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 IRBの基礎/医療機関と利害関係を有しない者の範囲
 
 外部委員 - 「実施医療機関と利害関係を有しない者」の範囲(その1)

当院に直接利害関係のないものとして、不適切なケースはどのようなものがあるでしょうか?

例)
  1. 薬品卸問屋の管理薬剤師
  2. 国立病院の元看護部長
  3. 国立病院の元薬剤科長

 1.については論外と思いますが2.、3.のケースはいかがでしょうか?
 その他好ましくない事例などありましたら、教えて頂きたいのですが。

     ↓

治験審査委員会委員の適切性に関するご質問と解釈し、見解を述べさせていただきます。

 GCP省令で新しく設けられた、治験審査委員会のいわゆる外部委員及び非専門家委員の要件については、「新GCP普及定着総合研究最終報告書」(平成9年度厚生科学研究班、平成10年3月)等で議論されていますが、特に外部委員の「利害関係」について、統一された結論は出ていないと思われます。

 例示の1)は明らかに利害関係があると判断されますので、不適切ですが、2)、3)の退職している元職員は利害関係はない(名誉職、顧問などの関係が一切ないとして)と一般に考えられますが、医療機関側の立場に立って意見を述べることも考えられるので、適切ではないという見解(「新GCPによる新しい治験の進め方」ミクス社 1998年4月27日発行)もあります。

 このような状況ですので、医療機関(治験審査委員会の設置者)として、その方が雇用関係等がなく、また当医療機関の影響を受けないで意見が述べられると判断されれば、外部委員とすることでよいと考えます。

この判断が難しいようであれば、避けられる方がよいと思われます。


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外部委員- 「実施医療機関と利害関係を有しない者」の範囲(その2)
治験審査委員会での外部委員の利害関係についてお尋ねいたします。
 この医療機関はある企業の付属病院です。この医療機関の治験審査委員会の外部委員に親企業の職員がなっています。
 GCP第28条第1項第4号には、「委員のうち、実施医療機関と利害関係を有しない者が加えられていること」とあります。
組織が別であるので、外部委員としても問題は無いとの見解を医療機関側は示していますが、この職員を外部委員として委員にすることは問題ないでしょうか。

  ↓

ご指摘のように、GCP第28条第1項第4号には、「委員のうち、実施医療機関と利害関係を有しない者が加えられていること」と外部委員について規定されています。
当該規定については、GCP第28条第1項ガイダンス5で解説されていますが、ご質問のようなケースまでは触れられていません。

しかし、当該外部委員(実施医療機関の親企業の職員)が、実施医療機関の業務に関与していない場合には、「実施医療機関と利害関係を有しない者」に該当すると思われます。

ただし、当該委員が親企業の役員・管理職である等、実施医療機関の運営に強い影響を与え得る立場又は実施医療機関を設置した企業に問題が発生したことによって強い影響を受ける立場であるような場合は、外部委員として不適切と考えられます。

 しかしながら、「強い影響力」の尺度については当該委員の職務権限範囲など様々な背景によって異なるものと考えられますので、治験審査委員会/実施医療機関から提供される情報を元に、依頼先を選定する治験依頼者が個別にその妥当性を判断する必要があると思われます。

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 外部委員- 「実施医療機関と利害関係を有しない者」の範囲(その3)
治験審査委員会 外部委員の「実施医療機関と利害関係を有しない者」の範囲についてご質問をさせてください。

 外部委員の交替に伴い、後任者を検討しております。
 候補者は、近隣の大学 薬学部 医薬品情報学 教授
 近隣ゆえ、当大学病院薬剤部で、薬学部の学生の実習生を多く受け入れている状況があります。

 当院で実施中の治験依頼者に、候補者の是非についての見解を質問したところ、「問題ない」との見解の依頼者が多数なのですが、数社から、「グレーな範囲」、「不適切である」との見解がありました。

 「グレーな範囲」、「不適切」の理由としては、「薬学部の教室は、実習を依頼する立場となる」、「薬学部の学生の実習生において、実習費用として組織間で金銭の授受が発生するためである。候補者自体に授受が発生しないにしても、所属組織間に利害関係がある以上、外部委員とするのは避けるべきである。」とのことです。

 一般的にも、薬学部所属の外部委員は存在していると思われますし、医療機関で薬剤部の学生の病院実習を受け入れるのも通常と考えます。(実習費用はどの施設でも発生しています)


    ↓

GCP第28条第1項第5号委員(治験審査委員会の設置者と利害関係を有しない者)に対しまして、同ガイダンス5では「実施医療機関の職員等は、「実施医療機関と利害関係を有しない者」に該当しない。
ただし、例えば、実施医療機関が複数の学部を有する大学の医学部の附属病院である場合に、他学部(法学部等)の教員で実施医療機関と業務上の関係のない場合には、「実施医療機関と利害関係を有しない者」の対象と考えられる。」と規定されています。

 ご質問のケースは、別の大学法人の教員であり、実施医療機関の職員としても勤務されていません。

また、病院実習の受け入れは実施医療機関と大学法人間の契約に基づく業務であり、当該外部委員の候補者と直接的な利害関係は少ないものと思われます。
そして、一般的な商取引に伴うような利害関係からの影響も少ないものと考えられます。
したがって、外部委員として指名されることに問題はないと考えられます。

 なお、組織-組織間の関係だけでなく、実施医療機関と当該候補者との関係を鑑み、治験審査委員会の設置者が個別に判断の上、選任することが必要と考えられます。


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外部委員 - 「実施医療機関と利害関係を有しない者」の範囲(その4)
治験審査委員会の外部委員について、以下のような場合は、設置者及び病院と利害関係の無い委員に該当するかご教示ください。

 元々は、病院(私立)と利害関係の無い大学の学長とこの大学の職員が外部委員として登録されていましたが、先日病院と大学が、人材育成や共同研究など多方面で協力関係を強化する内容 (大学との相互協力)の覚書に署名を交わしました。この場合、この大学の学長又は職員は利害関係の無い委員に該当しなくなるのでしょうか?

 治験審査委員会の設置者は院長、覚書の調印に関しては大学の学長、病院の理事長です。


     ↓

GCP第28条第1項第5号委員(治験審査委員会の設置者と利害関係を有しない者)に対しまして、同条第1項ガイダンス5では『実施医療機関の職員等は、「実施医療機関と利害関係を有しない者」に該当しません。

ただし、例えば、実施医療機関が複数の学部を有する大学の医学部の附属病院である場合に、他学部(法学部等)の教員で実施医療機関と業務上の関係のない場合には、「実施医療機関と利害関係を有しない者」の対象と考えられる。』と規定されています。

 ご質問のケースでは、病院と大学間での人材育成や共同研究についての相互協力関係があるとのことですが、大学関係者が「実施医療機関と利害関係を有しない者」として適切か否かについては、特に共同研究についての協力関係の内容(商取引を伴うような利害関係の有無など)からご判断ください。

また、当該治験薬の開発に大学関係者が関わっていないことを確認しておく必要もあります。

 なお、当該治験審査委員が今回の病院と利害関係があるかどうかの説明責任は、治験審査委員会の設置者である院長にありますことにご留意下さい。


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  外部委員 - 「実施医療機関と利害関係を有しない者」の範囲(その5)
支援している某市民病院にて院内設置のIRBの外部委員の変更を予定しておりますが、この市が所属する県の職員を次期外部委員に予定しております。この方は外部委員として問題ないでしょうか。

   ↓

当該市民病院の運営や経営等に関与されていない部署の県職員でしたら、GCP第28条第1項第4号及び同第5号の「実施医療機関(及び当該治験審査委員会の設置者)と利害関係を有しない者」として委員となることに問題ないと思われます。


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