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 「GCPガイダンス」と「治験119」の合体:GCPの注意事項、GCPのグレーゾーン(17)
つづき
(説明文書)

第51条 治験責任医師等は、前条第1項の説明を行うときは、次に掲げる事項を記載した説明文書を交付しなければならない。
 ↓関係
質問番号:2008-05 治験責任医師の変更に伴う説明文書改訂版の治験審査委員会による審査

治験責任医師の変更が、3ヵ月後に決まっているため、治験責任医師名・所属はブランクでIRBで審査してほしいと事務局より依頼されました。
使用する際には、判子対応で記載頂けるようですし、治験責任医師変更時には、記載内容について変更はないか確認頂けるとのことで小生は問題ないように感じました。
治験分担医師はブランクでも可とのことでしたが、いかがでしょうか?


製薬協見解

ご存知の通り、説明文書は治験責任医師が作成する必要があります(GCP第51条第1項)。
したがいまして、今回の事例では、治験責任医師が変更になる時点で、新たな治験責任医師が説明文書の内容を確認する必要があります。新たな治験責任医師が、既に治験審査委員会で承認された説明文書の内容に変更の必要がないと判断すれば(すなわち、治験責任医師の氏名のみが変更される場合には)、そのこと自体を治験審査委員会で審査する意義は極めて低いものと考えられます。

説明文書の治験分担医師欄についてはブランクとしておいて、治験審査委員会で承認された実際に担当される治験分担医師を被験者さんへ説明する際に記入されることで問題無いと考えます。

なお、本事例では、3ヶ月後に現在の治験責任医師が、責務を継続できなくなることが治験開始前から分かっているものと推察されます。当該治験責任医師が、治験を行うのに必要な時間的余裕を有すること(GCP第42条)、後任の治験責任医師を速やかに選定できることについて予め当該治験責任医師/実施医療機関と協議しておくことが重要かと思われます。
質問番号:2008-19 説明文書における安全性情報の記載方法

@ 被験者への説明文書中での副作用の記載方法が、治験依頼者毎に異なるのですが、一定のガイドラインはありますか。

A 外資の治験依頼者は、一般に頻度別に記載し、さらに重い副作用(CTCグレード3、4以上)と重篤な副作用をつけてくる。最近は○%以上、○%以下、とおおまかに分けて記載してくるのみで、当院で重篤な副作用を治験薬概要書から同定して追加してもらっています。米国Natoinal Cancer Instituteのホームページ*には、重篤な副作用を同定できるように書くとテンプレートにあるのですが、日本では重篤なものを特記しなくてもよいのですか。私は、患者さんにとっては必要な情報と考えています。また、説明文書に記載するのは、重症なものとどちらがよいのでしょう。

B 内資の治験依頼者は、表にして、全てのグレードの頻度と重症(CTC3、4以上)なものの頻度を書いています。治験薬概要書から重篤な副作用という項目が見つからないことがあるのですが、そういったデータはどのようになっていますか。補償は抗がん剤の場合、「重篤で未知な場合のみ補償します」となっているので、重症な副作用=重篤な副作用と解釈しているのでしょうか。
*:http://www.cancer.gov/clinicaltrials/understanding/simplification-of-informed-consent-docs/page3


製薬協見解

ご質問の@について

説明文書は治験責任医師が作成することとなっており、GCP第51条第1項にその記載事項が規定されています。しかしながら、個々の事項に対する記載内容の詳細や、ご質問頂きました記載しておくべき副作用の範囲についてのガイドラインはありません。


ご質問のAについて

説明文書には、「予測される被験者に対する不利益」を記載する必要がありますが、その範囲、レベル等についてはGCP省令及び関連通知等による規定はありません。
治験依頼者は治験責任医師となるべき者が説明文書を作成するのに必要な資料・情報を提供いたします。これらの資料・情報を基に、治験責任医師が治験に参加するにあたって被験者に対して十分説明しておく必要があると考える情報を記載して説明文書を作成します。さらに、治験審査委員会にて説明文書の記載内容が適切か否かについて審議されることになります。したがいまして、これら治験責任医師及び治験審査委員会により、記載すべき副作用の範囲、レベルが判断されるものと考えられます。

ちなみに、あくまで参考情報の域を越えませんが、患者や国民への医療用医薬品の情報の提供等に対して、平成17年6月30日付け薬食発第0630001号厚生労働省医薬食品局長通知「"患者向医薬品ガイドの作成要領"について」では、副作用に関する事項としまして、直ちに医師に相談すべき症状として「重大な副作用を全て記載すること」とされています。


ご質問のBについて

治験薬概要書に記載されている副作用等の安全性情報が、適切に説明文書に記載されているか否かについて、不明な箇所がありましたら治験依頼者にご確認ください。また、補償の範囲につきましても治験ごとに異なりますので、治験依頼者にご確認ください。

なお、同意説明文書の記載方法に関するガイドラインはありませんが、医療機関としての説明文書作成上の留意点やQ&Aなどがありましたら、それらをホームページ等で公表頂けると、説明文書の作成がより円滑に行われるものと考えます。
質問番号:2009-29 説明文書に記載してはならない事項

GCPでの記載事項について、質問致します。

【Q1】説明文書での免責事項について

第51条に以下のような記載があります。

2 説明文書には、被験者となるべき者に権利を放棄させる旨又はそれを疑わせる記載並びに治験依頼者、自ら治験を実施する者、実施医療機関、治験責任医師等の責任を免除し若しくは軽減させる旨又はそれを疑わせる記載をしてはならない。

一方で、補償に関する説明ではでは確かに免責を思わせるような記載もありますので具体的にどのような事例を想定すればいいのでしょうか御教授下さい。


【Q2】直接閲覧に関する合意について

第13条に以下のような記載があります。

11 治験依頼者は、治験に関連する全ての施設及び原資料等の全ての治験関連記録を、治験依頼者によるモニタリング及び監査、並びに規制当局による調査のための直接閲覧が可能であるように全ての関係者との合意を治験が開始される前に得ておくものとする。

このことに関して、契約書への記載、実施計画書への記載、被験者からの同意以外に依頼者が行っていることがあるのでしょうか。御教授下さい。


【Q3】代諾者について

代諾者に関しては、第2条に定義されていますが、法定代理人との違いについて御教授賜ることは可能でしょうか。


製薬協見解

【Q1】説明文書での免責事項について

GCP第51条第2項は、被験者となるべき者に対して権利を一方的にかつ無条件に放棄させるような内容を記載しないように求めているものと考えます。
一方、補償に関しては、被験者の責任が問われるようなケース(用法用量を故意に守らない、医師の指示に従わないなど)が免責事項として記載されることが一般的です。
この免責事項に関する記載は、上記GCPの規定に抵触するものとは思われません。


【Q2】直接閲覧に関する合意について

ご質問のように、治験契約の締結、治験実施計画書の合意取得、被験者の同意取得で十分と考えます。


【Q3】代諾者について

法定代理人とは、「法律により代理権を有することを定められた人物」です。
未成年の場合は、親権者が該当します。成年の場合は、法的手続きを経て後見人が選定されることもあります。
また、財産管理人なども該当します。
GCPにおける代諾者は、被験者の最善の利益を図りうる人物であれば、必ずしも法定代理人である必要はありません。
ちなみに、小児の代諾者は通常親権者ですが、家庭の事情により成人した兄弟や祖父母が代諾者になる場合もあります。
なお、成人に対する代諾者は通常配偶者や近親者であり、法的手続きは必要としません。
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