【治験における被験者に対する補償】

治験における被験者への補償ガイドライン



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●治験における「補償」について、最初に覚えること
GCPでは「補償」について次のように記載されています。

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●治験に関連して被験者に健康被害が生じた場合には、過失によるものであるか否かを問わず、被験者の損失を適切に補償すること。

その際、因果関係の証明等について被験者に負担を課すことがないようにすること。

(GCP省令第1条ガイダンス2(14)

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上記のガイダンスの文章で気になるのが「過失によるものであるか否かを問わず」の主語は誰? ということ。

これにはいろんな説があり、「もちろん医療機関だ」とか「いやいや、治験依頼者でしょう」だとか。

僕は(あくまでも僕の意見ね)、治験の補償における「過失によるものであるか否かを問わず」の主語は「治験に関わる全ての人」だと思います。

誰の過失によるものであろうと、あるいは誰の過失でなかろうとも被験者に健康被害が生じたら補償(場合によっては賠償)が必要ということでしょう。


さて、一般的に治験の勉強をする場合、「補償」と「賠償」の違いを学びます。

★賠償・・・「過失・故意」や「違法行為」が有った場合に発生

★補償・・・「過失・故意」がなくても「違法行為」がない(適法行為であっても)場合に発生



では、治験で補償が発生する主な場合はどんな時か?

その代表例は「治験薬の副作用による健康被害」が発生した場合だ。

「有害事象」ではなくあくまでも治験薬による「副作用(因果関係が否定できない場合)」だ。


たとえば、治験参加中の被験者が山で毒キノコを食べて「激しい下痢」をしても、これは「有害事象」なので「激しい下痢」に対して治療をしたとしても「補償」の対象にならない。

でも、治験参加中の被験者が初めて治験薬を服用して、2時間後から「激しい下痢」が生じ、それを治験責任医師も治験依頼者も「これは治験薬との因果関係が否定できない」として「激しい下痢」を副作用として認めたら、その被験者の「激しい下痢」に対する治療費は補償の対象となる。

さらに、この副作用というのは誰の「過失」でもなく、誰かが「違法行為」をしたわけでもない。

そんなわけで「副作用で発生した健康被害」は「補償」となる



上記のように、治験に関する補償を学ぶ場合は「補償」と「賠償」の違い、「治験で発生する補償の代表例は副作用による健康被害が発生した場合」の2点をまず押さえておきます。

OK?
●治験において「補償」の対象となる場合、ならない場合
さて、日本では、特に内資系製薬会社の場合、治験の補償のSOPはたいてい、下記の医法研(いほうけん)のガイドラインが基本となっている。
    ↓
●医法研 被験者の健康被害補償に関するガイドライン
    ↓
http://www.ihoken.or.jp/guideline/2_revisionguidline.pdf


●ちなみに「医法研(医薬品企業法務研究会)」とは?
 ↓
http://www.ihoken.or.jp/


上記の「医法研 被験者の健康被害補償に関するガイドライン」は絶対ではなく、あくまでも参考です。

ですので、各会社の補償に対するポリシーやSOPは異なりますので、必ず、自分の会社の「補償に対するSOP」を確認しましょう!!

実際、上記のガイドラインにも次のように記載されている。(7ページ)


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治験依頼者は本ガイドラインを参考にして自社の補償制度を文書で定めておくことが重要である。

ただし、必ず本ガイドラインの内容で補償しなければならないということではないことに留意されたい。

補償の内容は、被験者の承諾を得られる水準で治験依頼者が自ら設定すればよいし、全ての治験で同じ水準の補償の内容を設定するよりも、治験によって異なるはずの、治験自体のベネフィット(アンメット・メディカル・ニーズが高いか否かなど)とリスク(副作用の発現頻度や重篤度など)や、被験者のリスク(軽症か重症かなど)などを考慮して、治験実施計画書ごとに補償の内容や範囲を設定することがより望ましい。

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上記を踏まえて「医法研 被験者の健康被害補償に関するガイドライン」を参考に治験に係わる補償を見ていきましょう。


補償の原則(ガイドライン1−1の解説)

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治験に起因して被験者に健康被害が生じ、だれにも法的責任(賠償責任)を問うことができない場合(賠償責任が明らかでない場合を含む。)には、治験と被験者の健康被害との間に因果関係があれば(否定できないものを含む。)、治験依頼者が自ら定めた補償制度に従って被験者を救済する

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繰り返しますが、治験で「被験者の健康被害との間に因果関係があれば(否定できないものを含む。)」補償の対象となる。

ただし、治験薬の副作用はそうだけど、じゃ、同意後に治験のための「検査」で健康被害が発生(たとえばバリウムでアレルギーが発生した場合等)は、それぞれの会社のSOPで確認してください。

「補償」に対しては「同意後」からを補償の対象期間としている会社もありますし、あくまでも治験薬の副作用としている場合もあります(詳細は金曜日に)。


ちなみに、治験に参加した方でなんらかの副作用で治療をしたけれど、どの医師も治験薬との因果関係が分からないと言っている場合は、とりあえず治験の治験依頼者である製薬会社に連絡してみましょう。



さて、治験において「補償の対象とならない場合」です。(ガイドライン2:10ページ)

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2−1 機会原因(治験中でなくとも起きたであろう偶発的な事故原因)に起因するものは、補償の対象とならない。


【解説】

機会原因とは、治験中で無くとも起きたであろう偶発的な事故原因をいう。

例えば、治験のための通院中に暴走車にはねられたといった交通事故に遭った場合の被害原因や、入院中に出された病院給食により食中毒に罹患した場合の被害原因が相当する。

これらにあっては、原因者(前者の場合は運行管理責任者、後者の場合は給食業者)の賠償責任の問題である。


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上記の例としては1日目にも記載しましたが、たとえば「毒キノコ」を食べた場合などがあります。




誰かに過失がある場合、誰かの故意で被験者に健康上の被害があった場合はどうなるのでしょうか?

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2−2 治験依頼者及び実施医療機関の責に帰すべき場合は、補償の対象とならない。

【解説】

被験者に生じた健康被害が、治験依頼者や実施医療機関(治験責任医師をはじめとする治験スタッフを含む。)の責に帰すべき場合、すなわち、これらの者のいずれかに故意もしくは過失、又は債務不履行がありこれにより発生した場合には、当該原因者の賠償責任の問題となり、治験依頼者の補償問題とはならない。

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当然と言えば、当然ですが、治験責任医師の不注意で被験者に健康被害が発生した場合は治験責任医師の賠償となります。

CROのモニターのせいで健康被害が発生した場合(例えば、プロトコルを間違えてCRCに説明してしまい、それが原因で被験者に健康被害が発生した場合等)はCROの賠償となります。



では、被験者の健康被害が治験薬との因果関係が否定できた場合は? そうです。補償はしません。

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2−4 治験と健康被害との因果関係が否定される場合は、補償の対象とならない。

因果関係の否定は、治験依頼者の責務とする。立証の程度は、合理的に否定できればよい
(証拠の優越で足る:preponderance of evidence でよい)。

【解説】

補償責任は絶対責任ではないので、治験と健康被害との間に因果関係がなければ補償しない。

治験の補償においては、「損害が発生していること」と「治験と損害の発生に因果関係があること」を明らかにする必要がある(治験依頼者に過失がないことが前提である。

もしあれば補償ではなく賠償の問題になる。)が、このうち「因果関係の証明等について被験者に負担を課すことがないようにすること」をGCP は求めている。

このため有害事象が発現して補償の問題が発生した場合は、治験依頼者側が治験責任医師らの意見を参考にして治験との因果関係の有無を判断することになるが、治験依頼者が因果関係を認める場合はともかく、因果関係を認めない、すなわち「補償をしない」と決定する場合は、治験依頼者が因果関係のないことを立証しなければならない。

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『「補償をしない」と決定する場合は、治験依頼者が因果関係のないことを立証しなければならない。』とありますね。

では、どうやって立証するのでしょうか?

上記のガイドラインには次のように記載されています。

●因果関係がないと考えられる事例

@ 他の因果関係が明確に説明できる事例

A 治験薬投与と有害事象との間の時間的関連性に無理がある場合

B その他非合理的な場合


逆に因果関係が否定できない場合を考えると簡単ですね。

因果関係は次を参考に治験責任医師・治験分担医師に検討してもらいましょう。(GCP省令第2条ガイダンス:7ページ)


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因果関係の判定を行う際には・・・

●投与中止後の消失

●投与再開後の再発

●既に当該被験薬又は類薬において因果関係が確立

●交絡するリスク因子がない

●曝露量・曝露期間との整合性がある

●正確な既往歴の裏付けにより被験薬の関与がほぼ間違いなく説明可能

●併用治療が原因である合理的な可能性がみられない

・・・等を参考にすることができる。

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●治験薬の効果が出なかった場合、補償してくれるの?
さて、治験薬を服用しても「効果が出なかった」場合、被験者は補償してもられるでしょうか?

これは、補償の対象になりません。

普段の治験以外を考えると分かりますね。

風邪をひいて病院に行って、薬を出してもらい飲んだけれど、効かなかった。この場合、誰も補償してくれませんよね?

これと同じです。

では、プラセボの場合はどうなのよ? となりますが、それは「同意」の上で治験に参加してもらっているので、これまた原則、補償されません。


医法研のガイドラインはどう記載されているでしょうか?(ガイドライン12ページ)


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3−1 薬剤の予期した効果又はその他の利益を提供できなかった場合(例:効能不発揮)は、原則として補償しない。


【解説】

効能不発揮や原疾患(対象疾患)の悪化に伴う申出には、原則として補償しない。

医療行為そのものが可能な限り最善の治療行為に努めるという「手段債務」であって、治癒という結果を保証する「結果債務」ではないからである。

「原則として」の趣旨は、例えば、治験開始時点より症状が悪化した場合で、本ガイドライン1−3 に該当するであろうといった事案にあっては、補償を検討しなければならないという趣旨である。

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うむ。治験薬のせいで原疾患の症状が悪化した場合は補償もありえる点に注意しましょう。




プラセボで効果が無い場合(ガイドライン:12ページ)


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3−2 プラセボを投与した被験者に治療上の利益を提供できなかったとしても、原則として補償しない。


【解説】

ここでいうプラセボとは、被験薬の有効成分を含まない擬似薬のことであるので治療上の利益はない(プラセボ効果は除く)。

ただし、プラセボを飲んだ被験者に生じた健康被害が必ずしも補償の対象外であるという意味ではない。

例えば、観察期間、ウォッシュアウト中のプラセボ投与の場合、被験者の症状が治験開始前の推移より明らかに悪化し救済措置が必要な場合などにおいては、治験実施計画書を遵守して実施されたことを確認の上、その健康被害が本ガイドライン1-3の「治験実施計画書に定めた臨床上の介入、又は手順に因るもの」に該当するか否かによって補償を判断することになる。

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●治験の補償の具体的な金額はいくらなの?
さて、では、具体的に治験ではどんな「補償」がなされるのでしょうか?

(ガイドライン:12ページ)

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補償の内容は、原則として「医療費」、「医療手当」及び「補償金」とする。

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治験のおいて補償するのは次の3点ですね。

●医療費・・・治療にかかった費用

●医療手当・・・病院往復の交通費、入院に伴う諸雑費

●補償金・・・死亡又は後遺障害が生じた場合


では、どれくらいのお金を補償してくれるのでしょうか?


「医療費」の場合は以下のようになります。(ガイドライン:13ページ)

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・健康人を対象とする治験にあっては、健康保険使用の有無を問わず、被験者の自己負担額を治験依頼者が負担する。

・患者を対象とする治験にあっては、健康保険等からの給付を除いた被験者の自己負担額を治験依頼者が負担する。

【解説】

1.健康人を対象とする治験の場合、治験実施施設以外で治療を受けた場合、健康保険を使用するケースも考えられるため、健康保険使用の有無を問わず、被験者の自己負担分を治験依頼者が負担するということにした。

2.患者を対象とする治験の場合、健康保険等からの給付を除いた被験者の自己負担額を治験依頼者が負担するということにした。(ただし、留意点あり)


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要は、治験薬の副作用において「治療のために被験者が病院に支払った金額」を治験依頼者が支払ってくれる、ということですね。


では、「医療手当」はどのような費用を治験依頼者は支払ってくれるのでしょうか?

(ガイドライン:14ページ)



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4−1−2 医療手当:治験に起因して健康被害が生じた場合で、入院を必要とするような健康被害にあっては、医薬品副作用被害救済制度の給付を参考に、医療手当を支払う。

【解説】

医療手当は、「病院往復の交通費、入院に伴う諸雑費をみる」という趣旨で支払う。

支払い額は、医薬品副作用被害救済制度の給付額に準じて設定する。

必ずしも、医薬品副作用被害救済制度の給付額の改訂に合わせて変更する必要はないが、適宜見直しは行う。

ただし、同一治験及び同一条件では、同一額とする。

また、治験に起因した健康被害であって、治験実施計画書で予め規定されていない通院(例えば、患者を対象とした治験では被験者負担軽減費が支給されない通院など。)による治療が必要な場合、その病院往復の交通費を補償対象とするかは、予め自社の補償制度で定めておき、補償の概要に記載しておくこと。


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上記に出てくる「医薬品副作用被害救済制度の給付」とは何でしょう?

それは「総合機構」の下記のページにあります。
     ↓
http://www.pmda.go.jp/kenkouhigai/help.html

上記のページの「給付の種類別給付額」です。
     ↓
http://www.pmda.go.jp/kenkouhigai/help/benefit.html

たとえば、「医療手当」では(1)通院の場合(入院相当程度の通院治療を受けた場合)で1ヶ月のうち3日以上通院した場合・・・月額 35,600円

さらに「医療手当」では(2)入院の場合(1ヶ月のうち8日以上)・・・月額 35,600円



最後に治験の補償の「補償金」はどれくらいでしょうか?

(ガイドライン:14ページ)

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4−1−3 補償金:治験に起因して死亡又は後遺障害が生じた場合は、次のとおりとする。

・健康人を対象とする治験にあっては、労働者災害補償保険(以下、「労災保険」という。)又は予防接種健康被害救済制度(一類疾病)を参考に補償金を一括で支払う。

・患者を対象とする治験にあっては、医薬品副作用被害救済制度の救済給付を参考に補償金を一括で支払う。

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上記にも『医薬品副作用被害救済制度の救済給付』(患者を対象とする治験)がありますね。
   
これまた、総合機構の下記のページにあります。
     ↓
http://www.pmda.go.jp/kenkouhigai/help/benefit.html


たとえば、障害が残った場合は障害年金として(1)1級の場合・・・年額 2,700,000円 (月額 225,000円)です。

ちなみに障害の「1級」とは?

障害年金の障害等級の概要
  ↓
http://www.fujisawa-office.com/shogai2.html

上記のページよると例えば「両上肢のすべての指を欠くもの」等が該当するみたいですね。



さて、治験薬の副作用で死亡した場合に支払えるものとしては下記のものが該当します。

総合機構の下記のページ
     ↓
http://www.pmda.go.jp/kenkouhigai/help/benefit.html


●遺族一時金・・・7,084,800円

●遺族年金(10年間を限度として)・・・年額 2,361,600円

●葬祭料・・・201,000円


みなさん、どう思います? この金額。
●抗がん剤等の治験における補償について
さて、治験における補償ですが、治験薬の副作用が明らかでも補償されない(あるいは補償金が減る)場合があります。

それは、抗がん剤等の治験の場合です。

上記のガイドラインにはこう記載されています。(15ページ)


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4−2 被験者が受け入れ得る危険の度合いによるが、次の要因が考慮されるときは、補償金を減じるか又は補償しない。

・疾患の重度、副作用が起こり得る蓋然性、及び何らかの警告が与えられ、被験者又は代諾者の同意を得ていること。

・治験薬の危険性と効用に関し、現在確立している治療法の危険性と効用を比較衡量し有用性が勝る場合で、被験者又は代諾者の同意を得ていること。


【解説】

被験者の状況によっては、被験者又は代諾者の同意を得ていること前提に、補償額や補償範囲において柔軟な対応が認められる場合がある。

例えば、救急救命時の治療や予後不良の疾患などで、明らかに分かっている副作用の危険性を警告されてもなおかつ治験に参加することが患者にとって利益が大であると思われれば、患者や家族は危険を受け入れ治験に参加する。

このような被験者の権利は認められるべきであるし、被験者又は代諾者が高度の危険を受け入れた上で治験に参加した場合、警告された副作用の発生に対しては補償を求めないのは当然のことと考えられる。

したがって、このようなケースにおける治験の補償にあっては、治療費(医療費、医療手当)のみ治験依頼者が負担する(補償金は支払わない)という対応もある。

また、予め当該治験における補償金の金額を通常の治験より減額する方法もある。

これらの場合は「補償の概要」にその旨を記載し、被験者又は代諾者の同意を取得する際に補償の範囲を十分説明することが重要である。

なお、治験内容に応じて補償額を制限することの同意取得は、GCP 省令第51 条第2 項の規定に違反するものではない。

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実は治験薬に限らず、既に製造販売承認を得ている市販薬(医療用・OTC)でも同様なんですね。

そのことが総合機構の下記のページにあります。
     ↓
http://www.pmda.go.jp/kenkouhigai/help/structure.html

上記に「ただし、救済の対象とならない種類の医薬品や救済の対象とならない場合もあります。」と記載されていますね。



さらに下記のページ
   ↓
http://www.pmda.go.jp/kenkouhigai/help/qanda.html


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Q4.救済の対象とならない場合とは、どのような場合ですか。

A.副作用救済給付の対象にならない場合は、次のとおりです。

1.法定予防接種を受けたことによるものである場合

4.がんその他の特殊疾病に使用される医薬品で厚生労働大臣の指定するもの (対象除外医薬品)等による場合





Q5.対象除外医薬品とされている医薬品とはどのようなものですか。

A.対象除外医薬品は、次のとおりです。 (別表「対象除外医薬品一覧 」 参照。)

1.がんその他特殊疾病に使用されることが目的とされている医薬品であって、厚生労働大臣の指定するもの(抗悪性腫瘍剤、免疫抑制剤など)

2.人体に直接使用されないものや、薬理作用のないもの等副作用被害発現の可能性が考えられない医薬品(動物用医薬品、製造専用医薬品、体外診断用医薬品など)


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では、抗がん剤や免疫抑制剤の治験の補償は具体的にどうすればいいのでしょうか?

何も補償しなくてよいのでしょうか?


ガイドラインには次のように記載されています。(16ページ)

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4−3−2 抗がん剤、免疫抑制剤の扱い。

・抗がん剤、免疫抑制剤は、その他の薬剤とは別に対処する。

その場合、薬剤や対象疾患の特性、被験者の受ける便益や負担するリスク等を評価した上で、治験実施計画書毎に補償基準を定めるべきである。



【解説】

抗がん剤のような治療比の低い薬剤の治験の補償にあっては、原則として、医療費、医療手当のみを治験依頼者が支払うことでよい。

抗がん剤等のように治療比の低い薬剤は、他の医薬品と同列には論じられないからである。

ただし、抗がん剤の中には、ホルモン療法剤のように医薬品副作用被害救済制度の対象除外医薬品リストに掲載されないものもある。

また、放射線療法や外科手術療法などの局所治療後に再発予防目的で使用される薬剤もあることから、抗がん剤、免疫抑制剤であることを理由に、一様に、治療費(医療費、医療手当)のみ負担し、補償金は支払わないとすることは必ずしも適切な補償対応とはいえない。

したがって、薬剤や対象疾患の特性、被験者の便益、リスク等を評価した上で、治験実施計画書毎に補償基準を定めるべきである(参考資料7 参照)。

なお、その際、「補償の概要」に補償基準を記載し、被験者又は代諾者に補償内容を十分説明し、その同意を得ることが必須であることは、4−2【解説】と同様である。

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さて、最後に1日目にも記載しましたが、補償の対象が発生するのはいつからか、です。

医法研のガイドラインには次のように記載されています。(19ページ)



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5−1 治験依頼者は、補償責任が明らかになった段階で、責務を果たす。

補償適用範囲は、治験参加の同意取得から発生した健康被害とする。


【解説】

補償責任の有無は、有害事象や副作用報告を受けた治験依頼者が自らの判断でまず行い、必要な責務を果たす。

補償制度が適用開始されるのは、治験に起因する健康被害が発生しうる時点からである。

具体的には、被験者が治験への参加を同意した時点からであり、同意以降に発生した治験に起因した健康被害(スクリーニング検査、観察期の治療介入を含む。)は、補償制度の対象となる。

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今週は治験における「補償」を見てきました。

治験中に、いつ、なんどき、副作用が発生するか分かりません。

モニターは治験事務局や治験責任医師・治験分担医師・CRC等から質問されてもいいように最低限のことは言えるように暗記しておきましょうね。

詳しくは自分の会社の補償に関するSOPをご確認ください。
 

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