【モニター用】
1)モニターの仕事とは | 2)最初に覚えること | 3)実践での注意 | 4)自習の仕方 |
1)モニターの仕事とは |
9.CRFをSDVでチェックする |
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さてモニターの仕事で最も重要な仕事「SDV」です。 これが無ければ、治験のデータの信頼性も妥当性も倫理性も、何も確認できません。 医療機関から与えられた限定された時間内に、限定された広さの机の上でいかに効率よく、SDVをすることができるのかを考えましょう。 |
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1)「SDVマニュアル」をいつ使うのか知っている? | |
事前にチーム内で「SDVマニュアル」や「SDVでの注意点」とか「SDVチェックリスト」等と言うものを作ると思います。 これはいつ使うものでしょうか? SDVの時? ブッブブー!間違いです。 SDVを開始する前に、事前に体で覚える位使うのが「SDVマニュアル」の正しい使い方です。 チームで模擬カルテと模擬CRFを作り、特に「キモ」となるチェック個所にわざとミスを入れて何回も訓練します。 短時間に、確認すべき項目を間違いなくチェックするには、事前のこのトレーニングが必要です。 え?模擬カルテなんて誰から書いてもらうのか? 自分たちで作るのです。手書きでもワードでもなんでも構いません。 凝ったものを作る必要はありません。 カルテとCRFの中から目指すものを短時間に見つけるだけの訓練に使うだけです。 実際のSDVの時には、いちいちマニュアルを見ないでもSDVができるようにしておきます。 ただし、SDVの記録と、SDVで気づいたこと、医師に対処してもらったことを記載するものとしてチェックリスト等を使います。 |
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2)原資料を特定しておく | |
通常はプロトコール等で原資料となるべきものを事前に特定しておくといいでしょう。 ただし、実際のSDVをやり始めると、当初とは違ったところからデータを持ってこざるを得ないこともあります。 例えば、「体温」をカルテからCRFに転記することになっていたのが、何故か、その日だけカルテではなく「看護日誌」や「温度板」から転記していたことが分かったとします。 そのような例外的なものが有ったら、後々、どこに記載があったか分からなくなりますので、SDV記録に残しておくといいでしょう。 |
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3)原資料が無かったら? | |
こんな例を僕は知っています。 Aという病院で治験をやっていました。 そこへBという病院から転院してきたCさんが治験に参加しました。 その治験ではレントゲン写真が重要な原資料となっていました。 Cさんのレントゲン写真はBの病院で撮ったものです。 そのレントゲン写真を治験担当医師が見ながらデータを直接、CRFに記載しました。 その後、Cさんは元の病院Bへ戻りました。その時、一緒にレントゲン写真も病院Bへ返却されました。 モニターがSDVをしたところ、当然、重要な原資料であるレントゲン写真が有りません。 どうするか? そのモニターは「病院Bへレントゲン写真を戻したため当院には保管されていない」とコメントを貰いました。 機構の担当官がこれを見て、どう言ったと思います? 「そんな一筆貰う前に、B病院に頼んでレントゲン写真をコピーさせてもらうほうが先でありませんか?」 おっしゃるとおりです、はは〜〜〜ぁ。 です。 SDVをして、もし原資料が無かったら、徹底的に探して貰います。 在りかが分かっているなら、そこからなんとか入手する方法を探ります。 最悪、原資料が無かったとしても、CRFに書かれているデータの傍証となるような記載を探します。 とにかくデータの保証ということを大前提において、SDVを実施しましょう。 |
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4)CRFを横並びに見る | |
自分が担当している医療機関内のCRFを横並びに見てみましょう。 同じ病院でやっている治験でAさんの有害事象とBさんの有害事象がほとんど同じ経緯をたどったとします。 それなのに、Aさんの有害事象は「因果関係無し」なのにBさんの有害事象が「因果関係を否定できない」なんていうことが発生していませんか? 第三者が見たら、あれ? って絶対に思いますよね? それなりに理由があるはずですので、医師からそのコメントを貰いましょう。 あるいは、見直した結果、やはりBさんの有害事象も「因果関係無し」とするなら、訂正してもらいましょう。 もちろん、訂正日、訂正のサイン(記名・捺印)、訂正理由をお忘れなく。 モニタリング報告書にも、その経緯を記載しておきましょう。 同様に、その治験全体のCRFを横並びに見る必要があります。 これは、いちモニターの仕事ではなく、治験担当チームの仕事として、責任者を決めて(同じ目で見て)、症例間に不整合が無いかを確認します。 |
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■それは「不一致」なのか「矛盾」なのか? | |
時々、SDVした時にCRFのデータがカルテなどと合ってないけど、それが「不一致」に該当するのか「矛盾」に該当するのか、頭を悩ませている会社があります。 また、CRFとカルテとの間で不整合が有ったので、それを説明するコメントを医師から貰った。 こうなるとチェック記録には「矛盾あり」なのか、それとも、もう説明されたコメントがあるので、結果的に「矛盾なし」にチェックをつけるのか、などという下らないことを悩んでいる会社もあります。 また、それをご丁寧に、QCが医師から説明を貰っていて「矛盾が消えているのに『矛盾あり』にチェックがあるのがおかしい」なんて指摘したりします。 そんなの、どっちでもいいことです。(もちろん、会社の趣味やポリシーでわざと治験を遅くしたいなら、やっていてくださっても結構です) 一回でも機構の実地調査を受けたことがある方ならお分かりだと思いますが、第三者(この場合、機構の調査官)がカルテとCRFを見て、アレ?変だぞ。数値が(コメントが、疾患名が)CRFとカルテと違う、と思うと、当然、治験依頼者に、ここはどういうことですか?と質問してきます。 それの説明ができさえすれば、それが逸脱報告書だろうが、不一致一覧表だろうが、矛盾の記録だろうが、モニタリング報告書だろうが、機構の人は、「書類の種類や名前」なんて気にしません。 要は、事実を第三者に説明できる資料を残しておくことです。 |
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