感染症予防ワクチンの臨床試験ガイドライン

治験担当モニターに必要な知識
睡眠薬の臨床評価方法に関するガイドライン





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感染症予防ワクチンの臨床試験ガイドライン
「感染症予防ワクチンの臨床試験ガイドライン」について
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http://www.pmda.go.jp/kijunsakusei/file/guideline/biologics/kansenyobou-vaccine-guideline.pdf


今週は「感染症」を見ようということなので、久々に「感染症」に絡んだ小説を読み漁りました。

もし、気に入ったものがありましたら、みなさまも、どうぞ。


まずは、SF界の大御所、小松左京の不朽の名作「復活の日」。
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MM‐八八菌―実験では、摂氏五度で異常な増殖をみせ、感染後五時間で九十八%のハツカネズミが死滅!生物化学兵器として開発されたこの菌を搭載した小型機が冬のアルプス山中に墜落する。

やがて春を迎え、爆発的な勢いで世界各地を襲い始めた菌の前に、人類はなすすべもなく滅亡する…南極に一万人たらずの人々を残して。

人類滅亡の恐怖と、再生への模索という壮大なテーマを描き切る感動のドラマ。






次に僕が読んだのは、この作品。

「首都感染」高嶋 哲夫著。
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二〇××年、中国でサッカー・ワールドカップが開催された。

しかし、スタジアムから遠く離れた雲南省で致死率六〇%の強毒性インフルエンザが出現!中国当局の封じ込めも破綻し、恐怖のウイルスがついに日本へと向かった。

検疫が破られ都内にも患者が発生。生き残りを賭け、空前絶後の“東京封鎖”作戦が始まった。





さらに、これも。

「夏の災厄」篠田 節子著
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東京郊外のニュータウンに突如発生した奇病は、日本脳炎と診断された。

撲滅されたはずの伝染病が今頃なぜ?

感染防止と原因究明に奔走する市の保健センター職員たちを悩ます硬直した行政システム、露呈する現代生活の脆さ。

その間も、ウイルスは町を蝕み続ける。

世紀末の危機管理を問うパニック小説の傑作。





ついでに、これも。これは「ノンフィクション」。

「ホット・ゾーン」リチャード・プレストン著
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脳、内臓を溶かし、目、鼻、口など、体中の穴という穴から血の滴が滲み出る奇病発生。

アメリカの首都ワシントン近郊の町、レストンのモンキー・ハウスに突如出現した、恐怖の殺人ウイルス「エボラ」。

その致死率は90%。核攻撃さながらの最高度機密保持態勢のもとに展開された、「エボラ」制圧作戦の全貌を描き出した迫真のノンフィクション。

感染の恐怖に耐えながら、ウィルス制圧に命を賭ける兵士や学者の素顔に迫る!!。




さらに、さらに。

「アウトブレイク―感染」ロビン・クック著
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ロサンゼルスのクリニックで恐るべき伝染病が発生した。

頭痛、高熱、吐血、そして死に至る。

疾病管理センターから派遣された新米女医マリッサの奮闘によって、伝染病はエボラ出血熱、人間にとってもっとも危険なウイルスが原因とわかったが、過去アフリカでしか流行しなかったものがなぜ突然アメリカで発生したのかは謎だった。

時をおかず、第二、第三のエボラが他の都市に現れた。

現場へ飛んだマリッサは感染者に何か共通項がないかと調べるうち、奇妙な暗合に気づく。

エイズ時代の戦慄をこめて放つ、医学サスペンスの第一人者の最新長篇。




古典的名作として。

「ペスト」カミュ著
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アルジェリアのオラン市で、ある朝、医師のリウーは鼠の死体をいくつか発見する。

ついで原因不明の熱病者が続出、ペストの発生である。

外部と遮断された孤立状態のなかで、必死に「悪」と闘う市民たちの姿を年代記風に淡々と描くことで、人間性を蝕む「不条理」と直面した時に示される人間の諸相や、過ぎ去ったばかりの対ナチス闘争での体験を寓意的に描き込み圧倒的共感を呼んだ長編。







ちょっと毛色が違いますが、これも「感染もの」かな、ということで。
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「パラサイト・イヴ」瀬名 秀明著
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事故で亡くなった愛妻の肝細胞を密かに培養する生化学者・利明。

Eve1と名付けられたその細胞は、恐るべき未知の生命体へと変貌し、利明を求めて暴走をはじめる――。

空前絶後の着想と圧倒的迫力に満ちた描写で、読書界を席巻したバイオ・ホラー小説の傑作。

新装版刊行に際して、発表時に研究者でもあった著者から、科学者あるいは小説家を志す人達に贈る、熱いロングメッセージを収録。




ついでに、これも「感染もの」でしょう、ということで。
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「リング」著著
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同日の同時刻に苦悶と驚愕の表情を残して死亡した四人の少年少女。

雑誌記者の浅川は姪の死に不審を抱き調査を始めた。

―そしていま、浅川は一本のビデオテープを手にしている。

少年たちは、これを見た一週間後に死亡している。

浅川は、震える手でビデオをデッキに送り込む。

期待と恐怖に顔を歪めながら。画面に光が入る。

静かにビデオが始まった…。

恐怖とともに、未知なる世界へと導くホラー小説の金字塔。


う〜〜ん、これらだけで、おなかがいっぱいですね。



さて、本題の「感染症予防ワクチンの臨床試験ガイドライン」です。

このガイドラインは、いわゆる治療薬の「抗がん剤としてのワクチン」等は含みません。
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1. はじめに

ワクチンは、特定の抗原を標的として免疫を賦活化して薬効を発揮する医薬品である。

多くは感染症の発症予防を目的とするが、抗腫瘍ワクチン( 癌ワクチン)等、感染症以外の「治療用ワクチン」もある。

本ガイドラインは主に感染症の発症予防を目的とするワクチン開発に適用されるが、発現プラスミドやウイルスベクターを有効成分として含む製剤には適用されない。

「治療用ワクチン」すなわち、抗腫瘍ワクチン( 癌ワクチン)、ウイルスベクターを用いた遺伝子治療製剤、抗イディオタイプ抗体ワクチン(免疫原として使用するモノクロナール抗体を含む) 等には適用されない。

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では、ワクチンにはどんなものがあるのでしょうか?

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感染症の発症予防を目的とするワクチンは、感染性病原体に対する特異的な免疫を誘導する以下のような抗原物質からなる。

1)免疫原性を保持したままで、化学的又は物理的に不活化された微生物( 日本脳炎ワクチン等)

2)ヒトに対する病原性微生物と抗原的に類似した微生物で、それ自身はヒトに対してほとんど病原性を持たない微生物、或いは適切な免疫原性を残したまま弱毒化された微生物( 痘瘡ワクチン、BCGワクチン、麻疹ワクチン等)

3)微生物から抽出された抗原、あるいは微生物が産生するトキシンを不活化したトキソイド( 百日咳ワクチン、ジフテリアトキソイド、破傷風トキソイド、インフルエンザHA ワクチン等)

4)組換えDNA 技術によって産生された抗原 (B 型肝炎ワクチン等)あるいはこれらを凝集化、重合化した抗原や、担体と結合させた抗原も含まれる。

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なんか、懐かしいですね。

日本脳炎とかBCGとかね。


でもって、普通の薬とはなんか、違いますよね。

目的は治療ではなく、予防ですから。

何が特殊なんでしょう?
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ワクチンは、免疫を賦活化して薬効を発揮すること、主に健康な人に感染症の予防を目的として接種されるために一般の医薬品と比較して安全性のリスクに対する許容度が低い等、他の医薬品と異なっている点もある。

本ガイドラインは、ワクチンとして開発される医薬品について、有効性及び安全性を検討するために実施される臨床試験の計画、実施、評価方法等について、ワクチンにおける特殊性も考慮し、現時点における標準的方法を概説したものである。

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「安全性のリスクに対する許容度が低い」・・・・・本当かな?


●ワクチンの治験のフェーズ1
さて、ワクチンの治験のフェーズ1とはいかなるものか?
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3.1.1. 第T 相試験

第T相試験は、一般に小規模試験であり、ワクチンの安全性と免疫原性に関する予備的な探索を目的としてデザインされる。

第U相試験以降に用いる接種量や接種方法はこれらの情報に基づいて検討される。

ワクチン開発では、通常、薬物動態試験は必要とされない。

ただし、新規のアジュバント又は添加物等が含まれる場合は、その新規物質について薬物動態試験が必要になることはある。

薬力学試験は、当該ワクチンに対する免疫応答の特性を評価する免疫原性試験が該当する。

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ほっほ〜〜!

ワクチンでの治験では「薬物動態試験は必要とされない」ですね。

そりゃそうだ。

あまり意味がありませんからね。

上記に「アジュバント」という言葉がありますね。

これは・・・・

アジュバントとは広義には主剤に対する補助剤を意味するが、一般的には主剤の有効成分がもつ本来の作用を補助したり増強したり改良する目的で併用される物質をいう。

アジュバントは、抗原性補強剤とも呼ばれ、抗原と一緒に注射され、その抗原性を増強するために用いる物質である。



「薬力学試験」としては、「ワクチンに対する免疫応答の特性を評価する免疫原性試験が該当する」ですね。

免疫応答がどうなのか、ということが重要。




ワクチンならではの注意点もあります。
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弱毒生ワクチンの安全性の評価には、被験者からのワクチン株の排出、被験者に接触した者への感染の可能性、ワクチン株の遺伝的安定性、強毒株への変異の可能性等も検討項目に含むべきである。

ワクチン株の排出による被験者以外への感染の可能性も考慮した適切な施設で実施されなければならない。

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被験者に投与した弱毒生ワクチンが便等で被験者の体外に出て、他人がその病気に感染する恐れがあるので注意しましょう!

 

●ワクチンの治験のフェーズ2
さて、ワクチンのフェーズ2はどんなんでしょう?

普通なら、ここで疾患の治療となりますが、ワクチンですから・・・・・
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3.1.2. 第U 相試験

第U相試験は、免疫原性及び安全性を指標として第V相試験に使用するワクチンの接種量や基本的な接種スケジュール等を明確にすることを目的とする。

また、第U相試験は、被験者の年齢、性別、移行抗体、接種前抗体価等といった免疫反応に関連した多様な変数を評価するために実施することもある。

免疫反応への影響を評価するべき因子としては、1)ワクチンの接種量、2)ワクチンの接種間隔、3)ワクチン接種回数、4)ワクチン接種経路等がある。

免疫期間、追加免疫の必要性、そして免疫反応の定量的側面についても調査することが望ましい。

また、これらの十分な情報を得るためには複数の試験が必要なこともある。

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ワクチンのフェーズ2は「免疫原性」を指標としているのですね。


免疫原性とは抗原性,生体内抗原性ともいう.動物に投与したとき,抗体の産生をもたらす性質.

一般的に、抗原が抗体の産生や細胞性免疫を誘導する性質を免疫原性と呼びます。

「移行抗体」という言葉も上記にありますね。


移行抗体(母子免疫)は、初乳を飲むことで、母親から受け取る抗体のことです。

移行抗体(いこうこうたい、英: maternal antibody)は、母体から胎子あるいは新生子に世代間を垂直的に移行する抗体。





ワクチンですから、接種量とか、何回投与するのか、なども気になりますよね。
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新規抗原の場合は接種量および接種スケジュールの設定は重要な検討項目であり、接種対象集団での用量反応データを得るべきである。

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さて、免疫反応はどう見るのでしょうか?
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ワクチン抗原に対する免疫反応の解析も、第U相試験における重要な項目であり、注意深く評価するべきである。

特に発症予防と、免疫反応との相関が明確になっていないワクチンについては、可能なかぎり免疫学的特性を詳細に調査すべきである。

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そうか、「発症予防と、免疫反応との相関が明確になっていないワクチン」なんていうのがあるのか。。。。。どんな場合だろう?

●ワクチンの治験のフェーズ3
さて、ワクチンの治験のフェーズ3です。
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3.1.3. 第V 相試験

第V相試験は、ワクチンの有効性と安全性のデータを得るために実際の使用条件を考慮してデザインされる臨床試験であり、通常は大規模な集団において実施される。

第V相試験の臨床的有効性を確認する試験においては、発症予防効果をエンドポイントとすることが基本的に望ましく、適切な対照群を設定した無作為化二重盲検比較試験が望ましい。

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ここで、ついに「発症予防効果をエンドポイントとすること」が出てきましたね。

もちろん、発症予防が明確でない場合もあり得ます。
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疾患の発生頻度が非常に低い場合等は、発症予防効果を有効性のエンドポイントとして検討することは困難であることも多い。

このような場合には、発症予防との相関性が確立されている抗体価等の代替指標(サロゲートマーカー) を評価するような試験デザインが適切な場合もある。

代替指標の測定には、再現性が実証された標準的な検査手法であることが求 められる。

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さて、みなさんは「混合ワクチン」という言葉を聞いたことがありますか?

「ジフテリア、百日咳、破傷風の三種混合ワクチン」とか「麻疹、流行性耳下腺炎、風疹の三種ワクチン」です。

こういう混合ワクチンでは一部、問題となったことがあります。

ジフテリア・百日せき・破傷風混合ワクチン(DPTワクチン)

1975年2月1日、厚生省によりDPTワクチン接種の中止が指示された。これは、百日咳成分による脳症などの重篤な副反応発生事故の問題による。その後、1981年に改良型の沈降精製DPTワクチンが使用開始されるまで、ワクチン接種率は著しく低下し、保健所管轄ごとにDTやDPワクチンの接種を行ったり、少数ながらDTPワクチン接種を再開するなど対応が分かれた。



そこで、ガイドラインでも混合ワクチンについて触れられています。
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3.4. 混合ワクチンの臨床試験に関する特別な考察

本ガイドラインにおける混合ワクチンとは、複数の感染症に対する抗原を含むワクチン (DTaP ワクチン、麻疹・風疹混合ワクチン等)をいう。

混合ワクチンの臨床試験は、含有されるそれぞれの抗原の有効性、混合ワクチンとしての安全性を評価するために実施する。

混合ワクチンではワクチンを構成する物質同士による干渉、抑制、相互反応、相乗反応等が起こる可能性があるので、臨床試験における安全性及び有効性の評価は、混合ワクチン接種群と個々のワクチンの異なる部位への同時接種群、あるいは個々のワクチンの異なる時期の接種群で比較することも可能な限り検討する。

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なんだか、とっても難しそう・・・・



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3.4.1. 混合ワクチンの有効性

混合ワクチンの各抗原についての有効性は、原則として個々のワクチンを接種した場合の有効性と比較する。

混合ワクチン接種後のいずれかの抗原に対する抗体価が、個々のワクチンを別々の時期に接種した場合や違う部位に同時接種した場合と比べて低かった場合、混合ワクチンの使用が臨床的な発症予防効果に問題ないとする理由、その根拠となるデータを示す必要がある

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う〜〜ん、あたりまえですが、混合ワクチンでの抗体価が、個々に投与された時よりも低い場合は問題ですよね。



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3.4.2. 混合ワクチンの安全性

混合ワクチンの安全性の評価は、原則として無作為化比較対照試験で実施すべきである。

その際の対照群は、存在するならば同じ抗原成分で既に販売されているワクチンであることが望ましい。

安全性評価のため、原則、試験は盲検化して実施すべきである。

試験の盲検化が実行できない場合には、偏りを最小限にする方法を用いるべきである。

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●小児に対するワクチン接種に関する考察等
ワクチンと言えば「小児」ですよね。
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3.5. 小児を対象としたワクチンの開発と同時接種に関する考察

小児を対象としたワクチンの開発においては、定期接種の対象者を被験者としなければならない場合がある。

ワクチン同時接種時の免疫学的干渉と安全性に係る相互作用が懸念される場合、適切な対照群を設 定し比較検討する。

定期接種ワクチンとの同時接種が想定されるワクチンを開発する場合には、当該ワクチンを接種しない群を設けるなど、定期接種ワクチンの有効性(免疫原性)・安全性に当該ワクチンが及ぼす影響等、相互に及ぼす影響が明確となるよう検討する必要がある。

乳児への初回免疫に対しては、接種を繰り返した時に移行抗体による免疫干渉がおきる可能性等も留意すべきである。

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ワクチンは1回だけで良いものと、数回投与しないと抗体ができないワクチンもあります。
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3.7. ワクチン接種スケジュールに関する考察

多くのワクチンでは、基礎免疫効果を誘導するために初回免疫として一連の複数回の接種が必要な場合や、効果を長期間持続させるために追加接種が必要な場合がある。

従って適切な接種スケジュールを設定するために、接種回数や接種時期と発症予防効果、免疫原性、あるいは安全性に関するデータをとる必要がある。

また、可能ならば免疫記憶とブースター効果も検討すべきである。

初回免疫によって免疫記憶を賦与されたか否かの検討については、例えば、初回免疫後、少なくとも6〜 18 ヵ月の期間をおいて追加免疫を行って有効性、免疫原性、安全性を検討する等の方法が考えられる。

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でもって、ワクチンの「有効性」の評価です。
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4.3. 有効性の評価

ワクチンの有効性は、原則として発症予防効果を主要評価項目として評価する。

発症予防効果を臨床的評価項目として用いた試験は、自然発生的な感染が一定程度あり、かつ比較試験が実施可能な地域で行わなければならない。

一方、発症予防効果と、ワクチンによって誘導される抗体(価)やその他の特定の生物学的マーカー等との間に関連性が確立されている場合、これらを代替の主要評価項目とすることができる。

代替指標を用いる場合には、その妥当性を科学的に考察しなければならない。

免疫原性のデータは原則として全相の試験において評価する。

また、複数の株又は血清型からなる多価ワクチンの場合、臨床効果の主要評価項目は、ワクチンに含まれる種々の株若しくは血清型に起因する感染症発症の予防又は症状の緩和であることが望ましい。臨床試験は、対象地域において流行している株や血清型ごとの解析に関しても一定の評価ができるように計画することが望ましい。

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ワクチンの治験ならの検討項目に「発症予防と免疫学的相関に関する考察」があります。
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既に市販されているワクチンによって広く免疫されて罹患率が非常に減少しているような場合、ワクチンの有効性が罹患率の変化等では評価できないような状況もある。

このような場合には免疫学的エンドポイントに基づいた評価を行う。既存のいくつかのワクチンにおいては、発症予防と相関するワクチンに誘導される免疫反応が同定されており、これらの免疫反応を用いてワクチンの有効性を検証することは一般に認められている。

しかし、既存のワクチンでも、発症予防と科学的に相関性が認められた免疫反応が同定されていないものや新規の抗原を用いたワクチンでは、有効性を検証する臨床試験中に、可能な限り発症予防に相関する免疫反応の特定を試みるべきである。そのため、発症予防と相関する免疫反応を確認できるような臨床試験をデザインすべきである。

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さて、「感染症予防ワクチンの臨床試験ガイドライン」について見てきました。

ワクチンって、特殊ですよね。

日本で接種(投与)が義務付けられている薬って、ワクチンぐらいじゃないですか。

また、安全性も一般の薬と同様に問題となることがあります。

たとえば、「子宮頸がんワクチン 副作用」や「子宮頸がんワクチン 副反応」で検索してみてください。



それと、日本ではワクチンを製造している製薬会社もごく限られています。


新型強毒性のインフルエンザなどが発生した場合、パンデミックを起こさないためにはワクチンは必須ですが、ワクチンの製造に時間がかかります。

ただ、最近は遺伝子組換え体のワクチンも開発されつつあり、製造までの時間がかからないようになりそうです。


ところで、僕は一体、どれだけのワクチンを打ったのだろう?

あなたは覚えていますか?
 

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【感染症予防ワクチンの臨床試験ガイドライン】

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