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 「GCPガイダンス」と「治験119」の合体:GCPの注意事項、GCPのグレーゾーン(14)
(モニタリング等への協力)

第37条 実施医療機関の長は、治験依頼者が実施し、又は自ら治験を実施する者が実施させるモニタリング及び監査並びに第27条第1項の治験審査委員会及び専門治験審査委員会(専門治験審査委員会にあっては、第30条第4項の規定により意見を聴く場合に限る。以下「治験審査委員会等」という。)による調査に協力しなければならない。

2 実施医療機関の長は、前項のモニタリング、監査又は調査が実施される際には、モニター、監査担当者又は治験審査委員会等の求めに応じ、第41条第2項各号に掲げる治験に関する記録を閲覧に供しなければならない。
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〈第1項〉〈第2項〉

1 実施医療機関の長は、治験依頼者によるモニタリング、監査並びに治験審査委員会及び規制当局による調査を受け入れ、これに協力すること。また、モニター、監査担当者、治験審査委員会又は規制当局の求めに応じ、原資料等のすべての治験関連記録を直接閲覧に供すること。
なお、実施医療機関の長は、これらによる調査が適切かつ速やかに行われるよう協力すること。

注1)モニタリングには、治験の実施を開始する前に、実施医療機関及び治験責任医師等が治験を適切に実施するのに求められる要件を満たしているか否かを確認することが含まれる。

注2)治験責任医師は、治験依頼者によるモニタリング、監査並びに治験審査委員会及び規制当局による調査を受け入れ、協力すること。治験責任医師は、モニター、監査担当者、治験審査委員会又は規制当局の求めに応じて、原資料等のすべての治験関連記録を直接閲覧に供すること(第42条参照)。なお、治験責任医師は、これらによる調査が適切かつ速やかに行われるよう協力すること。

2 実施医療機関の長は、自ら治験を実施する者の指定する者によるモニタリング、監査並びに治験審査委員会及び規制当局による調査を受け入れ、これに協力すること。なお、実施医療機関の長は、これらによる調査が適切かつ速やかに行われるよう協力すること。
(治験事務局)

第38条 実施医療機関の長は、治験に係る業務に関する事務を行う者を選任しなければならない。
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1 実施医療機関の長は、治験の実施に関する事務及び支援を行う者を指定し、その組織(以下「治験事務局」という。)を設けること。 なお、臨床研究中核病院等が他の実施医療機関とネットワークを形成する場合においては、複数の実施医療機関の長が共同で治験事務局を設置して差し支えないが、その責任は各実施医療機関の長が負うこと。

2 「治験に係る業務に関する事務」とは、実施医療機関の長の指示により行う、以下の(1)から(7)に掲げる事務である。

(1)当該実施医療機関の長が設置した治験審査委員会(当該実施医療機関の長が他の医療機関の長と共同で設置したものを含む。)の委員の指名に関する業務

(2)治験の契約に係る手続き等の業務

(3)治験の実施に必要な手順書を作成すること。

(4)治験審査委員会の審査の対象となる文書(第32条第1項及び第2項参照)及びその他の通知又は報告が、治験依頼者又は治験責任医師から実施医療機関の長に提出された場合には、それらを当該治験審査委員会、治験依頼者又は治験責任医師に提出すること。当該文書が追加、更新又は改訂された場合にも同様とする。

(5)治験審査委員会の意見に基づく実施医療機関の長の指示、決定に関する通知文書を作成し、治験責任医師及び治験依頼者に伝達すること。

(6)記録の保存(治験審査委員会事務局を兼ねる場合には、第34条に定める記録を含む。)

(7)その他治験に関する業務の円滑化を図るために必要な事務及び支援。例えば、実施医療機関内の治験に関与する部門との連携、治験責任医師等の履歴書等の管理、治験依頼者への文書の発送等が該当する。

3 治験事務局は、第28条の「治験審査委員会の事務を行う者」が兼ねることができる。
質問番号:2009-13 治験事務局が治験審査委員会事務局を兼任している場合の記録のファイリング方法について

@ 治験に係る文書又は記録について

平成19年10月に通知された医療機関の保管文書についてですが、病院長保管分と治験審査委員会保管分を分ける必要があるのでしょうか。

通常、事務局が文書を保管しておりますが、IRBが設置されている病院の場合、治験事務局とIRB事務局は兼任しており事務局はひとつです。
その場合にも保管する人が違うと言うことから別々にファイリングしなければならないのでしょうか。
病院長用とIRB委員長用と分けて保管しても結局同じ文書が保管され、原本かコピーかの違いだけで資料だけが増える気がします。

弊社はSMOでして、GCP実地調査には何回か立会いましたが、その際には分けて保管されていなくても何の指摘もありませんでした。
しかし、製薬会社からは分けて保管が必要なのではないかと言ってこられるところがあります。

A 治験審査委員会の設置について

あるクリニックで現在は訪問介護中心で治験の対象となる患者があまりいない状況なのですが、治験に大変前向きなクリニックがあります(第35条の実施医療機関の要件は満たしております)。
そのクリニックはグループ内で治験をやれそうなクリニックもあるので、IRBは立ち上げておきたいと考えておられます。
その場合、IRBの設置者の条件にある、「実施医療機関の長が設置したIRB」にあたるのでしょうか。


製薬協見解

@ 記録の保存としましては、治験審査委員会を設置した者による保存(GCP第34条)及び実施医療機関に係る保存(GCP第41条)等が規定されております。
また、GCP第41条では「それぞれの記録ごとに記録保存責任者を定めて保存するものとする。」と運用通知で規定されております。

ご質問のような治験審査委員会の設置者と実施医療機関の長が同一の実施医療機関での治験におきましては、治験審査委員会を設置した者による保存(GCP第34条)、及び実施医療機関に係る保存(GCP第41条)で規定されています記録について、実施医療機関の長の指示に従って記録保存責任者が適切に保存しておくことで問題なく、記録を重複して保存しておく必要はありません。
しかし、他の実施医療機関から治験審査委員会の審査を依頼された場合は、両者がそれぞれ記録を保管する必要があります。

A クリニックの院長がこれからの治験実施を想定されて治験審査委員会を設置しておくことは可能です。
また、グループとして複数のクリニックの院長が共同で治験審査委員会を設置することも可能です。
なお、グループ内で治験を実施とのことですが、医療機関は治験審査委員会を設置することはできますが、医療法人そのものが治験審査委員会を設置することはできません。
(治験薬の管理)

第39条 治験薬管理者(治験薬を管理する者をいう。)は、第16条第6項又は第26条の2第6項の手順書に従って治験薬を適切に管理しなければならない。
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1 実施医療機関における治験薬の管理責任は、実施医療機関の長が負うこと。

2 実施医療機関の長は、治験依頼者による治験又は自ら治験を実施する者による治験において、実施医療機関ですべての治験薬を適正に管理させるため、原則として、当該実施医療機関の薬剤師を治験薬管理者として選任すること。
なお、治験薬管理者として薬剤師を選任できない場合には、当該実施医療機関の医師又は歯科医師を選任すること。

3 実施医療機関の長又は治験薬管理者は、治験依頼者又は自ら治験を実施する者の定めるところにより(第16条第6項、第7項並びに第26条の2第6項及び第7項参照)、また、本基準を遵守して治験薬を保管、管理すること。

4 実施医療機関の長又は治験薬管理者は、治験依頼者が作成した治験薬の取扱い及び保管、管理並びにそれらの記録に際して従うべき指示を記載した手順書(第16条第6項参照)に従い、実施医療機関に交付された治験薬の受領、実施医療機関での在庫、被験者ごとの使用状況及び未使用治験薬の治験依頼者への返却又はそれに代わる処分に関して、記録を作成し、保存すること。これらの記録には、日付、数量、製造番号又は製造記号、使用期限(必要な場合)並びに治験薬及び被験者識別コードを含むこと。
また、治験実施計画書に規定された量の治験薬が被験者に投与され、治験依頼者から受領したすべての治験薬の数量が正しく管理されたことを示す記録を作成し、保存すること。

5 実施医療機関の長又は治験薬管理者は、自ら治験を実施する者が作成した若しくは入手した、又は治験薬提供者から提供を受けた治験薬の取扱い及び保管、管理並びにそれらの記録に際して従うべき指示を記載した手順書(第26条の2第6項参照)に従い、治験薬の入手方法及び受領、実施医療機関での在庫、被験者ごとの使用状況及び返却又は処分に関して、記録(日付、数量、製造番号又は製造記号、使用期限(必要な場合)並びに治験薬及び被験者識別コードを含むもの)を作成し、保存すること。
また、治験実施計画書に規定された量の治験薬が被験者に投与され、自ら治験を実施する者から受領したすべての治験薬の数量が正しく管理されたことを示す記録を作成し、保存すること。
質問番号:2008-29 関連医療機関所属の治験薬管理者

【状況】

今回、治験を実施する施設はクリニックとなっております。Aクリニック(仮にAクリニックとさせて頂きます)には、併設されたB総合病院(仮にB総合病院とさせて頂きます)がございます。本治験の治験薬管理者は、所属がB総合病院 薬剤部となっております。

【質問】

治験薬管理者になる方には規定等は、ありますでしょうか。(治験実施施設の所属でなければならない等)
また、今回の場合のように、治験実施施設の所属でない方というのは、治験薬管理者には不適となるのでしょうか。所属が異なっても、問題がないことを確認できればよろしいでしょうか。治験薬管理者になる方のポイント等がございましたら、ご教示頂けると幸いでございます。


製薬協見解

GCP第39条ガイダンス2では、「実施医療機関の長は、・・・・・原則として、当該実施医療機関の薬剤師を治験薬管理者として選任すること。なお、治験薬管理者として薬剤師を選任できない場合には、当該実施医療機関の医師又は歯科医師を選任すること」となっています。

ご質問のケースにおきましてB総合病院の治験における役割が明確ではありませんが、GCP上の「実施医療機関」に所属している薬剤師を治験薬管理者に選任することが原則であり、これが不可能な場合は実施医療機関所属の医師又は歯科医師を治験薬管理者に選任すべきと考えます。
(業務の委託等)

第39条の2 実施医療機関(自ら治験を実施する者が治験を実施する場合にあっては、治験責任医師又は実施医療機関。以下この条において同じ。)は、治験の実施に係る業務の一部を委託する場合には、次に掲げる事項を記載した文書により当該業務を受託する者との契約を締結しなければならない。

1)当該委託に係る業務の範囲

2)当該委託に係る業務の手順に関する事項

3)前号の手順に基づき当該委託に係る業務が適正かつ円滑に行われているかどうかを
実施医療機関が確認することができる旨

4)当該受託者に対する指示に関する事項

5)前号の指示を行った場合において当該措置が講じられたかどうかを実施医療機関が
確認することができる旨

6)当該受託者が実施医療機関に対して行う報告に関する事項

7)その他当該委託に係る業務について必要な事項
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1 治験の実施に係る業務の一部を委託する場合には、治験依頼者による治験にあっては実施医療機関が、自ら治験を実施する者による治験にあっては治験責任医師又は実施医療機関が、当該業務の受託者と契約を締結すること。

2 自ら治験を実施する者による治験にあっては、治験責任医師個人が実施医療機関における業務の一部の委託契約を締結することが適切でない場合には、実施医療機関が当該契約を締結することが適当であること。

3 実施医療機関(自ら治験を実施しようとする者が治験を実施する場合にあっては、治験責任医師又は実施医療機関。以下この条において同じ。)は、治験の実施の業務の一部を外部に委託することができる。この場合において、実施医療機関と当該受託者は文書により、委託業務の範囲、委託業務の手順に関する事項、実施医療機関が、手順書に基づき委託業務が適正かつ円滑に行われているかどうかを確認することができる旨等について記載した文書により契約を締結すること。

4 当該受託者は、実施医療機関とともに、当該受託業務により生じた健康被害に要する費用その他の損失を補償するための手順を定め、当該手順書に従って健康被害の補償に関する業務を実施すること(第14条及び第15条の9参照)。

5 実施医療機関が当該受託者に委託した治験に関する業務については、当該受託者との間で取り交わした文書にすべて明記しておくこと。

6 治験に関する業務のうち、当該受託者に明確に委託されていないものは、すべて実施医療機関が行うこと。

7 受託者は、当該受託業務を本基準に従って行うこと。

8 受託者は、業務終了後も受託者で継続して保存すべき文書又は記録(データを含む。)及びその期間を実施医療機関との契約書に定めること。なお、保存すべき期間については、第41条を参照のこと。

9 受託者は、法第14条第5項後段及び法第80条の2第7項の規定による調査等の対象となる。実施医療機関は、規制当局による調査時に受託者が保存すべき文書又は記録(データを含む。)のすべての記録を直接閲覧に供することを、受託者との治験の契約書に明記すること。

10 受託者は、実施医療機関が行う監査及び規制当局による調査を受け入れること。受託者は、実施医療機関の監査担当者及び規制当局の求めに応じて、保存すべき文書又は記録(データを含む。)のすべての治験関連記録を直接閲覧に供すること。
質問番号:2008-26 派遣CRCの治験協力者としての指名及び契約時期(その2)

質問番号2005-01に派遣CRCの治験協力者としての指名及び契約時期という質疑がありますが、そこでは治験協力者の指名時期は、IRB承認後、SMOとの契約前というご回答がなされております。

治験協力者の定義を見ますと、「実施医療機関において・・・その他の医療関係者をいう。」とされておりますが、当質疑中の基礎契約も業務委受託契約もない派遣CRCは部外者であり、治験責任医師は部外者による協力者リストを作成、部外者を含む治験実施体制による治験実施の申請を行っていることになります。

また、実施医療機関の長は提出された当該リストによる治験実施を了解し、IRBへ審査を依頼し、実施の承認後、先ず部外者を含むリストによる指名を行い、次いでSMOとの契約、治験契約という流れを示されておりますが、SMOとの契約は治験責任医師がリストを作成する前が理想的であり、当質疑のように部外者のリストを黙認する場合には、SMOとの契約後という時期が論理的ではないかと考えます。


製薬協見解

引用されています以前の質問(2005-01)は、実施医療機関とCRCを派遣するSMOとの契約時期について、「GCP上特に問題はない」という見解を述べたもので、この流れを必須と考えているものではございません。

当該質問では、治験責任医師が契約前のSMO所属のCRC名を治験協力者リストに記載されているかと思われますが、それは、あくまで治験協力者の候補がSMOからの派遣であるということを明記するためのものと考えます。

また、実施医療機関はIRBの意見に従ってSMOと契約を締結する考えであり、「部外者のリストを黙認」という意味合いのものではないと考えます。

GCPで規定されています治験協力者の定義は、実施医療機関の長が了承した治験協力者を指していると考えられます。したがいまして、当該実施医療機関でCRCを派遣として雇い入れることがIRBで承認され、その後、特定のCRCを治験協力者として了承し、契約を締結するということで、GCP上問題になるとは考えにくいと思われます。
質問番号:2008-38 治験届に記載すべき治験施設支援機関(SMO)の範囲

治験審査委員会の事務局業務のみを業者に依頼している場合、治験施設支援機関(SMO)に該当するかどうかご教授願います。

治験審査委員会に関する業務も「治験の実施に係る業務の一部」と考えていましたが、実施医療機関は治験審査委員会に対して治験の実施に関する意見を聞くのであり、治験審査委員会の運営は依頼する治験の業務に当たらないとする意見もあります。

実施医療機関において設置された治験審査委員会であっても、SMOとして当局に治験届で届け出る必要はないと考えてよいでしょうか。

また、実施医療機関以外が設置した治験審査委員会に審査を依頼し、その治験審査委員会の事務局業務を業者が行っている場合、当該業者をSMOとして届け出る必要がありますか?
そもそも実施医療機関とその業者との間には契約関係は発生しないため、届け出ることは出来ないと思うのですが。


製薬協見解

厚生労働省検討会による「SMOの利用に関する標準指針策定検討会報告書」(平成14年11月)に、SMOが実施可能な業務範囲としまして「治験審査委員会に関する業務」が挙げられています。

また、「治験の依頼をしようとする者による薬物に係る治験の計画の届出等に関する取扱いについて(平成24年12月28日 薬食審査発1228第15号)」の「(別添1) 治験計画届書等の届出事項」において、「(治験計画届書等には)実施医療機関における治験の実施に係る業務の一部を委託する場合には、実施医療機関ごとに当該業務を受託する者の氏名、住所及び当該受託する業務範囲を入力すること」と記載されています。

実施医療機関にて実施する治験の適否について、当該実施医療機関の長が設置した治験審査委員会にて審査されるのであれば、その治験審査委員会の運営・事務業務等を支援するSMOについては、治験計画届等での届け出の対象となると考えられます。

一方、外部の治験審査委員会に審査を依頼される場合には、治験を実施している実施医療機関とは関係のない業務支援ですので、治験計画届等での届け出の対象とはならないと考えられます。
質問番号:2009-21 健康被害の補償に関する治験施設支援機関の手順に関する文書

平成19年10月2日 薬食審査発第1002002号「治験に係る文書又は記録について」では、治験開始前に実施医療機関は「健康被害の補償に関する治験施設支援機関の手順に関する文書」(写)を保管することになっています。

SMOと実施医療機関の間で、フルサポート契約ではなく、CRC業務のみ委受託契約を締結している場合も、実施医療機関は「健康被害の補償に関する治験施設支援機関の手順に関する文書」(写)を保管することになるのでしょうか。
CRC業務のみ受託している医療機関の場合、今までどの医療機関の治験事務局からも、この文書(写)の提出を求められたことがない(治験依頼者からも指摘がなかった)ため、ご教示いただきたく、よろしくお願い致します。


製薬協見解

GCP第39条の2ガイダンス4として「当該受託者は、実施医療機関とともに、当該受託業務により生じた健康被害に要する費用その他の損失を補償するための手順を定め、当該手順書に従って健康被害の補償に関する業務を実施すること(第14条及び第15条の9参照)。」と記載されおり、健康被害が被験者に生じた際の対応等の手順は、実施医療機関とともに作成しておかなければなりません。

なお、SMOによる健康被害の補償(賠償も含む)とは、連絡漏れや資料の取り違え等、受託業務上のミスが原因と思われる被験者の健康被害が考えられます。(フルサポート契約ではなく)CRC業務のみの委受託におきましても、このようなケースは想定されることから、責任の所在や補償分担の協議方法等について取り決めておく必要があると思います。
 

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