思っているようでは、ロールプレーはできません。講師より指名された場合、否が応でもみんなの前でモニターとして、どう医師を戦略するかを演じないといけなのですから、精神的なタフさがついてきます。 3)GCP知識を利用するスキル、と言うのは、医師や事務局を説得する際に自分の持っているGCP知識を利用して、相手を説得することができるということを身をもって感じてもらいます。 ■ロールプレー研修の利点 上で示したスキルアップの他にも次の利点があります。
1)は、いいとして、2)ですが、これは医師役にモニター自身が成ってもらうことにより得ることができるもので、貴重だと思います。ロールプレーならではの利点です。 以下、簡単にロールプレーの研修方法と注意を述べます。 |
||||
■ロールプレーの研修方法 | ||||
例えば、今回は「医師にCRFを早く書いてもらうようお願いする」という題材とします。 モニターは3人1組のチームに分けます。 3人を次のように役をふります。 Aさん・・・モニター役 Bさん・・・医師役 Cさん・・・アセッサー(評価者) 最初にこの役割でロールプレーをしますが、次にはそれぞれが役割を変えます。すると3回やると全員が全ての役割をすることになります。 では、まずは、ロールプレー用のシナリオを作りましょう。一場面につき3種類のシナリオを作ります。 (また、あとで説明しますが、3つの場面のシナリオを作ります。) 1)モニター用シナリオ・・・ここにはこのシナリオで達成すべき目標が書かれています。医師の情報は書いてありません。 2)医師用シナリオ・・・医師の現在の状況などが書かれています。さらに、モニターの発言に反応する時の注意が書かれています。 3)アセッサー用シナリオ・・・ここには、上の「モニター用」と「医師用」のシナリオの他に、評価者として見る時の注意点やポイントなどを解説しておきます。 ■では、1回目をやりましょう。 Aさん・・・モニター役には、1)モニター用シナリオを渡します。 Bさん・・・医師役には2)医師用シナリオを渡します。 Cさん・・・アセッサー(評価者)には3)アセッサー用シナリオを渡します。 シナリオを配布したら、5分ほどモニター役の方のために作戦タイムを与えます。 5分たったら、ロールプレー開始です。 それぞれが役割を演じます。 アセッサーはあとでモニター役をやったAさんに対してのアドバイス等をメモしてもらいます。また制限時間も設けましょう。たとえば7分とします。アセッサー役の人はタイムキーパー役もやります。 ロールプレーが終わりましたら、チーム内で検討をしてもらいます。 モニター役は作戦通りにいったかどうか、うまくいかなかったら、どうしてかなどを分析してもらいます。 医師役の人から見て、モニターの良かった点、改善すべき点をアドバイスします。 アセッサー役も同様により詳しくモニターにアドバイスします。 これで1回目が終わりです。 次に役を変えます。例えば・・・ Aさん・・・アセッサー(評価者) Bさん・・・モニター役 Cさん・・・医師役 ・・・というようになります。 そして、さっきとは別のシナリオを配布します。つまり3つのストーリーをシナリオとして用意しておくわけですね。 結局、1つの場面につき3人分のシナリオを作り、さらに3つの場面を考えないといけませんので、全部で9つのシナリオを作る必要があります。 1つの場面に用意するシナリオを、簡単に以下に紹介します。 |
||||
■用意するシナリオ | ||||
今回は「医師にCRFを早く書いてもらうようお願いする」という題材としますので、以下のシナリオを作り、プリントアウトしたものをモニター役に渡します。
医師用のシナリオには次のように記載しておきます。
アセッサー用シナリオには、上の2つのシナリオとさらに別に以下のアセッサー用を用意し、渡します。 つまり3枚のシナリオがアセッサーには行きます。
上記のように1つの場面につき3種類作ります。 これを3つの場面につき、用意します。 |
||||
■ロールプレーの注意点 | ||||
アセッサーは重要な役割です。最初はなかなかアドバイスもうまくいかないでしょう。 そんな時のために、講師は一つのチームで最初から最後までロールプレーを見て、アセッサーのアドバイスを聞きます。 そこで、もし補足すべき点があったら、補足してあげましょう。 今回の設定では医師役も同僚がやることになります。 すると、同僚ですので、最初は照れたりしますが、回数をこなせば慣れてきます。 逆に、慣れすぎて、「馴れ合い」のロールプレーになることもあります。 もし、馴れ合いのロールプレーになってきたら、よその部署の「コワモテ」の部長に頼んで医師役をやってもらうという手も有ります。 集合研修の際には、最後に講師が上手いと思ったモニターを指名し、別のシナリオで、講師が医師役をやり、受講生全員の前でロールプレーをやってもらいます。 こうすることによって、上手いモニターのノウハウを全員で共有化させます。 いずれにしても、ロールプレーは重要な研修スタイルですので、講師の方は、その研修スタイルを上手く運営する方法を是非、学んでください。 参考になる本がたくさん市販されていますので、それらを読むことをお奨めします。 |
研修方法の実際 |
1.講義形式&筆記試験 | 2.模擬研修 |
3.ロールプレー | 4.事例検討(ケーススタディ) |
5.e-ラーニングと集合研修の違い |
【モニター教育担当者用】
1)一番大切なこと | 2)研修のあり方 | 3)カリキュラムの作り方 | 4)講師の育て方 |