モニターへの道のトップページへ

GCPのトップページへ

 「GCPガイダンス」と「治験119」の合体:GCPの注意事項、GCPのグレーゾーン(1)
 1.第一章 総則

(趣旨)
第1条 この省令は、被験者の人権の保護、安全の保持及び福祉の向上を図り、治験の科学的な質及び成績の信頼性を確保するため、薬事法(以下「法」という。)第14条第3項(同条第9項及び法第19条の2第5項において準用する場合を含む。以下同じ。)並びに法第14条の4第4項及び第14条の6第4項(これらの規定を法第19条の4において準用する場合を含む。以下同じ。)に規定する厚生労働大臣の定める基準のうち医薬品の臨床試験の実施に係るもの並びに第80条の2第1項、第4項及び第5項に規定する厚生労働省令で定める基準を定めるものとする。


===============================================================================
1 本基準(この省令で定める基準を以下「本基準」という。)は、被験者の人権の保護、安全の保持及び福祉の向上を図り、治験(医薬品の製造販売承認申請の際に提出すべき資料のうち臨床試験の試験成績に関する資料の収集を目的とする試験。以下同じ。)の科学的な質及び成績の信頼性を確保することを目的として、治験及び製造販売後臨床試験に関する計画、実施、モニタリング、監査、記録、解析及び報告等に関する遵守事項を定めるものである。

2 治験に関する原則的事項としては、次の事項があげられる。製造販売後臨床試験を実施する際も準拠すべきである。

(1)治験は、ヘルシンキ宣言に基づく倫理的原則及び本基準を遵守して行うこと。

(2)治験を開始する前に、個々の被験者及び社会にとって期待される利益と予想される危険及び不便とを比較考量すること。期待される利益によって危険を冒すことが正当化される場合に限り、治験を開始し継続すべきである。

(3)被験者の人権の保護、安全の保持及び福祉の向上に対する配慮が最も重要であり、科学と社会のための利益よりも優先されるべきである。

(4)治験薬に関して、その治験の実施を支持するのに十分な非臨床試験及び臨床試験に関する情報が得られていること。

(5)治験は科学的に妥当でなければならず、治験実施計画書にその内容が明確かつ詳細に記載されていること。

(6)治験は、治験審査委員会が事前に承認した治験実施計画書を遵守して実施すること。

(7)被験者に対する医療及び被験者のためになされる医療上の決定に関する責任は、医師又は歯科医師が常に負うこと。

(8)治験の実施に関与する者は、教育、訓練及び経験により、その業務を十分に遂行しうる要件を満たしていること。

(9)すべての被験者から、治験に参加する前に、自由意思によるインフォームド・コンセントを得ること。

(10)治験に関するすべての情報は、正確な報告、解釈及び検証が可能なように記録し、取扱い、及び保存すること。

(11)被験者の身元を明らかにする可能性のある記録は、被験者のプライバシーと秘密の保全に配慮して保護すること。

(12)治験薬の製造、取扱い、保管及び管理は、「治験薬の製造管理、品質管理等に関する基準(治験薬GMP)について」(平成20年7月9日付け薬食発第0709002号厚生労働省医薬食品局長通知。以下「治験薬GMP通知」という。)を遵守して行うこと。治験薬は治験審査委員会が事前に承認した治験実施計画書を遵守して使用すること。

(13)治験のあらゆる局面の質を保証するための手順を示したシステムを運用すること。

(14)治験に関連して被験者に健康被害が生じた場合には、過失によるものであるか否かを問わず、被験者の損失を適切に補償すること。その際、因果関係の証明等について被験者に負担を課すことがないようにすること。
 (定義)

第2条 この省令において「製造販売後臨床試験」とは、医薬品の製造販売後の調査及び試験の実施の基準に関する省令(平成16年厚生労働省令第171号)第2条第4項に規定する製造販売後臨床試験をいう。

2 この省令において「実施医療機関」とは、治験又は製造販売後臨床試験を行う医療機関をいう。

3 この省令において「治験責任医師」とは、実施医療機関において治験に係る業務を統括する医師又は歯科医師をいう。

4 この省令において「製造販売後臨床試験責任医師」とは、実施医療機関において製造販売後臨床試験に係る業務を統括する医師又は歯科医師をいう。

5 この省令において「被験薬」とは、治験の対象とされる薬物又は製造販売後臨床試験の対象とされる医薬品をいう。

6 この省令において「対照薬」とは、治験又は製造販売後臨床試験において被験薬と比較する目的で用いられる医薬品又は薬物その他の物質をいう。

7 この省令において「治験薬」とは、被験薬及び対照薬(治験に係るものに限る。)をいう。

8 この省令において「製造販売後臨床試験薬」とは、被験薬及び対照薬(製造販売後臨床試験に係るものに限る。)をいう。

9 この省令において「被験者」とは、治験薬若しくは製造販売後臨床試験薬を投与される者又は当該者の対照とされる者をいう。

10 この省令において「原資料」とは、被験者に対する治験薬又は製造販売後臨床試験薬の投与及び診療により得られたデータその他の記録をいう。

11 この省令において「治験分担医師」とは、実施医療機関において、治験責任医師の指導の下に治験に係る業務を分担する医師又は歯科医師をいう。

12 この省令において「製造販売後臨床試験分担医師」とは、実施医療機関において、製造販売後臨床試験責任医師の指導の下に製造販売後臨床試験に係る業務を分担する医師又は歯科医師をいう。

13 この省令において「症例報告書」とは、原資料のデータ及びそれに対する治験責任医師若しくは治験分担医師又は製造販売後臨床試験責任医師若しくは製造販売後臨床試験分担医師の評価を被験者ごとに記載した文書をいう。

14 この省令において「治験協力者」とは、実施医療機関において、治験責任医師又は治験分担医師の指導の下にこれらの者の治験に係る業務に協力する薬剤師、看護師その他の医療関係者をいう。

15 この省令において「製造販売後臨床試験協力者」とは、実施医療機関において、製造販売後臨床試験責任医師又は製造販売後臨床試験分担医師の指導の下にこれらの者の製造販売後臨床試験に係る業務に協力する薬剤師、看護師その他の医療関係者をいう。

16 この省令において「治験調整医師」とは、一の治験実施計画書に基づき複数の実施医療機関において治験を行う場合に、治験依頼者(第18項に規定する「治験依頼者」をいう。次項において同じ。)又は自ら治験を実施する者により当該実施医療機関における当該治験実施計画書の解釈その他の治験の細目について調整する業務(以下この条において「調整業務」という。)の委嘱を受け、当該調整業務を行う医師又は歯科医師をいう。

17 この省令において「治験調整委員会」とは、一の治験実施計画書に基づき複数の実施医療機関において治験を行う場合に、治験依頼者又は自ら治験を実施する者により調整業務の委嘱を受けて当該調整業務を行う複数の医師又は歯科医師で構成される委員会をいう。

18 この省令において「モニタリング」とは、治験又は製造販売後臨床試験が適正に行われることを確保するため、治験又は製造販売後臨床試験の進捗状況並びに治験又は製造販売後臨床試験がこの省令及び治験の計画書(以下「治験実施計画書」という。)又は製造販売後臨床試験の計画書(以下「製造販売後臨床試験実施計画書」という。)に従って行われているかどうかについて治験の依頼をした者(以下「治験依頼者」という。)若しくは製造販売後臨床試験の依頼をした者(以下「製造販売後臨床試験依頼者」という。)が実施医療機関に対して行う調査又は自ら治験を実施する者が実施医療機関に対して特定の者を指定して行わせる調査をいう。

19 この省令において「監査」とは、治験又は製造販売後臨床試験により収集された資料の信頼性を確保するため、治験又は製造販売後臨床試験がこの省令及び治験実施計画書又は製造販売後臨床試験実施計画書に従って行われたかどうかについて治験依頼者若しくは製造販売後臨床試験依頼者が行う調査、又は自ら治験を実施する者が特定の者を指定して行わせる調査をいう。

20 この省令において「有害事象」とは、治験薬又は製造販売後臨床試験薬を投与された被験者に生じたすべての疾病又はその徴候をいう。

21 この省令において「代諾者」とは、被験者の親権を行う者、配偶者、後見人その他これらに準じる者をいう。

22 この省令において「自ら治験を実施しようとする者」とは、その所属する実施医療機関等において自ら治験を実施するために法第80条の2第2項の規定に基づき治験の計画を届け出ようとする者であって、治験責任医師となるべき医師又は歯科医師(一の治験実施計画書に基づき複数の実施医療機関において共同で治験を行う場合にあっては、代表して同項の規定に基づき治験の計画を届け出ようとする治験調整医師となるべき医師又は歯科医師を含む。)をいう。

23 この省令において「自ら治験を実施する者」とは、その所属する実施医療機関等において自ら治験を実施するために法第80条の2第2項の規定に基づき治験の計画を届け出た治験責任医師(一の治験実施計画書に基づき複数の実施医療機関において共同で治験を行う場合にあっては、代表して同項の規定に基づき治験の計画を届け出た治験調整医師を含む。)をいう。

24 この省令において「治験薬提供者」とは、自ら治験を実施する者に対して治験薬を提供する者をいう。
==================================================================================
1 第3項の「治験責任医師」とは、実施医療機関において治験の実施に関して責任を有する医師又は歯科医師である。実施医療機関において治験が複数の者からなるチームにより実施される場合には、当該チームを統括する医師又は歯科医師である。

2 第6項の「対照薬」とは、治験又は製造販売後臨床試験(以下「治験等」という。)において被験薬と比較する目的で用いられる既承認有効成分若しくは未承認有効成分を含む製剤又はプラセボを意味する。

3 第10項の「原資料」とは、被験者に係る診療録、検査ノート、治験薬等の投与記録等の治験の事実経過の再現と評価に必要な記録を指す。具体的には、症例報告書等の元となる文書、データ及び記録(例:病院記録、診療録、検査ノート、メモ、被験者の日記又は評価用チェックリスト、投与記録、自動計器の記録データ、正確な複写であることが検証によって保証された複写物又は転写物、マイクロフィッシュ、写真のネガ、マイクロフィルム又は磁気媒体、エックス線写真、被験者ファイル及び治験に関与する薬剤部門、検査室、医療技術部門に保存されている記録等)をいうものである。

4 第11項の「治験分担医師」とは、実施医療機関において治験を実施するチームに参加する個々の医師又は歯科医師で、治験責任医師によって指導・監督され、治験に係る重要な業務又は決定を行う者である。

5 第14項の「治験協力者」とは、実施医療機関において治験を実施するチームのメンバーで、治験責任医師によって指導・監督され、専門的立場から治験責任医師及び治験分担医師(以下「治験責任医師等」という。)の業務に協力する者である。

6 第16項の「治験調整医師」とは、一の治験実施計画書に基づき複数の実施医療機関において共同で行う治験(以下「多施設共同治験」という。)において、治験依頼者又は自ら治験を実施する者(以下「治験依頼者等」という。)により当該実施医療機関における当該治験実施計画書の解釈その他の治験の細目について調整業務の委嘱を受け、当該調整業務を行う医師又は歯科医師である。治験調整医師は、当該治験の分野において十分な経験を有し、多施設間の調整を適切に行いうる者であること。治験責任医師の中から選定されることが考えられるが、必ずしも治験責任医師に限らないこと。

7 第17項の「治験調整委員会」とは、多施設共同治験において、治験依頼者等により調整業務の委嘱を受けて当該調整業務を行う複数の医師又は歯科医師で構成される委員会である。なお、治験協力者等も治験調整委員会を構成する委員となることは可能である。

8 第18項の「モニタリング」とは、治験等が適正に行われることを確保するため、治験依頼者若しくは自ら治験を実施する者又は製造販売後臨床試験依頼者より指名されたモニターが、治験等の進行状況を調査し、本基準並びに治験実施計画書(又は製造販売後臨床試験実施計画書)及び手順書に従って実施、記録及び報告されていることを保証する活動である。自ら治験を実施する者が、当該実施医療機関内の者をモニターに指定する場合には、当該治験に従事していない第三者を指定するべきであり、また、実施医療機関外部に委託することも可能である。

9 第19項の「監査」とは、治験等が本基準並びに治験実施計画書(又は製造販売後臨床試験実施計画書)及び手順書に従って実施され、データが記録、解析され、正確に報告されているか否かを確定するため、治験依頼者等(又は製造販売後臨床試験依頼者)によって指名された監査担当者が、独立した立場において治験等に係る業務及び文書を体系的に検証することである。自ら治験を実施する者が、当該実施医療機関内の者を監査担当者に指定する場合には、当該治験又は当該治験に対するモニタリングに従事していない第三者を指定するべきであり、また、実施医療機関外部に委託することも可能である。なお、事実経過の再現を可能とする文書を「監査証跡」、監査が行われた旨の監査担当者による証明書を「監査証明書」、監査担当者が監査の結果の評価を記述したものを「監査報告書」という。

10 第20項の「有害事象」とは、治験薬又は製造販売後臨床試験薬を投与された被験者に生じたすべての好ましくない又は意図しない疾病又はその徴候(臨床検査値の異常を含む。)をいい、当該治験薬又は当該製造販売後臨床試験薬との因果関係の有無は問わない。

11 第21項の「代諾者」とは、治験への参加について、被験者に十分な同意の能力がない場合に、被験者とともに、又は被験者に代わって同意をすることが正当なものと認められる者であり、被験者の親権を行う者、配偶者、後見人その他これらに準じる者で、両者の生活の実質や精神的共同関係から見て、被験者の最善の利益を図りうる者であること。

12 第22項の「自ら治験を実施しようとする者」とは、その所属する実施医療機関において自ら治験を実施するために治験の計画を厚生労働大臣に届け出ようとする者であって、治験責任医師となるべき医師又は歯科医師(一の治験実施計画書に基づき複数の実施医療機関において共同で治験を行う場合にあっては、代表して同項の規定に基づき治験の計画を届け出ようとする治験調整医師となるべき医師又は歯科医師を含む。)をいう。なお、本基準への適合性の客観性が確保される限りにおいてやむを得ない場合にあっては、実施医療機関の長が自ら治験を実施しようとする者となることを妨げるものではない。

13 第23項の「自ら治験を実施する者」とは、その所属する実施医療機関において自らが治験を実施するために治験の計画を厚生労働大臣に届け出た治験責任医師(一の治験実施計画書に基づき複数の実施医療機関において共同で治験を行う場合にあっては、代表して同項の規定に基づき治験の計画を届け出た治験調整医師を含む。)をいう。なお、一の治験実施計画書に基づき複数の実施医療機関において共同で治験を実施するため、治験責任医師が連名で一の治験の計画を届け出た場合にも、各治験責任医師が「自ら治験を実施する者」と解される。

14 第24項の「治験薬提供者」とは、自ら治験を実施する者に対して薬物を提供する者をいう。この場合の治験薬提供者は、実施医療機関外部から当該実施医療機関に対して治験薬を提供する医薬品製造販売業者等をいう。

15 省令で規定するもののほか、次の用語については、以下に示すとおりである。

(1)「インフォームド・コンセント」並びに「説明文書」及び「同意文書」について

@ 「インフォームド・コンセント」とは、被験者の治験への参加の意思決定と関連する、治験に関するあらゆる角度からの説明が十分なされた後に、被験者がこれを理解し、自由な意思によって治験への参加に同意し、文書によってそのことを確認することをいう。
この際の説明に用いられる文書が「説明文書」(第51条参照)である。治験への参加に同意することを確認する文書が「同意文書」(第52条第1項参照)であり、被験者(又は代諾者)と治験責任医師等の記名押印又は署名と日付が記入される。

A 「説明文書」と「同意文書」は両者を一体化した文書又は一式の文書とすることが望ましい。

B 同意文書は、説明文書の内容を十分に理解した上で、当該治験に参加することに同意する旨を記載した文書であるが(第52条第1項参照)、あらかじめ、様式を定めている場合には、説明文書と一体化した文書又は一式の文書として取扱うこと。例えば、第10条に基づき実施医療機関の長に対し説明文書を提出する場合及び第32条に基づき治験審査委員会に対し審査資料として説明文書を提出する場合には、説明文書と同意文書をあわせて提出すること。また、第50条に基づき説明文書を用いて説明する場合には、説明文書と同意文書をあわせて用いて説明すること。

(2)「開発業務受託機関」について
治験の依頼及び管理に係る業務の全部又は一部を治験を依頼しようとする者から受託する者又は治験の実施の準備及び管理に係る業務の全部又は一部を自ら治験を実施しようとする者又は実施医療機関から受託する者は開発業務受託機関(CRO:Contract Research Organization)とも呼ばれる(第12条及び第15条の8参照)。

(3)「治験施設支援機関」について
治験の実施に係る業務の一部を実施医療機関から受託する者は、治験施設支援機関(SMO:Site Management Organization)とも呼ばれる(第39条の2参照)。

(4)「効果安全性評価委員会」は、治験の進行、安全性データ及び重要な有効性エンドポイントを適当な間隔で評価し、治験依頼者等に治験の継続、変更又は中止を提言することを目的として、治験依頼者等が設置することができる治験依頼者等、治験責任医師及び治験調整医師から独立した委員会であり、「独立データモニタリング委員会」とも呼ばれる(第19条及び第26条の5参照)。

(5)「公正な立会人」とは、治験の実施から独立し、治験に関与する者から不当に影響を受けない者で、被験者又は代諾者が同意文書等を読むことができない場合にインフォームド・コンセントの過程に立ち会う者である(第52条参照)。

(6)「症例報告書の見本」とは、各被験者に対して、治験依頼者に報告すること又は自ら治験を実施する者が保存することが治験実施計画書において規定されているすべての情報を記録するために印刷された又は光学的若しくは電子的な記録様式をいう(症例報告書の様式とも呼ばれている。)。なお、これに記録されたものは「症例報告書」という。

(7)「手順書」とは、治験に係る各々の業務が恒常的に又は均質に、かつ適正に実施されるよう手順を詳細に定めた文書をいう。

(8)「被験者識別コード」とは、個々の被験者の身元に関する秘密を保護するため、治験責任医師が各被験者に割り付けた固有の識別番号で、治験責任医師が有害事象及びその他の治験関連データを報告する際に、被験者の氏名、身元が特定できる番号及び住所等の代わりに用いるものである。

(9)「非臨床試験」とは、人を対象としない生物医学的試験及びその他の試験をいう。

(10)「副作用」とは、
治験薬(対照薬として用いられる市販薬を除く。)については以下のとおり:
投与量にかかわらず、投与された治験薬に対するあらゆる有害で意図しない反応(臨床検査値の異常を含む。)。すなわち、当該治験薬と有害事象との間の因果関係について、?なくとも合理的な可能性があり、因果関係を否定できない反応を指す。因果関係の判定を行う際には、投与中止後の消失、投与再開後の再発、既に当該被験薬又は類薬において因果関係が確立、交絡するリスク因子がない、曝露量・曝露期間との整合性がある、正確な既往歴の裏付けにより被験薬の関与がほぼ間違いなく説明可能、併用治療が原因である合理的な可能性がみられない等を参考にすることができる。

市販薬については以下のとおり:
疾病の予防、診断、治療又は生理機能の調整のために用いられる通常の投与量範囲で投与された医薬品に対するあらゆる有害で意図しない反応(臨床検査値の異常を含む。)。すなわち、当該医薬品と有害事象との間の因果関係について、?なくとも合理的な可能性があり、因果関係を否定できない反応を指す。

(なお、本基準においては、副作用という用語を、薬理作用の中で主作用に対する副作用を意味する英語の side effectではなく、薬物有害反応 adverse drug reactionに対応する意味で用いている。)

(11)「盲検化(又は遮蔽化)」とは、薬効評価に対する偏りの介入を避ける目的で、治験に参加する単数又は複数の当事者が、治療方法の割付けについて知らされないようにする措置をいう。単盲検法は通常、被験者が割付けの内容を知らされないこと、二重盲検法は被験者、治験責任医師、治験分担医師、治験協力者、治験依頼者、自ら治験を実施する者、モニター、監査担当者及び一部の事例ではデータ解析者が割付けの内容を知らされないことを指す。
なお、ここでいう「治験依頼者が割付の内容を知らされないこと」とは、治験依頼者において手順を定めるなど割付内容の機密性を確保するための必要な措置が講じられており、かつ、医薬品の開発に係る部門が割付の内容を知らされないことを意味するものである。
関連「治験119」

質問番号:(4) 代諾者の範囲

治験における「代諾者」について教えてください。

1) GCPでは「この省令において「代諾者」とは、被験者の親権を行う者、配偶者、後見人その他これに準じる者をいう。」とされています。ここにあげている「その他これに準じる者」とは、どのような立場の人を指しているのですか?

2) 傷病により意識がないか、意識障害のある場合において、代諾者に親族は含まれますか?

3) 含まれている場合、配偶者や親などの高位のものが優先されるべきかと思いますが、厳密に高位の方の意思を確認する必要はありますか?

4) 医師の説明を聞いた親族で良いですか?

5) 内縁関係にあるものは、代諾者に含まれるのですか?

6) 精神障害者の保護者は、配偶者、親権者、扶養義務者もしくは市長村長となっているようですが、この保護者にあたるかたすべてが代諾者になることはできますか?

親権者、後見人、親族、姻族の解釈は以下の通りと思っています。

親権者:親権を行う者 父母の婚姻中は父母が共に親権者となるが、父母が離婚したときはその一方のみが親権者となる。
後見人:(法)禁治産者又は親権者を欠く未成年者のために財産管理や身上監護の任に当たるべき者。法定代理人でもある。
親 族:民法上、六親等内の血族、配偶者及び三親等内の姻族をいう。
姻 族:婚姻によりできた親戚。配偶者の血族。すなわち夫からみて妻の父母兄弟の類。


製薬協見解

1) GCP第2条ガイダンス11によれば、「被験者とともに、又は被験者に代わって同意をすることが正当なものと認められる者であり、被験者の親権を行う者、配偶者、後見人その他これらにに準じる者で、両者の生活の実質や精神的共同関係から見て、被験者の最善の利益を図りうる者」とみなすことができれば、すべて代諾者といえます。 なお、緊急時では、付き添いの友人ではどうかとの議論もあります。しかし、この場合は、GCP第55条(緊急状況下における救命的治験)で対応すべきで、代諾者としない方が妥当と思われます。

2) 親族といえども、1)の条件を満たさなければ、代諾者となりえません。

3) 一般的には、被験者との関係が近い方の(高位の)立場にある代諾者の意思を優先すべきです。しかし、そのことについては、GCPで規定されていませんので、あまり固守する必要はないと考えています。この場合も、やはり、1)の条件を満たしているか否かを判断の基準にすべきと思われます。 なお、複数の代諾者(の資格者)がいて、相反する考えを示したような場合、(1)被験者との関係がより近い方の(高位の)代諾者の考えを採用する、(2)同意が得られなかったとみなす、(3)第三者の意見を参考に判断する、等の対応が考えられますので、あらかじめ、その妥当性について治験審査委員会の意見を聴いておくと、その時になって慌てることなく適格な対応がとれると思われます。

4) 説明を聞いた親族であれば誰でもよいというわけではありません。やはり、1)の条件を満たしているか否かを判断の基準にすべきと思われます。逆にいえば、1)の条件を満たしていることを確認したうえで説明することが肝要といえます。

5) 内縁関係であっても、1)の条件を満たしているのであれば、代諾者となりうると考えられます。

6) 「精神保健及び精神障害者福祉に関する法律」において、「保護者がいない時等においては、その精神障害者の居住地を管轄する市町村長が保護者となる。」と規定(第21条)されていますが、市町村長については、1)の条件を満たしているとは考えにくいため、代諾者から除外して取り扱うべきと思われます。
 ■次のページへ>>

このページのトップへ

GCPのトップページへ

モニターへの道のトップページへ

inserted by FC2 system