(2)モニタリング活動実践能力アップ方法 |
(2)−7)CRF回収・点検・SDV・FB |
ここで問われている能力は次のように沢山、有りますが、ここでもまた、1)モニターの仕事とはの9.CRFをSDVでチェックする 等も参考にしてください。
@Book型CRFにおいては、治験終了症例の速やかなCRFの記載と回収を要請している
A手順書に定められた時期に速やかかつ適切にSDVを実行している
BSDV時は必ず医薬品集・カルテ用語辞典等を持参し、またSDV手順書に沿ったSDVを実施している
Cカルテ記載内容がよく理解・把握できるよう、自己研修を目的としたSDVに積極的に同行する等の自己研鑽を行っている
DSDV時、CRFや原資料の記載内容が医学的に妥当であるか・治験薬投与記録と矛盾がないか等、矛盾・逸脱・不整合の有無などの見落としが無いように、丹念に点検している
E臨床検査値の基準値は最新の検査基準値も入手している
FCRFと署名・印影一覧の整合を確認している
GSDV実施報告書は正確かつ速やかに作成するようにしている
Hフィードバック実施前に、フィードバック事項は全体に矛盾がなく、整合性が取れていることを確認してから、FBを実施している
Iフィードバックは的確に行い、整合性の取れた回答であるかを確認し、またその場でFB項目漏れがないかの確認を行っている
ここでは、特に注意を要する次の2項目を説明したいと思います。
■効率良くSDVを行えるように準備する
■SDVを確実に行う、問題を発見する、問題を作らない・残さない
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■効率良くSDVを行えるように準備する |
ここに該当するのが次の項目です。
Cカルテ記載内容がよく理解・把握できるよう、自己研修を目的としたSDVに積極的に同行する等の自己研鑽を行っている
事前にSDVマニュアルやSDV手順書をよく読んで理解しておくことはもちろんのこと、カルテを読めるように、日頃から自習しておきます。
自習の方法ですが、まず、その専門領域の知識を学びます。
次にその分野のカルテ用語(英語)を覚えます。
そして、できれば、チームで事前に模擬SDVの研修等を行い、初めてSDVをした時にでも、すぐに、どこに何が書いてあるか、分かるくらいにしておきましょう。(研修方法は、研修担当者と相談すると良いでしょう。)
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■SDVを確実に行う、問題を発見する、問題を作らない・残さない |
ここに該当するのは、次の3項目です。
DSDV時、CRFや原資料の記載内容が医学的に妥当であるか・治験薬投与記録と矛盾がないか等、矛盾・逸脱・不整合の有無などの見落としが無いように、丹念に点検している
Hフィードバック実施前に、フィードバック事項は全体に矛盾がなく、整合性が取れていることを確認してから、FBを実施している
Iフィードバックは的確に行い、整合性の取れた回答であるかを確認し、またその場でFB項目漏れがないかの確認を行っている
▼SDV実施時の注意
まずは、CRFに記載されていることが、原資料のどこに記載されているか確認します。そして、それが間違っていないことをチェックします。
次に原資料に記載されていることで、CRFに記載すべきことが無いかどうかをチェックします。
これは結構、見逃しやすいので十分に注意して、確認しましょう。
ここを見逃すと必ず機構の人に突っ込まれます。
何故なら、もし、記載漏れがあると、そのデータを加味して治験薬の安全性や有効性を解析していないことになるからです。
▼SDVのやり方・順番
・・・という順番です。
▼SDV(或いは社内でのQC等)をした結果に基づくフィードバックの注意点
一つの症例のCRFについて、治験責任医師や、分担医師にフィードバックをかけて、CRFの訂正や追記等を行う必要が発生した時に、安易にやってはいけません。
その一つの症例だけで済む事項なのか、それとも、その治験で作成されたCRF全体に影響を及ぼすことなのかを、事前にリーダー等と確認するようにしましょう。
たった、一例について、安易に訂正や追記をしてもらったがために、残りの全症例と矛盾が生じて、治験全体がおかしな結果になることもあります。
▼フィードバックした結果についての注意点(問題を作らない・残さない)
CRFのあるコメントを訂正、追記してもらったら、そのことが同じCRF内の他のことに影響しないかどうかを確認します。
せっかく、SDVで発見した問題を解決するために、医師にコメントを貰ったのに、そのコメントがさらに問題を発生させてしまったという例です。
例えば、SDVした結果、ある有害事象が「風邪によるもの」だということが分かりました。
その結果、医師に有害事象のコメント欄に、その旨のコメントを貰います。
医師が「上記『胸痛』は風邪のためであり、アスピリン投与で3日後に消失した」とコメント欄に記載したとします。
さー、あなたは、これでどこを注意しますか?
そうです。
併用薬欄に「アスピリン」、併用理由「風邪」というようなコメントを追記してもらう必要があります。
もちろん、それが事実かどうかをSDVで確認する必要もあります。 |
このように、一箇所についてフィードバックした結果が、同じCRF内に影響しないか、十分に検討しましょう。
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