【モニターの1日】

治験を担当しているモニターの1日




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■治験を生かすも殺すも、モニター次第!

GCPの中でも、モニターは「治験責任医師と治験依頼者との情報の橋渡しの主役である」と書かれています。

治験におけるモニターの仕事とはどんなものなのでしょうか?


一言で言うと、モニターの仕事は治験をGCP通りに行う、行わせるということになります。


どんなに素晴らしい治験実施計画書(プロトコール)でも、どんなに素晴らしいデータ解析だとしても、そして、どんなに素晴らしい新薬の卵だとしても・・・・・・。

プロトコール通りに治験が行われ、新薬の秘めたパワーを引き出すのは、その治験を担当しているモニターの腕にかかっています。


医師にGCP、プロトコールを守らせる。 
正確なデータを症例報告書に記載してもらう。
データの信頼性を確認する。

・・・等など。


どれをとっても、治験の本質を揺るがす問題。

こんな仕事をやっているモニターの一日を見てみましょう!

注意:これは単なるフィクションです。 また、毎回、このような仕事をしている訳ではありません。 
モニターの仕事のイメージをつかんでもらうことがこのサイトの目的です。

■モニターの朝の仕事
医師との面談のアポを取る

暑い!
背広を脱ぎ、椅子の背にかける。
シャツの背中が汗で張り付いているよ。

PCの電源を入れる。 立ち上がるまでの時間に、担当の医師に電話をかける
外来が始まる前の、朝のこの時間に電話をかけないと医師を捕まえるのが難しい。


「おはようございます。***のホーライです。
先生、今、お時間よろしいでしょうか?
実は、先日ご登録頂ました34組1番の患者さんのSDVにお伺いしたいのですが・・・
はい、いつものように、カルテのご用意をお願いします。
分かりました、水曜日の夕方4時に医局に参ります。
CRCの***さんには、こちらからも連絡しておきます。
ありがとうございました。失礼します。」


手帳に今の予定を書き込む。

立ち上がったPCでメールを開く。

医師からの問い合わせメールを最優先で、答える。
上司からのメール、プロジェクトチームからのメール、人事部からのメール・・・
優先順位の高いものから開き、後は出張の移動中に電車の中で確認することにしよう。

昨日の▲▲▲大学病院訪問のモニタリング報告書を書く。

・ 誰に何時に、何処で会ったか

・ どんな話をしたか

・ 何を確認したか

・ 何を医師に提出して、何を入手したかこのモニタリング報告書は、医師を訪問するごとに、書かないと、溜まっていく一方だ。

こんな仕事は溜めずに、どんどん処理していくのが、コツ!
それに早く書かないと、記憶が薄れるものね。


10時からの会議に出る

会議は、少ないに越したことはない。。。


治験薬を出庫する

今日は、●●●大学病院に治験薬を持っていく
「治験薬出庫伝票」に、書かないといけないのは・・・

・ 持っていく先の病院名
・ 治験の名前
・ 持って行く治験薬の数量
・ その治験薬のロット番号
・ 自分の名前


など等。

この治験薬出庫伝票を、会社の治験薬管理者に提出し、治験薬保管室から持ってきてもらう。
治験薬が間違い無い事を確認して保冷ボックスに入れる。
・・・この暑さの中を保冷ボックスを肩から下げ、町に出る。 
出たとたんに汗が噴出す。。。

タクシーをつかまえて東京駅へ。

新幹線に乗り浜松までの時間に、新しいプロトコールの勉強をする
今度のプロトコールは、治験に参加してもらう患者さんの選択基準が厳しい。
この基準を治験責任医師に守らせるのが一苦労だ。

外来の診察中にも、すぐに基準が確認できるように、簡単なチェック用紙を医師用に作ってあげないと駄目だな・・・・・・・。

メールも確認してと・・・。


病院での仕事

薬剤部を訪問する

薬剤部に行き、治験薬の追加をする。

病院の治験薬管理者から、受領のサインと日付の記入をしてもらう。

「すいませんが、ついでに、治験薬の管理簿を拝見させてもらえますか?」

ときどき治験薬管理簿を確認しないと、間違った数量が患者さんに渡されてしまっているかもしれないからね。
空箱になった治験薬の箱を回収する。

さーて、次は治験責任医師のところに行かなくては・・・・ 
例の件を了承してくれるかな?

 

■治験責任医師を訪問する
ホーライ「先生、こんにちわ、***製薬のホーライです。」

山田医師「やー、こんにちわ。今日はなんだっけ?」

ホーライ「はい、先生。治験の状況はいかがでしょうか?」

山田医師「う〜〜ん、なかなか、患者さんが集まらなくてね・・・・。」

ホーライ「ええ。それで、ご相談なんですが。実は、新聞に治験の参加者募集の案内を出してはいかがかな、と思いまして。」

山田医師「そうだね。そういう手もある。」

ホーライ「実は、ほかのところでも、これをやって、成功したんです。これが、その時に使った、「治験参加のお願い」の現物です。」

山田医師「なるほどね。」

ホーライ「もし、先生がよろしければ、これと同じ「お知らせ」を、この病院の近辺の新聞にはさんでもらおうと思いまして。ご検討をお願い致します。」

山田医師「分かった。見ておくよ。これって、すぐに使えるんだっけ?」

ホーライ「いえ。GCPでは、「被験者の募集手順」はIRBで審議してもらう必要があります。ですので、先生のご了解が得られましたら、次のIRBで審議してもらう予定です。」

山田医師「なるほどね。うん、検討するよ。」

ホーライ「ありがとうございます。 先生、ところで、先日、治験に参加された200−1番の方ですが、副作用とか出てないでしょうか?」

・・・・・・というような会話を治験責任医師と話します。

そして、最後に、次のアポイントを取っておきます。
■治験コーディネーター(CRC)を訪問する
ホーライ「田中さん、こんにちわ、***製薬のホーライです。」

田中「あら、こんにちわ。」

ホーライ「いつもお世話になっております。ところで、200−1番の患者さんが先週、治験に参加されましたが、その後、いかがでしょうか?」

田中「ええ。今のところ、問題無いですよ。」

ホーライ「ちなみに、その患者さんの同意取得の時には、田中さんも補助説明をされたのでしょうか?」

田中「はい。説明しましたよ。治験とは何か、とか。」

ホーライ「そうですか。そういたしますと、同意書に田中さんの署名と日付が必要なのですが。」

田中「ええ。もちろん、同意書にサインと日付を書いておきましたよ。」

ホーライ「ありがとうございます。それで、その200−1番のSDVを早速、実施したいと思いますのが、よろしいでしょうか?」

田中「はい。いつにしますか?準備しておきますよ。」


・・・・・CRCさんとコミュニケーションを普段からとっておくのは大事。
今じゃ、CRCがいないと治験がはじまらないからね。

さてと、次は治験事務局へ行かないと。
■治験事務局を訪問する
治験事務局がIRB事務局を兼ねている病院が多い。

今日は、「治験参加のお願い」を近々、実施予定であることを告げ、IRBで審議して頂きたいことを伝える。
それに合わせて、IRBのスケジュールを確認しておく。

だいたい、普通の病院はIRBのスケジュールは1ヶ月に1回とか、定期的にやっているんだけれどね。
それと、IRBで審議してもらいたい資料の提出締切も確認しておかないとね。
 

■直帰したいけれど・・・・
さてと、今日の仕事は終わり!
夕方になったけれど、まだ、暑い。

病院前からタクシーで浜松駅へ。(最近は予算緊縮で、タクシーは使用禁止になりそうだけれど・・・・)

チームのみんなへのおみやげとして「うなぎパイ」を買う。

新幹線に乗ったら、早速、iPadでメールのチェックをする。

「げ〜!●●病院で、患者さんが入院したよ。こりゃ、SAEだ。予定を調正して、すぐに●●病院へ行かないと・・・・・・。」

すぐにメールで●●病院の鈴木先生へアポとりのメールを送る。

メールのチェックを終えて、次に、さっきまで訪問していた病院でのやりとりについて、モニタリング報告書に書いておく。

「よし、今日の業務は終わり!」

東京に着くまで、「すベてがFになる」を読む。(たまにはね。普段は、最新の論文とか読んでいるんだよ。・・・・・ほんとか?)

東京駅に19時30分に到着。
今日は、会社に戻らずに自宅へ直帰する予定だったけれど、さっきのSAEの連絡があるので、情報収集と資料の準備の為に、予定を変更して、会社へ戻る。。

■SAE対応のため残業する

ホーライ「ただいま!」

リーダー「おかえり。ね、SAEのメールを見た?」

ホーライ「はい。読みました。すぐに●●病院の鈴木先生にアポとりのメールを送っておきました。」

リーダー「じゃ、対応、よろしく!」

ホーライ「ええ。今日の内に情報をできるだけ集めて、SAE報告書作成の準備をしておきます。」

リーダー「大変だけどね。」

ホーライ「はい、うなぎパイ。」

リーダー「いつも、ありがとう! みんな、ホーライさんから、うなぎパイの差し入れよ。」

メンバー「ごちそうさまで〜す!」

みんな、残業しているな。

う〜〜ん、10時までには帰るぞ!


こうして、モニターの1日は終わる。


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