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 「GCPガイダンス」と「治験119」の合体:GCPの注意事項、GCPのグレーゾーン(12)
(継続審査等)

第31条 実施医療機関の長は、治験の期間が1年を越える場合には、1年に1回以上、当該実施医療機関において治験を継続して行うことの適否について前条第1項の規定により意見を聴いた治験審査委員会の意見を、当該治験を継続して行うことの適否の判断の前提となる特定の専門的事項について前条第4項の規定により意見を聴いた専門治験審査委員会がある場合にあっては当該専門治験審査委員会の意見を聴かなければならない。

2 実施医療機関の長は、第20条第2項及び第3項、第26条の6第2項並びに第48条第2項及び第3項の規定により通知を受けたとき、第54条第3項の規定により報告を受けたときその他実施医療機関の長が必要があると認めたときは、当該実施医療機関において治験を継続して行うことの適否について前条第1項の規定により意見を聴いた治験審査委員会の意見を、当該治験を継続して行うことの適否の判断の前提となる特定の専門的事項について前条第4項の規定により意見を聴いた専門治験審査委員会がある場合にあっては当該専門治験審査委員会の意見を聴かなければならない。

3 前2項の規定により専門治験審査委員会の意見を聴く場合については、前条第5項の規定を準用する。

4 実施医療機関の長は、第26条の8第2項に規定するモニタリング報告書を受け取ったとき又は第26条の9第3項に規定する監査報告書を受け取ったときは、当該実施医療機関において治験が適切に行われているかどうか又は適切に行われたかどうかについて、前条第1項の規定により意見を聴いた治験審査委員会の意見を聴かなければならない。
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〈第1項〉(第28条第2項第4号参照)

1 実施医療機関の長は、治験の期間が1年を越える場合には、1年に1回以上、当該実施医療機関において治験を継続して行うことの適否について第30条第1項の規定により意見を聴いた治験審査委員会の意見を聴く他、当該治験を継続して行うことの適否の判断の前提となる特定の専門的事項について第30条第4項の規定により意見を聴いた専門治験審査委員会がある場合には、当該専門治験審査委員会の意見を聴くこと。

2 治験審査委員会及び第30条第4項の規定により意見を聴いた専門治験審査委員会がある場合には当該専門治験審査委員会は、実施中の各治験について、被験者に対する危険の程度に応じて、?なくとも1年に1回の頻度で治験が適切に実施されているか否かを継続的に審査すること。また、必要に応じて、治験の実施状況について調査すること。

3 継続審査を行う治験審査委員会は、第30条第1項の規定により意見を聴いた治験審査委員会及び第30条第4項の規定により意見を聴いた専門治験審査委員会がある場合には当該専門治験審査委員会である。

〈第2項〉

1 実施医療機関の長は、副作用情報等の報告等を受けたときは、当該実施医療機関において治験を継続して行うことの適否について第30条第1項の規定により意見を聴いた治験審査委員会の意見を聴くほか、当該治験を継続して行うことの適否の判断の前提となる特定の専門的事項について第30条第4項の規定により意見を聴いた専門治験審査委員会がある場合には、当該専門治験審査委員会の意見を聴くこと。
なお、実施医療機関の長は、治験安全性最新報告概要及び国内重篤副作用等症例の発現状況一覧において副作用等症例の発現がなかった場合は、治験審査委員会の意見を聴かなくてもよいこと。

2 治験審査委員会又は専門治験審査委員会の意見を聴く場合には、これらの治験審査委員会が事態の緊急性に応じて速やかに意見を述べることができるよう、実施医療機関の長は、第30条第2項若しくは第30条第6項の規定による契約又は第28条第2項に規定する手順書において治験審査委員会との連絡方法等について明らかにしておくこと。

3 実施医療機関の長は、重篤で予測できない副作用等について治験依頼者から通知を受けた場合(第20条第3項参照)、重篤な有害事象について治験責任医師から報告又は通知を受けた場合(第48条第2項)、治験に継続して参加するかどうかについて被験者の意思に影響を与えるものと認められる情報を入手し、説明文書を改訂した旨治験責任医師から報告を受けた場合(第54条第3項参照)その他実施医療機関の長が必要であると認めたときは、第30条第1項の規定により意見を聴いた治験審査委員会の意見を、第30条第4項の規定により意見を聴いた専門治験審査委員会がある場合には当該専門治験審査委員会の意見を聴くこと。
なお、この場合の「実施医療機関の長が必要であると認めたとき」とは、治験の実施に影響を与えるもので、被験者に対する精神的及び身体的侵襲の可能性があり、被験者への危険を増大させる変更をいう。

注1)実施医療機関の長は、治験期間を通じて、治験審査委員会の審査の対象となる文書(第32条第1項参照)を最新のものにすること。治験依頼者から追加、更新又は改訂された当該文書が提出された場合には治験審査委員会及び治験責任医師に、治験責任医師から追加、更新又は改訂された当該文書が提出された場合には治験審査委員会及び治験依頼者に、それらの当該文書のすべてを速やかに提出すること。

注2)治験依頼者は、治験期間を通じて、治験審査委員会の審査の対象となる文書のうち、治験依頼者が提出すべき文書を最新のものにすること。当該文書が追加、更新又は改訂された場合には、そのすべてを速やかに実施医療機関の長に提出すること。なお、治験実施計画書の改訂にあっては、第7条第1項の規定に基づき治験実施計画書の分冊を作成しており、当該分冊に記載された当該実施医療機関以外の実施医療機関に特有の情報を改訂する場合を除いて差し支えないこと。注3)治験責任医師は、治験実施前及び治験期間を通じて、治験審査委員会の審査の対象となる文書のうち、治験責任医師が提出すべき文書を最新のものにすること。当該文書が追加、更新又は改訂された場合には、そのすべてを速やかに実施医療機関の長に提出すること。

4 実施医療機関の長は、自ら治験を実施する者の行う治験について治験中の副作用に関する報告を受けたとき(第26条の6第2項参照)、治験薬の副作用によると疑われる死亡その他重篤な有害事象の発生を認め治験責任医師から報告を受けた場合(第48条第3項参照)その他必要と認めるときは、治験の継続の適否について治験審査委員会の意見を、第30条第4項の規定により意見を聴いた専門治験審査委員会がある場合には当該専門治験審査委員会の意見を聴くこと。

〈第3項〉

1 実施医療機関の長は、第1項又は第2項の規定により意見を聴いた専門治験審査委員会が意見を述べたときは、速やかに当該意見を特定の専門的事項について意見を聴かれた治験審査委員会に報告すること。

〈第4項〉

1 実施医療機関の長は、自ら治験を実施する者の行う治験について、モニタリングの報告書又は監査報告書を受け取ったときは、当該実施医療機関における治験の実施の適切性について、治験審査委員会の意見を聴くこと。
なお、本項の趣旨は、モニタリング又は監査が適切に実施されたことを確認するための規定であり、自ら治験を実施する者が行う治験が適切に行われたことについて、モニタリング又は監査に関して、治験審査委員会による確認も合わせて実施することにより、モニタリング、監査及び治験審査委員会が相互に点検する趣旨のものである。

注)第30条第1項の規定により、2つ以上の治験審査委員会の意見を聴いた場合には、治験の継続審査等についても、同様の治験審査委員会に意見を聴くこと。
質問番号:2008-12 継続審査時期の起算日

【背景】

2005年7月4日:初回IRB審査日
2005年7月7日:初回治験契約日
2006年4月 :継続審査を2006年7月に予定しているが、開催予定日が7月11日であり、初回IRB審査日より1年以上経過することについて治験事務局に問題ないことを確認(モニタリング報告書にその旨を記録)
2006年7月11日:継続審査

【質問】

@ GCP第31条では治験の期間が1年を超える場合には、1年に1回以上継続審査を実施することとなっておりますが、「1年に1回以上」の起算日はいつとするのが望ましいのでしょうか。継続審査は、初回契約日から365日以内に実施するのが一般的でしょうか。

A 仮に初回契約日を起算日とする場合、上記のような対応をしていれば、1年後の同月のIRBでの審査でも問題ないかと存じますが、問題ございますでしょうか。


製薬協見解

GCP第31条第1項には、治験の期間が1年を超える場合には、1年に1回以上、当該実施医療機関において治験を継続して行うことの適否について治験審査委員会の意見を聴く旨が規定されておりますが、この「1年に1回以上」の起算日について、GCP省令又はガイダンス等では説明されておりません。しかし、「治験の期間」が、治験実施計画書で規定する投薬、観察等を実施する期間であることから考えると、当該起算日を初回治験審査委員会開催日ではなく、治験の契約締結日とすることで良いと考えます。

また、ご質問のように「1年に1回以上」を厳密に解釈すると、数日の遅れも許されないように読めますが、治験を継続して行うことの適否について適切に審査することができれば、治験審査委員会の開催日の設定によって数日単位のずれが生じることは差し支えないものと思います。

なお、治験審査委員会による継続審査の目的は、被験者の人権、安全及び福祉の保護の観点から、治験実施状況をレビューすることですので、被験者へのリスクに応じて、1年後より早い期間に継続審査時期を設定することが必要な場合もあると思われます。
(治験審査委員会の責務)

第32条 第27条第1項の治験審査委員会(以下本条において「治験審査委員会」という。)は、第30条第1項の規定により実施医療機関の長から意見を聴かれたときは、審査の対象とされる治験が倫理的及び科学的に妥当であるかどうかその他当該治験が当該実施医療機関において行うのに適当であるかどうかを、次に掲げる資料に基づき審査し、文書により意見を述べなければならない。

1)第10条第1項各号又は第15条の7各号に掲げる文書

2)被験者の募集の手順に関する資料

3)第7条第5項又は第15条の4第4項に規定する情報その他治験を適正に行うために重要な情報を記載した文書

4)治験責任医師等となるべき者の履歴書

5)その他当該治験審査委員会が必要と認める資料

2 専門治験審査委員会は、第30条第4項の規定により実施医療機関の長から意見を聴かれたときは、審査の対象とされる特定の専門的事項について前項各号に掲げる資料(当該専門治験審査委員会が必要と認めるものに限る。)に基づき審査し、文書により意見を述べなければならない。

3 治験審査委員会及び専門治験審査委員会は、前条第1項又は第2項の規定により実施医療機関の長から意見を聴かれたときは、治験審査委員会にあっては当該実施医療機関において当該治験が適切に行われているかどうかを調査した上、当該実施医療機関において治験を継続して行うことの適否を審査し、文書により意見を、専門治験審査委員会にあっては意見を聴かれた特定の専門的事項について調査をした上、当該治験を継続して行うことの適否の判断の前提となる専門的事項を審査し、文書により意見を、それぞれ意見を聴かれた事項に係る事態の緊急性に応じて速やかに述べなければならない。

4 治験審査委員会は、前条第4項の規定により、実施医療機関の長から意見を聴かれたときは、当該実施医療機関において当該治験が適切に行われているかどうか又は適切に行われていたかどうかについて審査し、文書により意見を述べなければならない。

5 第30条第4項の規定により実施医療機関の長が専門治験審査委員会の意見を聴いた場合においては、治験審査委員会は、第1項又は第3項の規定により意見を述べるに当たり、同条第5項(前条第3項において準用する場合を含む。)の規定により報告された当該専門治験審査委員会の意見を踏まえて、これを行わなければならない。

6 実施医療機関の長は、第1項又は第3項の規定による治験審査委員会の意見を治験の依頼をしようとする者又は治験依頼者及び治験責任医師となるべき者又は治験責任医師に文書により通知しなければならない。

7 実施医療機関の長は、第1項、第3項又は第4項の規定による治験審査委員会の意見を自ら治験を実施しようとする者又は自ら治験を実施する者に文書により通知しなければならない。

8 第6項に規定する文書による通知については、第10条第2項から第6項までの規定を準用する。この場合において、これらの規定中「治験の依頼をしようとする者」とあるのは「実施医療機関の長」と、「実施医療機関の長」とあるのは「治験の依頼をしようとする者又は治験依頼者」と読み替えるものとする。
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〈第1項〉〈第2項〉

1 治験審査委員会は、すべての被験者の人権の保護、安全の保持及び福祉の向上を図ること。社会的に弱い立場にある者を被験者とする可能性のある治験には特に注意を払うこと。

2 治験審査委員会は、その責務の遂行のために、審査対象として以下の文書の最新のものを実施医療機関の長等から入手すること(専門治験審査委員会にあっては、専門治験審査委員会が必要と認めるものに限る。)。

(1)治験の依頼をしようとする者による治験においては、第10条第1項各号に掲げる文書。

@ 治験実施計画書

A 治験薬概要書

B 症例報告書の見本(治験実施計画書において、症例報告書に記載すべき事項が十分に読み取れる場合は、当該治験実施計画書をもって症例報告書の見本に関する事項を含むものと解してよい。)

C 説明文書(説明文書と同意文書は一体化した文書又は一式の文書として取扱われたい(第2条の解説15の(1)のA及びBを参照。)

D 治験責任医師等の氏名を記載した文書(治験責任医師となるべき者がその要件を満たすことを証明した履歴書及びその他の文書並びに治験分担医師となるべき者の氏名リスト(治験審査委員会が必要と認める場合には治験分担医師の履歴書))

E 治験の費用の負担について説明した文書(被験者への支払(支払がある場合)に関する資料)
なお、治験審査委員会が必要と認める場合、治験依頼者から支払われることが予定されている治験費用に関する資料の提出を求めることができる。

F 被験者の健康被害の補償について説明した文書

G その他の必要な文書

(2)自ら治験を実施しようとする者による治験においては、第15条の7各号に掲げる文書。

@ 治験実施計画書

A 治験薬概要書(第15条の5第2項の規定により改訂されたものを含む。)

B 症例報告書の見本(治験実施計画書において、症例報告書に記載すべき事項が十分に読み取れる場合は、当該治験実施計画書をもって症例報告書の見本に関する事項を含むものと解してよい。)

C 説明文書

D モニタリングに関する手順書

E 監査に関する計画書及び業務に関する手順書

F 治験分担医師となるべき者の氏名を記載した文書

G 治験薬の管理に関する事項を記載した文書

H この省令の規定により自ら治験を実施する者及び実施医療機関に従事する者が行う通知に関する事項を記載した文書

I 治験の費用に関する事項を記載した文書(第15条の7の解説10を参照)

J 被験者の健康被害の補償に関する事項を記載した文書

K 実施医療機関が自ら治験を実施する者の求めに応じて第41条第2項各号に掲げる記録(文書を含む。)を閲覧に供する旨を記載した文書

L 実施医療機関がこの省令又は治験実施計画書に違反することにより適正な治験に支障を及ぼしたと認める場合(第46条に規定する場合を除く。)には、自ら治験を実施する者は治験を中止することができる旨を記載した文書

M その他治験が適正かつ円滑に行われることを確保するために必要な事項を記載した文書

注)第20条第4項又は第26条の6第3項により治験実施計画書・治験薬概要書が、第54条第2項により説明文書が改訂される場合がある。

(3)被験者の募集手順(広告等)に関する資料。

(4)被験者の安全等に係る報告(第7条第5項又は第15条の4第4項に規定する情報その他治験を適正に行うために重要な情報を記載した文書)(第31条第2項参照)。

(5)治験責任医師となるべき者の履歴書(調査審議に必要な場合には治験分担医師の履歴書)。治験責任医師等となるべき者の履歴書には、当該治験責任医師等の学歴とともに、過去に治験責任医師等その他医学的な専門家として治験に参加した経歴等や学会の認定医等の情報も含んだものであることが望ましい。

(6)その他治験審査委員会が必要と認める資料(企業との連携がある場合、利益相反に関する資料等)。

3 治験審査委員会は、第30条第1項又は第4項の規定により、意見を聴かれたときは、倫理的、科学的及び医学的・薬学的観点から治験の実施について適切な期間内に審査を行い、その意見を文書で表明し、実施医療機関の長に通知すること。文書には審査対象の治験、審査した資料、審査日及び当該治験に対する治験審査委員会の意見が原則として次の(1)から(3)のいずれに該当するかについて明確に示されていること。

(1)承認する。

(2)修正の上で承認する。

(3)却下する。

なお、専門治験審査委員会においては、治験の実施の適否の判断の前提となる特定の専門的事項について、上記の意見の提示の仕方が適切でない場合は、上記以外の陳述等により意見を述べることも妨げられるものではない。

4 治験審査委員会は、実施医療機関が十分な臨床観察及び試験検査を行うことができ、かつ、緊急時に必要な措置を採ることができるなど当該治験を適切に実施することができるか否かを検討すること。

5 治験審査委員会は、治験責任医師等が当該治験を実施する上で適格であるか否かをその最新の履歴書等により検討すること。

6 治験審査委員会は、被験者の人権の保護、安全の保持及び福祉の向上を図る上で追加の情報が意味のある寄与をすると判断した場合には、説明文書に求められる事項(第51条参照)以上の情報を被験者に提供するように要求することができる。

7 被験者の代諾者の同意に基づき、被験者に対して直接の臨床的利益が予期されない非治療的な内容の治験が行われることが計画されている場合(第7条第2項及び第15条の4第2項参照)には、治験審査委員会は、提出された治験実施計画書及びその他の文書が、関連する倫理的問題を適切に配慮しており、かつ、第7条第2項又は第15条の4第2項の規定に従っているものであることを確認すること。なお、治験審査委員会の承認文書中に、同意を得ることが困難な者を対象とすることを承認する旨が明記されていること(第28条第2項参照)。

8 被験者及びその代諾者の事前の同意を得ることが不可能な緊急状況下における救命的な内容の治験が行われることが計画されている場合(第7条第3項及び第15条の4第3項参照)には、治験審査委員会は、提出された治験実施計画書及びその他の文書が、関連する倫理的問題を適切に配慮しており、かつ、第7条第3項又は第15条の4第3項の規定に従っているものであることを確認すること。なお、治験審査委員会の承認文書中に、被験者及び代諾者の同意なしに治験に参加する際の人権の保護、安全の保持及び福祉の向上を図るための方法が明記されていること(第28条第2項参照)。

9 治験審査委員会は、被験者に対する金銭等の支払がある場合には、その支払額及び支払方法を審査し、これらが被験者に治験への参加を強制したり、不当な影響を及ぼさないことを確認すること。被験者への金銭等の支払は、参加期間等によって案分されなければならず、被験者が治験を完遂しなければ支払が全くなされないような方法は不適当である。

10 治験審査委員会は、被験者に対する金銭等の支払がある場合には、その支払方法、支払金額、支払時期等の情報が説明文書に記述されていることを確認し、参加期間等による案分の方法が明記されていることを確認すること。

11 治験審査委員会は、必要と認める場合は、実施医療機関の長に治験依頼者から支払われることが予定されている治験費用又は自ら治験を実施する者が確保する治験費用に関する資料の提出を求め、その内容及び支払方法又は確保の方法を審査し、これらが適正であるか否かを確認することができる。
この場合において、治験依頼者等は、求められた資料を実施医療機関の長に提出すること。

12 専門治験審査委員会は、第30条第4項の規定により実施医療機関の長から意見を聴かれた場合には、当該意見を聴かれた専門的事項の科学的、倫理的妥当性について意見を述べること。なお、専門治験審査委員会においては、治験の実施の適否の判断の前提となる特定の専門的事項に関する調査審議について、3から11までの規定を準用すること。

〈第3項〉

1 治験審査員会及び専門治験審査委員会は、第31条第1項又は第2項の規定により意見を聴かれた場合には、それぞれ意見を聴かれた事項に係る事態の緊急性に応じて、速やかに意見を述べること。

2 治験審査委員会は、第31条第1項又は第2項の規定により実施医療機関の長から治験 の継続の適否について意見を聴かれたときは、当該治験の実施状況について必要に応じて調査した上、倫理的、科学的及び医学的・薬学的観点から、治験の継続について事態の緊急性に応じて速やかに審査を行い、その意見を文書で表明し、実施医療機関の長に通知すること。文書には審査対象の治験、審査した資料、審査日及び当該治験に対する治験審査委員会の意見が原則として次の(1)から(3)のいずれに該当するかについて明確に示されていること。

(1)承認する。

(2)修正の上で承認する。

(3)既に承認した事項を取り消す(治験の中止又は中断を含む。)。

なお、専門治験審査委員会においては、治験の継続の適否の判断の前提となる特定の専門的事項について、上記の意見の提示の仕方が適切でない場合は、上記以外の陳述等により意見を述べることも妨げられるものではない。

3 治験審査委員会及び専門治験審査委員会が、事態の緊急性ゆえに速やかに意見を述べる事項について、あらかじめ、第28条第2項に規定する手順書により明確にしておくこと。

4 治験依頼者による治験においては、あらかじめ、治験依頼者、治験審査委員会等及び実施医療機関の長の合意が得られている場合には、第20条第2項及び第3項に関する治験を継続して行うことの適否についての意見に限り、治験審査委員会等は、実施医療機関の長に加えて治験責任医師及び治験依頼者にも同時に文書により意見を述べることができる。この場合、本条第6項の規定に基づき、治験審査委員会等の意見を実施医療機関の長が治験依頼者及び治験責任医師に文書により通知したものとみなす。

5 自ら治験を実施する者が実施する治験においては、あらかじめ、自ら治験を実施する者、治験審査委員会等及び実施医療機関の長の合意が得られている場合には、第26条の6第2項に関する治験を継続して行うことの適否についての意見に限り、治験審査委員会等は、実施医療機関の長に加えて自ら治験を実施する者にも同時に文書により意見を述べることができる。この場合、本条第7項の規定に基づき、治験審査委員会等の意見を実施医療機関の長が自ら治験を実施する者に文書により通知したものとみなす。

〈第4項〉

1 治験審査委員会は、自ら治験を実施する者が実施する治験について、実施医療機関の長から意見を聴かれたときは、当該治験が適切に行われているかどうか又は適切に行われていたかどうかについて適切な期間内に審査し、文書により実施医療機関の長に意見を述べること。
なお、本項の趣旨は、モニタリング又は監査が適切に実施されたことを確認するための規定であり、自ら治験を実施する者が行う治験が適切に行われたことについて、モニタリング又は監査に関して、治験審査委員会による確認も合わせて実施することにより、モニタリング、監査及び治験審査委員会が相互に点検する趣旨のものである。

〈第5項〉

1 治験審査委員会は、第30条第4項の規定により実施医療機関の長が専門治験審査委員会の意見を聴いた場合には、第30条第5項(第31条第3項において準用する場合を含む。)の規定により実施医療機関の長から報告された専門治験審査委員会の意見を踏まえて、当該実施医療機関における地域的特性、当該実施医療機関において被験者となる集団の特性等その他当該実施医療機関に固有の事項について考慮した上で、当該治験を実施又は継続することの適否についての意見を述べること。

2 実施医療機関の長に対して治験の実施又は継続の適否について最終的な意見を述べる治験審査委員会は、第30条第1項の規定により意見を聴く治験審査委員会である。

3 治験審査委員会は、専門治験審査委員会の意見を十分に尊重した上で、治験の実施又は継続の適否についての意見を述べること。

〈第6項〉〈第7項〉

1 実施医療機関の長は、治験審査委員会が治験の実施を承認する決定を下し、その旨を通知してきた場合には、これに基づく実施医療機関の長の指示、決定を、当該治験審査委員会が承認したことを証する文書とともに、治験の依頼をしようとする者による治験においては治験の依頼をしようとする者及び治験責任医師となるべき者に、自ら治験を実施しようとする者による治験においては自ら治験を実施しようとする者に、文書で通知すること。

2 実施医療機関の長は、治験審査委員会が治験実施計画書、説明文書及びその他の手順について、何らかの修正を条件に治験の実施を承認する決定を下し、その旨を通知してきた場合には、これに基づく実施医療機関の長の指示、決定を、当該治験審査委員会が修正を条件に承認したことを証する文書とともに、治験の依頼をしようとする者による治験においては治験の依頼をしようとする者及び治験責任医師となるべき者に、自ら治験を実施しようとする者による治験においては自ら治験を実施しようとする者に、文書で通知すること。

3 実施医療機関の長は、治験審査委員会が治験の実施を却下する決定を下し、その旨を通知してきた場合には、治験の実施を了承できない旨の実施医療機関の長の決定を、治験審査委員会が却下したことを証する文書とともに、治験の依頼をしようとする者による治験においては治験の依頼をしようとする者及び治験責任医師となるべき者に、自ら治験を実施しようとする者による治験においては自ら治験を実施しようとする者に、速やかに文書で通知すること。また、実施医療機関の長は、治験審査委員会の決定について、治験の依頼をしようとする者による治験においては治験の依頼をしようとする者及び治験責任医師となるべき者に、自ら治験を実施しようとする者による治験においては自ら治験を実施しようとする者に、文書で詳細に説明すること。

4 実施医療機関の長は、治験審査委員会が実施中の治験の継続審査等において、治験の継続を承認する決定を下し、又は治験実施計画書、説明文書及びその他の手順について何らかの修正を条件に治験の継続を承認する決定を下し、その旨を通知してきた場合には、これに基づく実施医療機関の長の指示、決定を、当該治験審査委員会が承認したことを証する文書又は修正を条件に承認したことを証する文書とともに、治験依頼者による治験においては治験依頼者及び治験責任医師に、自ら治験を実施する者による治験においては自ら治験を実施する者に、文書で通知すること。

5 実施医療機関の長は、治験審査委員会が実施中の治験の継続審査等において、治験審査委員会が既に承認した事項の取消し(治験の中止又は中断を含む。)の決定を下し、その旨を通知してきた場合には、これに基づく実施医療機関の長の指示、決定を、治験審査委員会が取り消したことを証する文書とともに、治験依頼者による治験においては治験責任医師及び治験依頼者に、自ら治験を実施する者による治験においては自ら治験を実施する者に、速やかに通知すること。また、実施医療機関の長は、治験審査委員会の決定について、治験依頼者による治験においては治験責任医師及び治験依頼者に、自ら治験を実施する者による治験においては自ら治験を実施する者に、文書で詳細に説明すること。
関連する治験119

質問番号:2005-08 被験者募集広告の街頭配布

被験者募集の情報提供の方法についてですが、「1、情報提供の方法 ポスター、新聞、雑誌、チラシ、テレビ、ラジオ、インターネット上ホームページ等、多くの情報伝達媒体を利用することが可能である。
ただし、チラシを無理やり手渡す等、強制的なものであってはならない」とありますが、街頭でビラを配布するような一人一人に手渡すような行為(強制的でなく)をしても宜しいのでしょうか。


製薬協見解

平成10年9月29日医薬監第148号「薬事法における医薬品等の広告の妥当性について」及び平成11年6月30日医薬監第65号「治験に係る被験者募集の情報提供の取扱いについて」、及び平成12年3月監視指導実務連絡「治験に係わる被験者募集のための情報提供要領」に従って、情報提供内容に誇張や誤解等を与える表現がないように注意し、強制的にビラを配布しなければ問題無いと思われます。
またGCP第32条第1項2)「被験者の募集の手順に関する資料」に基づき、被験者募集の情報提供の方法については治験審査委員会の意見を聴く必要があり、審議の対象となります。
質問番号:2008-51 被験者募集広告の掲示場所

被験者募集広告については、院内掲示、各種メディア等で行われているのが一般的ですが、医療機関広告として出している自施設の看板(街中等)に【疾患名治験実施中】をIRB承認があれば実施可能でしょうか?
(背景)
本院を含む治験ネットワークにて受託している治験において、プライベートのクリニック等はよく野立ての看板を立てており、被験者募集の一環として使用できないかと相談を受けております。治験依頼者の意見も伺いながらIRBへ審議依頼しようかと検討中です。


製薬協見解

GCPでは被験者募集に係る広告の手段に対する規定はありません。
ただし、医療機関が主体となり行う広告については、医療法(平成20年4月1日医政発第0401040号「医療広告ガイドライン」等の関連規定を含む)に従った手段及び広告内容としておく必要があります注)。

特定の治験を対象とした被験者募集広告を行うにあたっては、GCP第32条第1項第2号「被験者の募集の手順に関する資料」に該当しますので、治験審査委員会による審査が必要となります。

ご質問の院外の看板による広告ですが、上記規制に対応しており、治験審査委員会の承認があれば可能と思われます。しかし、病院内とは異なり、多くの一般の方々の目に触れることになりますので、記載内容や表現については十分に注意し、記載内容に変更があった場合には、速やかに修正を行う必要もあります(治験終了後も「治験実施中」のまま放置されることのないよう留意が必要です)。
なお、広告にあたっては、あらかじめ治験依頼者の了解も得ておくことが望ましいものと思われます。

注)治験依頼者が主体となる広告においては、薬事法(平成11年6月30日医薬監第65号「治験に係る被験者募集の情報提供の取扱いについて」等の関連規定を含む)への対応が必要となります。
質問番号:2009-20 被験者募集ポスターへの(基礎治療薬)商品名の記載について

医療機関における広告は、医療法、薬事法等で色々な制限を受けると思いますが、被験者募集のためのポスター(院内掲示用)に基礎治療薬の商品名を記載してよいかどうかご教示下さい。
治験薬の上乗せ効果を確認する試験において、治験依頼者から提供を受けた被験者募集のためのポスター案には、「○○剤*1で治療中の方」という参加条件の記載がございます。「○○剤」(薬物群の名称)では患者さんには分かりにくいため、院内で採用している薬剤の商品名を記載したいと考えております。
記載例@
「△△△*2、□□□*2、×××*2等の○○剤*1で治療中の方」
記載例A
「△△△*2、□□□*2、×××*2で治療中の方」
*1:ヒスタミンH2受容体拮抗剤、ACE阻害薬、スルホニール塩素系血圧降下薬等の薬物群の名称
*2:いずれも商品名


製薬協見解

被験者募集に際しての情報提供の内容は、治験実施計画書の内容に沿って被験者の方にわかりやすい用語・文章にて記載することが望ましいと考えます。

情報提供の一つとして、治験に参加いただける基準(対象基準)として記載される「○○剤」という用語がわかりにくいようでしたら、その用語の解説として院内にて処方されています販売名の具体例を追加記載されても問題ないと考えます。
なお、一般人向けに医療用医薬品の広告を行うことは禁止されておりますが、この場合は当該医薬品の広告が目的ではなく治験の広告であること、掲載場所が病院内であり通院患者のみを対象としていることから、特に問題とはならないものと考えます。

商品名の追加記載にあたりましては、過分な医薬品広告と受け取られないようご留意ください。
例えば、
「○○剤*1で治療中の方。 *1 当院では、△△△、□□□、×××等が処方されています。」
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