【モニター用】
1)モニターの仕事とは | 2)最初に覚えること | 3)実践での注意 | 4)自習の仕方 |
3)実践での注意 |
(中-2)問題を解決する・再発防止策を練る | |
治験を永く長くやっていると、いろんな問題にぶち当たります。 ・治験届が拒否された(疑義事項が無茶苦茶たくさん来た、新たな治験をやらないとダメそう) ・治験の契約で病院が無理難題を言ってくる ・被験者の登録が遅い ・プロトコル逸脱が多すぎる ・チーム内のムードが沈滞してきた ・・・・・・など等 ▼ 問題の解決方法は一般的な方法としては、⇒「仕事のコツ集」⇒「目標の達成」をご覧ください。 ここでは、主に治験中に起こりやすい問題について考えてみます。 |
|
■プロトコル逸脱 | |
▼治験中に最も多く発生し、しかも治験の質に最も影響するのが、この「プロトコル逸脱」です。 もし、プロトコル逸脱が発生したら、その原因を究明します。 単純な医師やCRCの誤解であったら、再度、プロトコルを説明します。 ただ、同じ様な誤解は他の医療機関でも発生する可能性がありますので、問題と再発防止策はチーム内で共有化しましょう。 ▼この『プロトコル逸脱』が発生する原因ですが、「プロトコル」のデザイン(治験のデザイン、やり方)に、そもそも無理がある、ということが結構あります。 始まってしまったものは仕方がありませんが、もし次のステップ(Phase)が有るなら、是非、そこは改善するようにしましょう。 既に走っている治験の場合はやむを得ませんので(もし可能ならプロトコルの改訂をする)、「逸脱事例集」を作り、チーム内で逸脱の発生を防ぐようにします。 ▼プロトコル逸脱が発生したら「逸脱報告書」を医師に書いてもらうこともお忘れなく。 |
|
■治験関係者の人間問題 | |
▼治験にはいろんな人間が絡んできます。社内の人間の問題なら、まぁ、なんとかなりますが、問題は病院スタッフ、医師、CROのモニター、CRCなどの社外の人間の問題です。(逆もあります。即ちCROやSMO、病院から見た「問題の有るモニター」ですね。こちらのほうが、実はもっとやっかいな場合もあります。) ▼いちばんやっかいなのが、「偉い先生」問題です。これは、その治験を実施するのに日本では絶対に外してはいけないという「親分、ボス」的医師がいます。 これがまた、我侭言い放題の医師だったりするとやっかいです。 そんな時は、話をはぐらかすのが上手い上司を連れて行くというのも手です。 また、治験に実質影響しない「治験総括アドバイザー」とか勝手にどうでもいい名誉役職をつけて祭り上げておいて、あとは蚊帳の外に出しておくという手も有ります。 もっと、過激な手もあります。 その医師を治験に加えないという手です。 いつかは時代が変わります。 サル山のボスも世代交代します。 それを自らがやる、という手です。 実際に、これは経験があります。 ある領域で、ほとんど無名だった医師を(旧GCPの時代)治験総括医師に無理やりしました。 他社では違う医師を総括医師にしていたので、最初はやりにくかったです。 しかし、治験薬の効果も手伝って、その治験は大成功しました。 それに付随して、無名だった若い総括医師が、その後、この領域の治験では欠かせない医師になりました。 他社はともかく、自社では「私たちが育てた医師」という意識もありましたし、先方の医師も、そんな思いがあったのでしょう。 その後、この領域の治験で苦労したことはありませんでした。 ▼治験責任医師や分担医師と話がこじれたり、問題が発生した場合は、少し時間を置いて(その間に解決策を考えておく)、部長などと一緒に和解に行くといいでしょう。 この手の医師が相手の場合、その日の気分で変わることが多いようです。 日常診療と治験とやっていて多忙だったり、ボスから怒られたりして、誰にもあるのですが、丁度、間の悪い時にアポが入っていて、会いにいったら怒られた、という感じが多いですね。 ▼「治験事務局」でやっかいなのは、生半可なGCPの知識があり、それに対して自説を持っていて、それを絶対に曲げない、という種類です。一家言(いっかげん)と呼ばれる方です。 よく学会なんかでも発表したりして、影響力もあり、業界全体で困っている人なんかがいたりします。 まず、最初に、その手の病院に治験を依頼するかどうかから検討をしたほうがいいでしょう。 もし、やむを得ず治験を依頼し、問題が発生したら、相手の言い分を飲むのが一番早い解決方法です。 相手の言い分にもよりますが、治験の本質に係わらないこと、GCPの本質に係わらないこと等で、事務的な問題でしたら、相手の言い分を飲むのが一番です。 この手の一家言を「説得」するほど、時間と労力の無駄はありません。 そんな時間と労力があったら、もっと、物分りのよい医療機関にせっせと足を運び、そちらで治験促進をはかります。 ▼ CRCやSMO等に問題がある場合、ビジネスライクに問題を解決するという手もあります。(逆の場合は下記「CROのモニターが依頼者のことで困る場合」参照) 特にこちらが顧客となるCROの場合はそうです。 問題の多いモニターを担当にしたCROに対してはビジネスライクに、問題のモニターを変えてもらう等しましょう。 そんなCROのモニターの問題解決に社内のモニターが走り回らないといけないというのは、本末転倒です。 一番いいのは、CROに頼らなくてもすむような社内の人材戦略を練ることでしょう。 しかし、そうは言っても種々の事情により、人手が不足し、CROにモニタリング業務を依頼することがあります。 そんなときは、CROという会社を選択することも大事ですが、実は担当するモニターを選択することが、会社選び以上に重要です。 そのためには、面接で優秀なモニターを選択できるように、日頃から選択眼を鍛えておきましょう。 そして、次に依頼する場合も、できる限り、そのモニターを指名するようにします。 製薬会社の社内においても、問題のあるモニターを避け、優秀なモニターに仕事を割り振るというのは、同じなのですが。。。。社内の人間だけに、逆に扱いに困ったりするのが現状です。 そうらないようにするのが、この「モニターへの道」の目的なのですが。 ▼逆の場合---即ちあなたがCROのモニターで、治験依頼者からの指示が不明確等で依頼者側に問題がある場合。 依頼者の指示が二度、三度と頻繁に変わり、振り回されることが多いCROのモニターの方もいらっしゃると思います。 あるいは、指示系統が複数あり、同じ製薬会社の違った担当者から違った指示が出たりする等の問題の多い製薬会社もあります。(社内での情報伝達がうまくいってない製薬会社にはありがちです。) そんな時には、きちんと、これまたビジネスライクに指示を出してもらうよう、会社を通して依頼しましょう。 顧客と受託側という弱い立場に有るとは思いますが、それが、依頼者側にしても受託したCRO側にしても「治験の質とスピード」を上げる近道であることを伝えましょう。 ■再三に渡り、お願いしても改善されない場合は、CROと製薬会社の間で会議を持ち、どこが問題で、それが両社にどのような不利益を及ぼすかを会議で確認するようにします。 いくらCROが治験受託機関で、製薬会社側が顧客だとしても、上に述べたこと(製薬会社側から見たCROへの対応)が全く、そのままCRO側にもあてはまります。 基本は契約を守ることです。お互いにね。 |
|
■問題を解決する時の注意点 | |
問題を解決する上で一番大切なのは「自分のスタンス」を決めることです。 この問題はどこまでいったら、どういう状態になったら、自分としてはOKか、ということです。 あなたは、今、ある治験のチームに所属しています。 そのチームの目標はなんでしょうか? それは一日でも早く、治験を終了することです。 その大きな目標の中で、あなたが抱えている問題は、どの程度のものでしょう? この大きさにより、問題の解決ポイントが変わってきます。 ひょっとしたら、放置してもいい問題かもしれません。あるいは相手の言い分を飲めば済む話かもしれません。 時には、全力でぶつかっていかないと、治験全体に影響を及ぼすものかもしれません。 あなたにとってどういう状態になれば、満足できるものですか。そこが問題の解決ポイントです。 |
|
■再発防止策を練る | |
発生してしまった問題は仕方がありません。 大切なのは「同じ問題を再発させない」ということです。 問題を解決する時は、できるだけ問題の根本原因を考えます。 そして、それを未然に防ぐ手を考えましょう。 実は一つの会社で似たような問題を、いろんなチームが抱えているということがよくあります。 社内のコミュニケーションが悪いのですが、忙しいモニターですので、他人のことまで構ってられません。 しかし、ここで、あなたが「問題の再発防止策」を考え、チーム全体や組織全体に徹底したとします。 また、イントラネット等をつかって、そのような場所やシステムを作ったとします。 あなたが講じた再発防止策で他のチームの人が同じ問題を抱えていて、解決に役立ったりすると、この手のシステムが評価されます。 きっと、それは少しずつ、少しずつですが、でも評価され始めるでしょう。 すると、他の人たちも、そちらで起きた問題の解決方法や再発防止策を報告してくれるようになります。 こうして、強い組織が誕生します。 しかし、時間が間違いなくかかりますが。。。 |
ホームに戻る | 次のページへ |
【モニター用】
1)モニターの仕事とは | 2)最初に覚えること | 3)実践での注意 | 4)自習の仕方 |