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 「GCPガイダンス」と「治験119」の合体:GCPの注意事項、GCPのグレーゾーン(18)
(同意文書等への署名等)

第52条 第50条第1項又は第2項に規定する同意は、被験者となるべき者が説明文書の内容を十分に理解した上で、当該内容の治験に参加することに同意する旨を記載した文書(以下「同意文書」という。)に、説明を行った治験責任医師等及び被験者となるべき者(第3項に規定する立会人が立ち会う場合にあっては、被験者となるべき者及び立会人。次条において同じ。)が日付を記載して、これに記名押印し、又は署名しなければ、効力を生じない。

2 第50条第1項又は第2項に規定する同意は、治験責任医師等に強制され、又はその判断に不当な影響を及ぼされたものであってはならない。

3 説明文書を読むことができない被験者となるべき者(第50条第2項に規定する被験者となるべき者を除く。)に対する同条第1項に規定する説明及び同意は、立会人を立ち会わせた上で、しなければならない。

4 前項の立会人は、治験責任医師等及び治験協力者であってはならない。
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〈第1項〉

1 同意文書には、説明を行った治験責任医師等並びに被験者となるべき者又は代諾者となるべき者が説明文書の内容を十分に理解した上で、治験に参加することに同意する旨を記載した同意文書に記名押印又は署名し、各自日付を記入すること。なお、治験協力者が補足的な説明を行った場合には、当該治験協力者も記名押印又は署名し、日付を記入すること。

2 第3項の規定により、被験者となるべき者又はその代諾者となるべき者が説明文書を読むことができないが、口頭又は他の伝達方法ではその内容を理解することができる場合には、説明に際して公正な立会人を要する。この場合には、被験者となるべき者又は代諾者となるべき者に加え、立会人も同意文書に記名押印又は署名し、自ら日付を記入すること。

〈第2項〉

1 治験責任医師、治験分担医師及び治験協力者は、治験への参加又は治験への参加の継続に関し、被験者となるべき者又は代諾者となるべき者に強制したり又は不当な影響を及ぼさないこと。

〈第3項〉

1 被験者となるべき者又は代諾者となるべき者が説明文書を読むことができないが、口頭又は他の伝達方法ではその内容を理解することができる場合には、説明に際して公正な立会人を要することとする。被験者となるべき者又は代諾者となるべき者に対して、説明文書が渡され、その内容が口頭又は他の伝達方法により説明され、被験者となるべき者又は代諾者となるべき者が被験者の治験への参加に口頭で同意し、さらに被験者となるべき者又は代諾者となるべき者が同意文書に記名押印又は署名し、自ら日付を記入した後に、立会人も同意文書に記名押印又は署名し、自ら日付を記入することにより、被験者となるべき者又は代諾者となるべき者が治験の内容等を理解し、自由意思により同意を与えたものであることを証すること。

2 「説明文書を読むことができない被験者となるべき者」とは、例えば、眼疾患を有することにより説明文書を読むことはできないが、口頭による説明等ではその内容を理解することができる被験者となるべき者等が考えられる。

3 本項は、同意の能力はあるが視力障害等により説明文書が読めない者についての措置に関する規定である。「説明文書を読むことができない被験者となるべき者」は、「被験者となるべき者又は代諾者となるべき者」を意味するが、( )内の「第50条第2項に規定する被験者となるべき者」を除くとは同意の能力を欠くこと等により同意を得ることが困難な被験者となるべき者本人を除く意味であること。同意の能力がなく、説明文書が読めない被験者に対しては、代諾者がまず問義され、代諾者が視力障害等により説明文書を読めない場合に代諾者に対して本項の立会人の適用がある。

4 「同条第1項に規定する説明」とは、被験者となるべき者又は代諾者となるべき者に対する説明を、「同意」とは同条第1項又は第2項に規定するこれらの者による同意を意味する。

〈第4項〉

1 治験責任医師、治験分担医師及び治験協力者は説明をする側に位置する者であり、公正な立会人としては適当でない。
関連する治験119

質問番号:2004-15 同意文書への記名捺印又は署名の取扱い

同意書への被験者、治験責任医師等の署名について質問があります。
当院ではGCP第52条(同意文書等への署名等)「・・・、これに記名なつ印し、又は署名しなければ、効力を生じない。」との記載を受け、同意書の署名欄横に「(記名捺印又は署名)」と記載するように規定しておりました。
しかし、IRB委員より「身体、健康に影響を及ぼす可能性のある事柄の同意書における意思の確認は記名捺印では不適切とされている。署名は本人の自署、あるいは自署の代行とされており、試験参加の意思を明らかに示すものとしては署名に限るべき」との意見があり、「(記名捺印又は署名)」としていたものを「(署名)」とすることを検討しています。
記名捺印は手が不自由で自署が不可能な場合などに適応が想定されますが、現実的には全例自署で実施されてきており、当院においては運用上は署名のみとすることには問題ないと考えていますが、GCP上で「記名捺印又は署名」とされているものを「署名」のみに限る記載にしても、依頼者側のSOPとしては問題はないのか教えてください。


製薬協見解

治験依頼者のSOPについて製薬協として把握しておりませんので、全ての治験依頼者が受け入れるかどうかは申し上げられませんが、GCPでは記名押印又は署名のいずれかを規定していますので、依頼者側から署名のみでは問題とする理由はないと思われます。
また、被験者による署名を原則とし、被験者が何らかの理由により自署が不可能である場合は、記名押印(又は拇印)とされることが望ましいと考えます。
質問番号:2004-16 説明文書への治験分担医師の氏名、所属の記載 第1

GCP第51条第1項運用通知1(3)において、説明文書への記載事項として「治験責任医師又は治験分担医師の氏名、職名及び連絡先(第3号)」とありますが、「又は」とありますので、よく変動する治験分担医師名を記載せず、治験責任医師のみの記載でもよいのでしょうか?
もし、治験分担医師も記載すべき、という場合には、説明文書の修正はその都度タイムリーに行わなければならないのでしょうか?


製薬協見解

ご質問の通り、説明文書への記載事項としてGCP第51条第1項ガイダンス1(3)におきましては、「治験責任医師又は治験分担医師の氏名、職名及び連絡先 (第3号)」とありますが、本説明は答申GCP7−3からの引用であり、GCP省令では「治験責任医師の氏名、職名及び連絡先」と記載されています。

一方、被験者の方への文書による説明と同意は、GCP第50条1項で「治験責任医師等は、・・・文書により同意を得なければならない。」とされており、GCP第10条1項第5号より「等」に該当する者は、治験分担医師とされています。
また、GCP第2条の治験責任医師の定義及び答申GCP6−2−3−1の記載より、治験責任医師は、治験に関連する医療上の全ての判断に責任を負うとされています。

したがって、被験者の方への説明と同意取得は、治験責任医師又は治験分担医師が実施してよいが、医療上の全ての判断に責任を負う治験責任医師の氏名・職名及び連絡先については、治験分担医師が説明する場合でも、被験者の方にお知らせする必要があるため、説明文書へ記載する事項としてGCP省令で規定されているものと考えます。
以上より、説明文書へは、治験責任医師の氏名、職名及び連絡先が記載されていればよく、治験分担医師については、必須ではないと考えます。ただし、連絡先を治験分担医師にされる場合には、治験分担医師も記載する必要があると考えます。なお、治験分担医師を記載する場合は、タイムリーに修正が行われる必要がありますが、これのみの改定による再同意取得の必要はありません。

なお、治験分担医師の氏名欄を空欄とし、説明する際に必要に応じて該当者の氏名を記入することとすると、治験分担医師が変更になっても説明文書の変更をする必要がなくなります。
質問番号:2007-18 同意文書の署名日の記載者

監査にて、同意説明文書の日付の筆跡を指摘されました。責任(分担)医師、CRCの連名署名に、一つの日付記入欄があり、そこの日付をCRCが記入していました。
やはり、署名の日付の筆跡は責任(分担)医師でなければ違反となるのでしょうか。
また、カルテシールを院内のSMO CRCが記入し、医師が確認印を押している事に関しては、指摘がありませんでした。


製薬協見解

GCP第52条第1項に「第50条第1項又は第2項に規定する同意は(中略)、説明を行った治験責任医師等及び被験者となるべき者が日付を記載して、これに記名押印し、又は署名しなければ、効力を生じない」と規定されています。
また、第52条第1項ガイダンス1には、「治験協力者が補足的な説明を行った場合には、当該治験協力者も記名押印又は署名し、日付を記入すること」と規定されています。
したがいまして、被験者となるべき者、治験責任医師等及び補足的な説明を行った治験協力者の各々が同意文書に記名なつ印又は署名のうえ、日付を記入しなければなりません。
ご質問のケースでの問題は、CRCが日付を記入したことではなく、治験責任(分担)医師が日付を記入していないことです。説明を行った各人が必ず日付を記入することが必要になりますので、今後、これが確実に行われるよう、同意文書中の各々の署名欄に日付記入欄を設けることをお勧めします。
質問番号:2007-19 代諾者がいる場合の再同意の取得相手

治験の進行中安全性情報の追加などで同意書が改訂され、再文書同意が必要となる場合がありますが、もともと本人以外(代諾者)の同意も取得している場合、再同意についても初回同意と同一の代諾者に追加情報の説明と文書同意を取得しなければならないのでしょうか?


製薬協見解

代諾者とは、被験者本人に十分な同意の能力がない場合に、被験者に代わって同意をすることが正当なものと認められる者であり、生活の実質や精神的共同関係から見て、被験者の最善の利益を図りうる者でなければなりません(GCP第2条ガイダンス11)。また、治験中に説明文書が改訂された場合には、治験への継続参加について代諾者から同意を得なければなりません(GCP第54条第2項及び第3項ガイダンス1)。
したがいまして、被験者本人のみで同意が成立する場合は、代諾者は不要です。
ご質問のケースがGCP第2条第21項に照らして、代諾者に該当するか否かをご確認下さい。
なお、小児の治験のように代諾者の同意が必須であり、被験者本人の同意(アセント)も取得するようなケースもございます。ご質問のケースがこのような場合であるとの前提で回答させていただきます。

GCPには、代諾者からの再同意取得は初回同意の代諾者と同一でなければならないとの規定はありません。
しかしながら、初回の説明を受けていない方が追加の安全性情報のみの説明を受けた場合、それは断片的な情報であり、当該治験の安全性を真に理解したとは言えないのではないかと思われます。
したがいまして、当該治験に関する情報を十分理解のうえ治験に継続して参加することに同意して頂くという観点からは、再同意は初回と同一の代諾者から取得していただくことが望ましいものと考えます。
(同意文書の交付)

第53条 治験責任医師等は、治験責任医師等及び被験者となるべき者が記名押印し、又は署名した同意文書の写しを被験者(代諾者の同意を得た場合にあっては、当該者。次条において同じ。)に交付しなければならない。
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1 治験責任医師等は、これらの者及び被験者となるべき者(代諾者の同意を得ようとする場合には、代諾者となるべき者)が記名押印又は署名した同意文書の写しを被験者(代諾者の同意を得た場合にあっては、代諾者)に渡すこと。
(被験者の意思に影響を与える情報が得られた場合)

第54条 治験責任医師等は、治験に継続して参加するかどうかについて被験者の意思に影響を与えるものと認める情報を入手した場合には、直ちに当該情報を被験者に提供し、これを文書により記録するとともに、被験者が治験に継続して参加するかどうかを確認しなければならない。この場合においては、第50条第5項及び第52条第2項の規定を準用する。

2 治験責任医師は、前項の場合において、説明文書を改訂する必要があると認めたときは、速やかに説明文書を改訂しなければならない。

3 治験責任医師は、前項の規定により説明文書を改訂したときは、その旨を実施医療機関の長に報告するとともに、治験の参加の継続について改めて被験者の同意を得なければならない。この場合においては、第51条から前条までの規定を準用する。
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〈第1項〉

1 治験への参加の継続について被験者又は代諾者の意思に影響を与える可能性のある情報が得られた場合には、治験責任医師等は、当該情報を速やかに被験者又は代諾者に伝え、被験者の治験への参加の継続について、被験者又は代諾者の意思を確認すること。この場合にあっては、当該情報を被験者又は代諾者に伝えたことを文書に記録しておくこと。

2 第50条第5項(質問する機会を与え、かつ質問に十分に答えること。)、第52条第2項(治験への参加の継続に関し、強制したり又は不当な影響を及ぼさないこと。)を準用する。

〈第2項〉〈第3項〉

1 被験者の同意に関連し得る新たな重要な情報が得られた場合には、治験責任医師は、速やかに当該情報に基づき説明文書を改訂し、予め治験審査委員会の承認を得ること。また、治験責任医師又は治験分担医師は、すでに治験に参加している被験者に対して、当該情報を被験者又は代諾者に速やかに伝え、治験に継続して参加するか否かについて、被験者又は代諾者の意思を確認するとともに、改訂された説明文書を用いて改めて説明し、治験への参加の継続について被験者又は代諾者から自由意思による同意を文書により得ること。
質問番号:2007-23 再同意取得が必要な期間(その1)

このたび弊社にて、再同意取得時において不明瞭な点があり、ご見解を戴きたくメールさせていただいております。
@ 口頭同意のみで終了した場合は、文書同意は必要であるか
A 口頭同意のみ取得し、次回最終来院時には、文書同意は必要であるか
B 後観察期において文書同意は必要であるか


製薬協見解

ご質問のケースがGCP第54条(被験者の意思に影響を与える情報が得られた場合)にあたると想定して、以下に見解を述べさせていただきます。

治験責任医師等は、治験に継続して参加するかどうかについて被験者の意思に影響を与えるものと認める情報を入手した場合には、直ちに当該情報を被験者に提供し、これを文書により記録するとともに、被験者が治験に継続して参加するかどうかを確認しなければなりません(GCP第54条第1項)。
この場合、被験者の署名などについては、GCP上求められていませんが、情報の重要性に応じて署名を得ることも考慮する必要があると思われます。
さらに、治験責任医師が説明文書を改訂する必要があると認めたときは、速やかに説明文書を改訂し、治験の参加の継続について改めて被験者の同意を得なければなりません(GCP第54条第2項及び第3項)。GCPにおいて「口頭同意」及び「文書同意」という用語・定義はありませんが、ご質問にあります「口頭同意」はGCP第54条第1項に規定されている手順、「文書同意」はGCP第54条第2項及び第3項に規定されている手順を指すものと推察します。

@A:当該情報を入手した時点で被験者にこれを提供し、治験に継続して参加するかどうかを口頭(情報の重要性によっては文書)で確認しており、かつ説明文書の改訂版が治験審査委員会及び実施医療機関の長の承認が得られた時にすでに治験が終了している又は最終観察を迎えているのであれば、改訂された説明文書により改めて再同意を取得する必要はありません。

B:後観察期で行われる検査・観察が治験により異なるため一概には言えませんが、一般的に、治験実施計画書で規定された後観察が残っており、被験者は治験を継続するわけですから、改訂された説明文書による再同意取得も必要と思われます。
(緊急状況下における救命的治験)

第55条 治験責任医師等は、第7条第3項又は第15条の4第3項に規定する治験においては、次の各号のすべてに該当する場合に限り、被験者となるべき者及び代諾者となるべき者の同意を得ずに当該被験者となるべき者を治験に参加させることができる。

1)被験者となるべき者に緊急かつ明白な生命の危険が生じていること。

2)現在における治療方法では十分な効果が期待できないこと。

3)被験薬の使用により被験者となるべき者の生命の危険が回避できる可能性が十分にあると認められること。

4)予測される被験者に対する不利益が必要な最小限度のものであること。

5)代諾者となるべき者と直ちに連絡を取ることができないこと。

2 治験責任医師等は、前項に規定する場合には、速やかに被験者又は代諾者となるべき者に対して当該治験に関する事項について適切な説明を行い、当該治験への参加について文書により同意を得なければならない。
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〈第1項〉〈第2項〉

1 緊急状況下における救命的な内容の治験であって、被験者となるべき者から事前の同意を得ることが不可能である場合においては、被験者となるべき者の代諾者からその同意を得るべきである。被験者となるべき者の事前の同意が不可能で、かつ、被験者となるべき者の代諾者と連絡が取れない場合には、次の各号のすべてに該当する場合に限り治験に参加させることができる。

(1)被験者となるべき者に緊急かつ明白な生命の危険が生じていること。

(2)現在利用可能な治療方法では十分な効果が期待できないこと。

(3)被験薬の使用により被験者となるべき者の生命の危険が回避できる可能性が十分にあると認められること。

(4)予測される被験者に対する不利益が最?限度のものであること。

(5)代諾者となるべき者と直ちに連絡をとることができないこと。

2 治験責任医師等は、あらかじめ、治験審査委員会の承認文書に被験者及び代諾者の同意なしに治験に加わった者の人権の保護、安全の保持及び福祉の向上を図る方法が明記されていることを確認しておくこと。

3 第2項の趣旨から、被験者の身元が明らかでない者を治験の対象としないこと。

4 このような場合でも、被験者(又はその代諾者となるべき者)に対し、できるだけ速やかに当該治験に関する説明を行い、治験の継続及びその他の適切な事項について文書により同意を得ること。また、その経過と結果を治験審査委員会に報告すること。
 

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