【モニター用】
1)モニターの仕事とは | 2)最初に覚えること | 3)実践での注意 | 4)自習の仕方 |
4)自習の仕方 |
(1)動作・知識・能力アップ方法 | |
(1)−4)領域知識 | |
ここからは、自分の担当する疾患等の専門的な知識等についてです。 @実施計画書・治験薬概要書を理解し、目的・根拠など明確に説明出来、質問には的確に回答している A各種手順書を理解して治験担当者に説明し、手順書に沿う治験実施を要請している B学会・研究会・専門誌等から領域の最新情報を収集している C専門医とディスカッションできるレベルの領域知識を習得している、またディスカッションを通じて領域知識をさらに蓄積している D総括報告書・統計等に関する基礎知識を有し、プロトコルで求められる真に必要なデータ情報を収集したり、データの的確な説明が出来るようにしている 上では5項目を聞いていますが、これらを大きく分けると次の3項目になります。 1)自分の担当領域疾患の知識を学ぶ 2)プロトコル等自分の担当する治験の方法を学ぶ 3)新薬申請を見据えたデータを集めることを認識する |
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1)自分の担当領域疾患の知識を学ぶ | |
ここに該当するのが、次の3つです。 @実施計画書・治験薬概要書を理解し、目的・根拠など明確に説明出来、質問には的確に回答している B学会・研究会・専門誌等から領域の最新情報を収集している C専門医とディスカッションできるレベルの領域知識を習得している、またディスカッションを通じて領域知識をさらに蓄積している まず、最初にプロトコルや治験薬概要書の説明をするためには、その対象となる疾患の知識が必要です。 しかも、基礎的な知識だけでなく、最先端の知識まで必要です。 なぜなら、「治験薬」そのものが、「最先端の治療方法」になる可能性が大きいからです。 特に抗ガン剤の治療方針としても、各種標準的な治療を実施しても癌が縮小しない場合は「治験薬」を試すことが、かなりの頻度であるくらいです。 とにかく最初は基本的な事項を成書で学びます。 次に最新の論文を読んだり、学会へ行き、先端知識を学びます。時には懇意となった担当医師に質問するのもコミュニケーションを図るためにもいいと思います。(あんまり基本的なことは質問しないように!) その上でないと、本当の意味で「プロトコル」と「治験薬概要書」を説明することはできません。 単純に治験の手順だけを医師に伝えるだけならいいでしょう。 しかし、必ず、医師から質問がくるはずです。例えば・・・ *「選択基準」に「レベル2以上」の患者とあるけれど、●●を併発している場合はどうなるの? *「通常の治療では、ここで必ずさ、▲▲をかまして、相乗効果を狙うんだけれども、それをやってもいい? ・・・など等。 このような質問に答えるためには、プロトコルの内容を理解しているだけでなく、その領域の専門的な知識が必要となってきます。 チームで勉強会をやるのもいいと思います。そんな時に、率先して講師役を引き受けましょう。 |
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2)プロトコル等自分の担当する治験の方法を学ぶ |
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「治験の方法」と言っても具体的に言うと「薬効評価方法」です。 上記の1)ともかぶりますが、次の項目がここに該当します。 @実施計画書・治験薬概要書を理解し、目的・根拠など明確に説明出来、質問には的確に回答している A各種手順書を理解して治験担当者に説明し、手順書に沿う治験実施を要請している 数多くある疾患領域で「自分の担当する領域」の治験方法というのが、だいたい決まっています。 抗ガン剤なら、抗ガン剤の治験方法、降圧剤なら降圧剤の治験方法、糖尿病なら糖尿病の治験方法、、、など等。 とくに、自分が担当する疾患領域での「薬効評価方法」を学びましょう。 「新薬評価ガイドライン」という本が出ていますので、まずは、そこに自分の領域があるかどうか調べてみます。 また、学会等でその領域の治療ガイドラインや診断法などを出している場合もありますので、それも調べてみます。 それらの基礎知識の元に、プロトコルでの薬効、副作用の評価方法、手順を説明する必要があります。 また、疾患によっては既に確立した「診断方法」や「評価方法」があり、それをそのまま治験に使う場合もありますが、一部、治験用に改訂することもあります。そんな時は、何故、そのように変更したのかを医師に説明できるようにしておきましょう。 チーム内で「模擬医局説明会」をやってみるといいでしょう。 |
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3)新薬申請を見据えたデータを集めることを認識する | |
ここに該当するのは、次の項目です。上と同様にかぶっている項目もあります。 @実施計画書・治験薬概要書を理解し、目的・根拠など明確に説明出来、質問には的確に回答している A各種手順書を理解して治験担当者に説明し、手順書に沿う治験実施を要請している D総括報告書・統計等に関する基礎知識を有し、プロトコルで求められる真に必要なデータ情報を収集したり、データの的確な説明が出来るようにしている 最後の項目Dが特に重要です。 究極的に言って、モニターの仕事はDにある「プロトコルで求められる真に必要なデータ情報を収集」することです。 自分が集めてくる治験のデータが最終的には総括報告書にどのようにまとめられるのか? それはどういう意味があってまとめられるのか?・・・・このようなことを知らないで、漠然とCRFに書かれたデータをチェックしても意味がありません。 医師に必要なコメントをCRFに記載する場合も、上のことを理解していないと、的外れのコメントを書いてもらうことになります。 これらを理解するためには、次のことを行います。 (1)ICH−Eシリーズの「総括報告書のガイドライン」を読み、その構成と意義を理解する。 (2)同じくICH−Eシリーズ の「臨床試験のための統計的原則」について」を読み、どんな治験を行えば対照薬との非劣性を証明できるのか、等を理解する。 (3)上記2つのガイドラインを理解した上で、自分が担当するプロトコルの評価項目や評価方法、CRFに記載すべきデータの意義を考えます。 ■たとえば仮の話ですが、全く同じ化合物で、2つの製薬会社がある同一の疾患の新薬開発にチャレンジしたとします。 全く同じ化合物ですから、2つの製薬会社とも新薬開発に成功するかと言えば、そんなことはありません。 優秀な生物統計解析担当者、プロトコル作成者、DM担当者がいて、それらが協力して「妥当なプロトコル(即ち、治験のデザイン)」を作成し、必要不可欠なデータを収集できる「CRF」を作り、その上で優秀なモニターが、プロトコルで求められている真に必要なデータをCRFの必要な個所に医師に書いてもらい、素早く回収できる会社。 このような会社なら成功しますが、そうでない会社なら失敗するでしょう つまり同じ化合物で同じ薬効を狙ったとしても、成功する会社と失敗する会社があるということです。 それが現実です。 |
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