(2)モニタリング活動実践能力アップ方法 |
(2)−2)調査・選定 |
ここでの活動は「1)モニターの仕事とは」の「治験の開始時」、「1)の(3)治験責任医師の調査」、「2.治験の依頼時」も参考にしてください。
@MR情報・学会情報・治験実績などを基に、関係者とも充分に検討した上で適切な候補施設を選定している
A施設SOPを充分に確認した上で、治験実施医療機関としての適否を検討している
B治験実施体制、特にCRC確保の可否・協力の程度についても確認して、適否を検討している
C受け持ち患者数・プロトコル基準に合致する患者数・同意取得可能患者数などを具体的に提示していただき、実施可能な被験者数を明確に把握して、適否を検討している
D予定責任医師とプロトコル案(テーマ特有の検査関連事項など)について事前協議を十分に行って、適否を検討している
ここでは、特にB、CとDについて考えたいと思います。
|
B治験実施体制、特にCRC確保の可否・協力の程度についても確認して、適否を検討している |
これからの治験の成否は、いかに優秀なCRCがいる医療機関を選定するかにかかっています。
優秀なCRCがいると、・・・
▼被験者登録が促進される
▼プロトコル違反が少ない
▼CRFもきれい。記入漏れが少ない
▼何事においても、対応がスムーズ
・・・と、モニターの苦労が激減します。
そのためには、今後は治験責任医師の調査・選定よりも、CRCの調査・選定に重きをおいてやるべきです。
いい加減なCRCもいます。
いい加減なSMOもあります。
SMOはいい加減だが、優秀なSMOがいることもあります。
SMOは優秀だが、いい加減なCRCを派遣することもあります。
いい加減なモニターや治験依頼者がいると同じ様に。
CRCをいかに事前に評価するかというノウハウを早急に社内で確立しておきましょう。
|
C受け持ち患者数・プロトコル基準に合致する患者数・同意取得可能患者数などを具体的に提示していただき、実施可能な被験者数を明確に把握して、適否を検討している
D予定責任医師とプロトコル案(テーマ特有の検査関連事項など)について事前協議を十分に行って、適否を検討している |
CとDは実は同じ問題を抱えています。
プロトコルのデザインがそもそも悪いと、モニターがどんなに頑張っても、なかなか治験が進まないということです。
例えば・・・
▼「選択基準」や「除外基準」が不適切(厳しすぎて等)で、被験者が登録できない。
▼実行不可能に近い「検査スケジュール、検査項目」をプロトコルで規定している。(その割には、あとでデータとして使っていない、という愚行の繰り返しを、もうそろそろ止めませんか?)
・・・など等。
このようなことを避けるために、プロトコルの案を作る際には、十分に現場の医師、CRC、看護師と相談することが大切です。(医学専門家の意見も大切ですが)
最悪なプロトコルができたあとでは、何もかもが、大変です。
「実施可能な被験者」を医師が多く担当しているか、よりも「実施可能なプロトコルになっているか」のほうが、はるかに重要です。
ここに気づいていない治験依頼者が多いことが、「日本の治験の空洞化」を招いていると、僕は睨んでいます。
|
■とは言え、モニターも考えないといけないこと |
もう始まってしまった治験のプロトコルの文句ばかりを言っていても仕方がありません。
それなら、それなりでモニターも考える必要があります。
まずは、とにかく該当する「疾患」の患者さんが多いこと。
大学病院だからいいとは限りません。
町内のクリニックのほうが集まる疾患もあります。(例えば「更年期障害」とかね)
あらかじめプロトコルの問題点、被験者を集める時にネックになりそうなことをチーム内で検討しておきましょう。
クライテリア(採用基準)が厳しすぎるとは言え、絶対に、それにあてはまらない患者さんばかりのはずがありません。
知恵を絞って考えましょう。
■「1)モニターの仕事とは」の「5.被験者登録促進」でも触れたことを再度検討しましょう。 ⇒ 「被験者登録に一度は試してみること」も参照。
責任医師、分担医師、CRCの方とも、これらのプロトコル上の問題点について共通認識を持ってもらうことも必要です。
ときには、医師やCRCのほうから被験者登録促進のアイディアを出してくれることもあります。
これを乗り越えてこそ、モニターです。
|