(1)動作・知識・能力アップ方法 |
(1)−6)プレゼンテーション能力 |
ここでは、以下のプレゼン能力を問われています。
@訪問目的が明快に伝わるプレゼンテーションをしている
A面談者のレベルやニーズに合致した内容となるよう配慮している
Bインパクトを与えられる表現法を身に付けている
C説明会時は、プレゼン資料作成に工夫し、必要に応じて予行演習なども行っている
Dプレゼンテーション機器(PCおよび周辺機器、その他)を効果的に活用している
実はこのプレゼン能力は意外と難しい分野です。
しかも、単純に「説明できる」程度のプレゼンと「相手をその気にさせる」プレゼン能力では求められているものが、天と地ほど離れています。
さらに、自分の会社のレベルにも影響します。
OHPのスライドを使って、観衆の方を一回も見ないでモゴモゴ話すことがプレゼンだと思っている会社もありますし、新入社員の研修で一番力を入れて教えているのがプレゼン研修で、すぐにパワーポイントの達人たちが育つという会社もあります。
自社がどちらに属するか、よく観察してみましょう。
前者のほうだと、ちと苦しいです。
社外の研修等でプレゼンが上手いとはどういうものが感じてください。
(実は、僕が今いる会社はこちら↑でした。「あの人はプレゼンが上手いですよ」と教えてもらった人が、前の会社で言うと、新人教育を終えた程度でした。そこで、僕が今の会社でやった研修で真っ先にやったのがプレゼン研修でした。)
後者のほうだと、プレゼンの見本となるような人が社内にいるでしょうから、それを見習ってください。
プレゼンの良し悪しで、仕事の方向性が間違ってしまったり、会議が長引いたりします。
また、分かりやすくプレゼンしないと、医師がとんでもない誤解をして、プロトコル逸脱までしてしまいます。
さらに、新薬を申請すると面接審査会があり、そこで申請品目の概略をプレゼンさせられます。
また、実地調査や書面調査の時に医薬品機構の人に対して、CRFのQCチェック体制や全社のGCPの体制をプレゼンすることもあります。
いろんな機会に重要なプレゼンの場がありますので、プレゼンテーション能力はしっかりと身につけておきましょう。
ここでは、上記の5つの項目を大きく次の2つに分けて説明します。
1)相手に正確に伝えるプレゼンテーション
2)相手をその気にさせるプレゼンテーション
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1)相手に正確に伝えるプレゼンテーション |
ここに該当するのが、次の2項目です。
@訪問目的が明快に伝わるプレゼンテーションをしている
A面談者のレベルやニーズに合致した内容となるよう配慮している
まずは「絶対にやってはいけないこと」を列挙しましょう。
(1)自分でも話す内容を咀嚼していない(良く理解していない) |
(2)発表制限時間を1分でもオーバーする |
(3)話す内容の順番を考えていない |
(4)細かい内容をグチグチ説明する |
(5)聴衆を見ないで写っているスライドばかりを見ている |
(6)声が小さい |
このやってはいけないことの裏返しを行えば、相手に内容が正確に伝わります。
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■まずは自分が内容を理解する |
次の流れにそってプレゼン資料を作ります。
(a)とにかく、まずは自分が話す内容を完全に理解します。
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(b)その上で、どうしても相手に伝えたいことを絞り込みます。
ここが大切です。内容は十分に絞り込みます。
自分ではもっと話したい内容があるでしょう。しかし、ここで大切なのは、あなたの気持ちではなく、聴衆者の気持ちです。
プレゼンのテーマが絞り込まれていないと、一体何が言いたいのか分かりません。
テーマが絞れていない悪い例の見本が「発表時間のオーバー」です。
僕が新人に教えている最初のことは「どんなに内容が良くても、制限時間を1分でもオーバーしたらダメ」です。
「一言で言って、あなたは今回のプレゼンで何を言いたいの?」
この質問に答えられるところまで内容を絞り込みます。
↓ |
(c)内容の話す順番を決める
プロトコルに書かれている順番とか、あなたの思いつきの順番ではいけません。
相手が理解しやすい順番に話題を並べ替えます。
簡単に言うと・・・
「内容の大枠の説明」⇒「細かい内容」
「結論」⇒「その理由」
・・・の順番にします。(問題の背景を長く話すのはあまり意味がありません。)
↓ |
(d)メリハリをつける
上記の(b)の繰り返しになりますが、「この人、一体何が言いたいの?」というプレゼンをよく見ます。
内容のどうでもいい、背景やら歴史なんかをダラダラと30分話して、最後の2枚で結論を言っている人を見かけたことがあります。
だったら、最初にその2枚を見せろ!と言いたくなるようなプレゼンでした。
声の調子、スライドの作り方、発表の態度からも、これだけは今回はあなたに言いたいんだ!というスタイルを身につけましょう。
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(e)聴取者を見る&声を大きめに
マイクを使っているならまだしも、マイク無しでスライドの方ばかり見ながら話していたら、賭けてもいいですが、5割の聴取者は寝ていて、残りの3割は内職をしています。
これを防ぐにはスライド依存症にならないようにします。
そのために、(a)でも話したように、まず話す内容を完全に理解、暗記しておきます。
それが無いと不安になってついスライドを見てしまいます。
では、スライドを観ないで何をするのか?
聴衆者の全体に視線を回します。これだけで、聴衆者の視線を自分に集めることができます。
これは結構、場慣れが必要だと思いますので、意識しながら、本番でチャレンジしましょう。
そのためには、リハーサルをやってみるのもいい手です。
本番前に、チーム会議などで発表し、仲間から感想を聞いてみてください。
そして、声が小さいと、当然ですが聞き取りにくくなります。
まったく聞こえないこともまれに有ります。
どんなにりっぱな内容でも聞こえていないと意味がありません。
普段より3割アップの声量で話しましょう。
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2)相手をその気にさせるプレゼンテーション
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ここに該当する項目は残りの3項目です。
Bインパクトを与えられる表現法を身に付けている
C説明会時は、プレゼン資料作成に工夫し、必要に応じて予行演習なども行っている
Dプレゼンテーション機器(PCおよび周辺機器、その他)を効果的に活用している
一番、初心者が陥りやすいミスは「スライドいっぱいに文字で説明したいことをそのまま書く」です。
絶対に止めましょう!
僕なら見るだけでうんざりします。もし、そんなに説明したい内容が有ったら、配布資料を作りましょう。
「文字が占めていい量は、パワーポイントの画面の5割まで」です。
そのためには以下のようにします。
・箇条書きを使う
・図解にする
・表やグラフにする
パワーポイントのアニメーション機能も十分に考えて使いましょう。
いっきに言葉を出していい場合と順番に出したほうが効果的な場合があります。
これは意外と重要です。
一つの項目ずつ、画面に出していくと相手の理解が深まります。
そうすると、相手が一つのことを十分に理解してから、次の話題に移るという効果があります。
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■相手をその気にさせるプレゼンは、相手の思考の流れを、こちらが変えるということです |
上記の「相手に正確に伝えるプレゼンテーション」が出来ていれば、もう、8割がた成功です。
あと、残すことは自分がそのプレゼンテーションにどれだけ、情熱をこめて打ち込めるかです。
思わず引き込まれてしまうプレゼンテーションとは、これらの全てを満たしたものの上に、あなたの情熱を注いだプレゼンテーションです。
自分が内容を把握していないもの、自分が話す内容を信じてもいないこと、そんなもので、相手が心を動かすはずがありません。 |