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 交渉力をつける
 
 ●交渉力をつける

今週はビジネスの基本、『交渉力』をつける、をテーマに話を進めます。

社外での仕事(モニター、CRCの皆さんは特に)ではもちろんのこと、社内での業務でも『交渉力』は絶対に必要です。

日本人って、交渉力が弱いですからね(と僕は思います)。


さて、と。

1.交渉は「勝つか負けるか」のサバイバルゲームではない

●私たちの日常は「交渉」の連続です。

治験責任医師に「来月までにCRFを全て作成してもらう」という交渉をすることがある。

また、治験事務局に「なんとか今月のIRBで治験を審議してもらいたい」と交渉することもある。

社内においても上司や先輩に「SDVマニュアルの原案を今週中にレビューしてください」と交渉したいことがある。

このように、私たちの日常は「交渉」の連続と言っても過言ではない。



交渉は緊張を強いられる対決の場であるだけではなく、嫌な選択を迫られる場でもある。

相手との関係を壊したくないと思って「ソフト」な態度で臨めば、相手にいいように押し切られてしまうし、こちらの言い分を通すために「ハード」な態度に出れば、相手との間に溝ができ、場合によっては関係そのものが破たんしてしまうこともある。

このジレンマから解放されるためには、交渉を、「相手と共同」で問題を解決する方向にもっていけばいい。

人には「ソフト」に接し、問題には「ハード」に当たるのだ。

相手への攻撃のエネルギーを問題解決に傾けて、力を合わせる。

交渉相手と協力して問題を解決するためのキーポイントは、立場にこだわらず、お互いの利益の問題に焦点を絞ることだ。

まず、それぞれが目指すポイント、譲歩できない点、懸案、要望などを洗い出してお互いの利益を明らかにし、その上で、これらの利益を満たす選択肢を探っていくのである。

ポイント!

●交渉では、相手と共同で問題を解決する方向にもっていく作業のこと。
 ●交渉力をつける

今週はビジネスの基本、『交渉力』をつける、をテーマに話を進めます。

2.交渉に立ちはだかる障害と解決策


●障害1:交渉における対応

第一の障害は、あなた自身の問題である。

人間は感情に支配されている動物で、話が思い通りに進まなかったり、相手に拒絶されると、どうしてもやり返したくなる。

こうなると、あとは不毛な議論ばかりで、互いに不満を抱えたまま物別れということになる。

⇒●解決策のステップ1

相手の態度に対するあなた自身の態度をコントロールすること。

交渉を協調的に進めるためには、まず、自分が冷静になって、常に交渉の目標を見失わないようにする。

状況を把握するためには、バルコニーに立って全てを眺め渡すような気持ちで交渉にあたるとよい。




●障害2:相手側のネガティブな感情

第二の障害は、相手側のネガティブな感情だ。

相手の攻撃的な態度の裏には、怒りや敵意が隠れている場合があるし、かたくなな態度の裏には、恐れや不信感が潜んでいることもある。

自分の言い分だけが正しいと思い込んでこちらの話を聞こうとしない人もいる。

⇒●解決策のステップ2

相手にも冷静になってもらう必要がある。

問題解決のための協力を取り付けたいのであれば、まず、協調の妨げとなる相手の感情を排除しなくてはならない。

そのために何より大切なことは、相手の予想どおりの反応を示さないことだ。

こちらが反論してくるだろうと相手が考えている時は、聞き役に回って相手の話に耳を傾ける。

相手の言い分や気持ちに同情し、「おっしゃるとおりです」と相手に理解を示すのだ。

同じ視点から問題に取り組むためには、こちらから相手に接近しなければならない。




●障害3:要求へのこだわり

自分の条件を通すことしか頭になく、こちらの譲歩ばかり求めてくる相手は厄介だ。

こういうタイプの人は、他に交渉の仕方を知らないことが多いので、最初に覚えたオーソドックスな交渉戦術にいつまでもこだわる。

この手の相手は、他の交渉方法とは、要するに自分が譲歩することだと思い込んでいるので、戦術を変えることなど全く思いもよらないのだ。

⇒●解決策のステップ3

こういう場合は、相手に調子を合わせてしまうに限る。

相手の言い分をひとまず受け止めておいて、一緒にそれを解決していくという方向にうまく誘導する。

「なるほど。その点にこだわられる理由をもう少し詳しく教えて頂けませんか?」という具合に、相手の視点に立ってその真意に迫り、問題を親身になって考えているという印象を相手に与えること。

相手の要求をお互いに共通の問題の一部に組み入れてしまうことだ。



●障害4:妥協や協調に対する反発

お互いが納得のいくような解決策を見つけようとあなたが努力しても、相手がまったく興味を示さないこともある。

相手にとってもプラスだということが理解してもらえない場合もあるし、理解してもらえたとしても、メンツが潰れることを嫌がって譲歩を拒んでくることもあるだろう。

あなたのアイデアだからというだけで、断られるケースだって考えられる。


⇒●解決策のステップ4

相手に「交渉成功」と思わせる。

相手の言い分を共通の問題に組みこむことに成功しても、その先には、さらなる難関が控えている。

相手が合意条件に納得せず、そのメリットがきちんと理解してもらえない場合もある。

けれども、ここで無理やり相手に条件をのませようとすれば、相手はますます反発するだけだ。

中国の思想家は、相手の主張と妥協点との間に「金の橋」をかけなさい、と説いた。

この場合、あなたは、自他の利益のギャップを埋め、相手の顔を立て、合意条件が相手の目に成功と映るように話を進めていけばいい。

これが第4のステップだ。


●障害5:「交渉=勝負」という思い込み

最後の障害は、交渉を勝ち負けでとらえている相手の問題である。

このような人は、はじめから交渉というゲームに「勝つ」という目的だけのために交渉に臨んでくる。

こういう好戦的な交渉者は、目的が「合意」である話し合いなど、はじめから関わりたくないのだ。

彼らの目的はあくまでも「勝利」にある。

その基本姿勢は、「自分の言い分は自分のもの、相手の言い分は交渉可能」である。

つまり、自分の立場や要求内容はいっさい変えないが、相手にはどんどん強圧的に譲歩を迫ってくるというやり方をとる。


⇒●解決策のステップ5

「相互協力が最善の策」と理解させる。

もはや堪忍袋の緒が切れる寸前になっているかもしれないが、ここで怒りを爆発させてしまえば、議論の応酬となるだけで不毛の結果に終わる。

ここでは相手とやり合うことを避け、怒りのエネルギーを相手の説得に振り向ける。

相手を交渉のテーブルに引き戻すことに精力を傾け、交渉をまとめるためには相互協力が不可欠であり、一方的に押し切るだけでは合意は実らないということを相手に悟らせなければならない。

したがって、最後のステップは、協調の重要性を相手に悟らせることに力を注ぐ、ということになる。



以上の5つのステップの流れはたいへん重要だ。

まず、自分の感情をコントロールしなければ、相手のネガティブな感情を取り除くことはできないし、共通の問題に取り組むという状況をつくった上でなければ妥協点を見出す作業には移れない。

●交渉は相手との共同作業であると認識する

●まず、自分の感情をコントロールする!
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今週はビジネスの基本、『交渉力』をつける、をテーマに話を進めます。


3.交渉・・・成功するかしないかの80%は、事前に決まっている。


1にも2にも「準備」が大事。

お互いの満足のいく合意を得るためには、以下の5つの重要な点を通ることになる。

(1)利益

(2)選択肢

(3)基準

(4)代替手段

(5)提案



●(1)利益・・・小さな利益のために大きな利益を失ってはならない。

一般に交渉は、一方の立場が他方と対立したときに始まる。

従来の取引では、自分の立場さえわきまえておけばよかったかもしれない。

しかし、お互いに問題を解決するには、それぞれの立場の裏にある利益が焦点となる。

自分も相手も満足できる合意に達するためには、まずお互いの利益は何か、しっかりと押さえておかなければならない。



1)自分の利益を理解せよ

自分がどこへ行きたいのかわかっていなければ、目的地には行き着けないだろう。

自分の利益を理解するために、常に「何故?」を問い続けることだ。

「なぜ、自分はそれを望むのだろう?解決したい問題は何だろう?」

さして重要でない利益のために重要な利益を失うという、実によくありがちな過ちを犯さないために、自分の利益に(望むことに)順位をつけることが大切だ。


(事例)

●症例数を集めるために治験責任医師に対して行う交渉の目的は「今動かしているプロジェクトの成功」なのか、「自分のモニタリングがうまく回らなくなるから」なのか「上司に怒られないようにする」ことなのか「治験薬を1日でも早く世の中に出したい」なのか「自分のボーナスをアップするため」なのかを明確にする。




2)相手の利益を理解せよ

交渉は両側通行の道路である。

普通、相手の利益も満足させなければ、自分の利益を満たすことはできない。

だからこそ、自分の利益同様、相手の利益を理解することが重要となる。

交渉において最も重要な技術は、相手の立場に立ってみることだ。

相手の考えを変えようとするなら、相手がどう考えているのかを理解するところから始めなければならない。

では、どうしたら、交渉相手の利益を知ることができるのか?

まず、相手の立場に立って、その人が一番重視していることは何かを想像してみるといい。

時間があれば、友人や同僚や顧客から、その交渉相手を知っている人たちと話してみてもいいだろう。

相手のことを知れば知るほど、相手をうまく動かすチャンスも増大する。


(事例)

CRFを作成しない治験分担医師の理由は何だろう?

忙しいからなのか、ほかの治験を実施しているからなのか、それとも自分を重視していないせいなのか・・・・・・etc



●(2)選択肢・・・できるだけ多く考えよ

お互いの利益を見極めるのは、相手を満足させるようなクリエイティブな選択肢を作り出せるかどうかを考えるためである。

選択肢とは、これから達するべき合意か、合意の一部だ。

どちらにもメリットのある選択肢を考案できれば、それは交渉にあたる者にとって最大の機会となる。

交渉のうまい人は、決まった量のパイをただ分配しようとはしない。

まず、そのパイをどうしたら膨らませられるかを考えるのだ。


あなたの立場を守ることはできなくても、利益は満たせるというのはよくあることだ。

手間がかかった仕事で、30%の報酬アップは無理でも、その仕事で顧客を満足させながら自分も得をする選択肢を思いつくかもしれない。

手間がかかる分を、顧客のスタッフに手伝ってもらえないか?

その仕事を次年度にずれこませて、翌年の予算から追加分の報酬を得られないか?

手間をかけた分だけ相手は実質的に予算の節約になるのだから、その一部を仕事の支払いにあてるよう説得できないか? ・・・・・・など等。



交渉において犯しやすい過ちに、1つの解決法、元来の自分の立場に固執してしまうということがある。

こだわりを捨てて、いろいろな選択肢を考えてみれば、新しい可能性が生まれてくるし、その中に、自分の利益に合致し、なおかつ相手の利益も満足させるものがあるかもしれない。

クリエイティブな選択肢を生み出そうとするとき、最大の障害となるのは、「うまくいくはずがない」という自分の考えだ。

まず、ブレーン・ストーミングでできるだけ選択肢を考えてから、ひとつ一つを再検討し、どれだけ自分の、そして相手の利益を満たすかを、評価してやればいい。

  
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今週はビジネスの基本、『交渉力』をつける、をテーマに話を進めます。


●3.基準・・・「公正な解決」を生むための武装方法

パイを膨らませることができたら、次にそれをどう分けるかを考えなければならない。

利益が対立する相手と共同して1つの選択肢を選ぶには、どうしたらいいのだろう?

あなたの顧客は報酬を少なくすませたいが、あなたは当然多く払ってほしい。

この事態をどう解決したらいいのか?

おそらく最もよく見られる光景は、意地の張り合いだろう。

お互いに自分の立場を主張し、相手を押さえつけようとする。

問題は、押さえつけられて嬉しい人などいないということだ。


交渉のうまい人は、選択肢を選びとる過程で、お互いにとって満足のいく公正な解決策を探すようにして、意地の張り合いを避ける。

ここで大きな役割を果たすのが、どちら側の意志からも独立した「公正な基準」だ。

独立した基準は、何が公正な解決なのかを判断するための物差しとなる。

共通の基準とは、たとえば市場価値や平等な待遇、法律、あるいは単に、問題が以前、どう解決されたかという前例などである。

基準のいいところは、一方的にどちらが押さえ込まれるのではなく、お互いに公正と思われることに従えばすむということだ。

あなたの顧客も、ただそれがあなたの言い値だから払うというよりは、市場の相場というような基準のほうが受け入れやすい。

だから、あなたも、交渉でどんな基準を持ち出せるか、前もって考えることだ。

市場の相場や科学的数値、コスト、技術的な基準、前例について、下調べすること。

説得するためには武装が必要なのだ。




●(4)代替手段・・・交渉による合意にかわる最善の代替手段

ほとんどの交渉では、うまくいかなかったときに、初めて代替手段を検討する。

これは古典的な誤りである。

自分がとれる代替手段を知らなければ、自分の利益を満たせるかどうかがわからないこともあるのだから。


交渉の目的は、必ずしも合意に達することではない。

合意はあくまでも最終目的に至るための手段にすぎない。

その最終目的とは、あなたの利益を(望みを)満たすことである。



交渉の目的は、あなたの利益(望み)を満たすために、合意を得た方がいいか、それとも「交渉による合意にかわる最善の代替手段」をとったほうがいいか検討すること、つまり「最良の選択」をすることなのだ。

あなたの「最良の選択」は、他人の合意を得なくとも自分の利益を満たすことのできる、最善のやり方である。

もし、あなたがセールスマンと交渉しているなら、あなたの「最良の選択」は店の支配人と話すことかもしれないし、それでうまくいかなければ、別の店へ行くことかもしれない。

モニターがCRFの作成を治験分担医師と交渉している場合、「最良の選択」は治験責任医師と話すことかもしれない。

あるいはCRCと交渉することが「最善の選択」かもしれない。


上司が部下と仕事の交渉をしている場合、「最良の選択」は「できる部下」に仕事を回すことかもしれないし、指示に従わない部下を首にすることかもしれない。

ふつう、代替手段に訴えると、あなたもあなたの対人関係もそれなりの犠牲を払わなければならない。

だからこそ、あなたは、より良い解決を求めてわざわざ交渉するわけだ。


「最良の選択」は、交渉力の決め手である。

あなたの強さは、相手よりも身体が大きいとか、力があるとか、年長だとか、金持ちだとかというよりも、どれだけ良い「最良の選択」をもっているかで決まる。

実行可能な代替手段を持っていれば、あなたは交渉で優位に立つことができる。

良い「最良の選択」をもっていれば、それだけ強いということなのだ。

1)あなたの「最良の選択」を認識せよ

あなたの「最良の選択」は、到達可能な合意を評価するための物差しとなる。

あなたの「最良の選択」を認識するには、次の3種類の代替手段を考えなければならない。

(1)あなたの利益追求のために、自分だけで何ができるかを考える。

一番てっとり早い代替手段は、たとえばあなたが買い手なら別の売り手を、売り手なら別の買い手を探すことだ。

(2)相手方にあなたの利益を尊重してもらうために、直接、どんな働きかけができるかを考える。たとえば「ストライキ」や「宣戦布告」など。

(3)あなたの利益のために、どうやって第三者を引きいれたらいいかを考える。

「第三者」による代替手段とは、たとえば「調停」や「裁判」に頼ることだ。



2)あなたの「最良の選択」をパワーアップせよ

優れた「最良の選択」はふつう、もとから存在しているのではない。

たいてい自分で育ててやらなくてはならないものだ。

もし、あなたの「最良の選択」があまり強くないようなら、それを強化する手立てを講じなければならない。

たとえば、あなたの「最良の選択」を、同じ社内で別の仕事を見つけることだと考えて、そこで満足してはならない。

労をいとわず、具体的に仕事の申し出を得るところまでいく必要がある。

あなたが家を売ろうとしているなら、一人の買い手が熱意を見せているからといって、そこで家を公開するのをやめてはならない。

買い手の候補を探し続ける必要がある。

治験に熱心な治験責任医師がひとりいるからといって、そこで満足してはいけない。

さらにもっと治験に熱心な治験責任医師を探しておくべきだ。



3)交渉すべきかどうかを判断せよ

さて、あなたの「最良の選択」がはっきりしたなら、こう自問してみなくてはいけない。


「そもそも交渉する必要があるのか?」


4)相手の「最良の選択」を認識せよ

相手方の「最良の選択」を知ることは、あなた自身の「最良の選択」を知ることと同じように、とても重要である。

それによって、あなたのチャレンジすべきことがわかるのだ。

つまり、あなたは、相手の持っている最善の代替手段の上をいく合意を考えればいいのだ。

それによって、相手の代替手段を過小評価したり過大評価したりという二重の過ちが避けられる。

あなたの「最良の選択」は弱いかもしれないが、相手の「最良の選択」も弱いかもしれない。

セールスマンの多くは、放っておけば顧客はすぐに競争相手に横取りされてしまうものだと考えている。

しかし、それは、顧客にとっても取引き先を変えることにはコストがかかるということを見落としている。

顧客の「最良の選択」を客観的にとらえれば、困難な交渉にも、もっと自信をもって臨めるようになるだろう。

相手の「最良の選択」が、強制的な手段に出ることであれば、あなたの側も前もって対抗措置を用意すればいい。

どうしたら相手方の強制手段によって打撃を受けずにすむかを考えることだ。
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●(5)提案・・・「相手の満足度」を忘れてはならない

利益や選択肢について検討することは、問題を前向きに解決していくことにつながる。

また、公正な基準と代替案について検討することは、適切な選択をし、それを合意しうる提案へと整えていくことに役立つ。

内容のしっかりした提案を作り上げるためには、あなたの望みを確実にいい形で満たしてくれる選択をするべきだ。

その選択は、相手側の望みも、相手側の「最良の選択」よりもいい形で満たすべきであり、しかも公正な基準について基づいているべきだ。


提案と単なる選択の違いは、提案は責任を伴うということだ。

つまり、提案とは、あなたたが「イエス」という用意のある、合意可能な案なのだ。

これまで見てきた判断基準をすべて満たす合意可能な案は、もちろん1つだけではない。

実際、次の3つの提案を頭に入れておくことはとても有益である。

(1)目標を高く掲げた提案

我々はたいてい「失敗」を避けようと、控えめな目標を設定しがちだ。

しかも残念なことに、目標が低いと、目標がかなっただけで満足しがちだ。

あなたが求めもしないことを、相手側がわざわざかなえてくれるはずがない。

別に驚くことでもないが、現実性のある高い目標から交渉を始める人は、最終的にはかなりいい合意を得ることが多い。

「現実性がある」とは、公正な基準から、相手側の「最良の選択」までを念頭においていることだ。

だから、まず、こう自問してみるといいだろう。

「自分はどんな合意を一番望んでいるのか? 自分の望みを完璧に満足させ、同時に相手側の望みも十分に満足させて、少なくとも合意の見込みのある提案とは何か?」


(2)次善策の提案

望んだことがすべてうまくいくとは限らない。

だから、もう一度自問してみたほうがいい。

「完璧からはほど遠くても、自分の基本的な望みをまず満たし、自分がほぼ納得できるのはどんな合意か?」



(3)これ以上は譲れない最低ラインの提案

3番目の提案は、あなたの「最良の選択」を見極め、それに直接基づいて作られるべきである。

「どんな合意なら、“最良の選択”より、わずかでもいい形で自分の望みを満たしてくれるだろうか?どんな合意なら、かろうじて我慢できるだろうか?」

もし、最終的に「最良の選択」と同じくらいの合意しか得られないのなら、交渉のテーブルを離れ、代替案に頼ることを考えるべきだ。

この3番目の提案は、罠や警報に連動する仕掛け線のような役割を果たす。

「最良の選択」に劣る合意を受け入れてしまう危険があることをあなたに思いださせるのだ。

あなたはこれで、交渉開始時の提案、次善の提案、最低ラインの提案を用意した。

こうした提案は、硬直した見解と考えずに、あなたの望みを満足させるであろう、いろいろな具体的なことと考えるべきだ。

相手側があなたの提案に賛成するかどうかは、はっきりとはわからない。

それに、あなたも交渉の過程で何かを学び、さらにいい形であなたの望みを、そして相手側の望みも満たしてくれる解決策を思いつくかもしれないからだ。




■■■■■ ここまでのまとめ ■■■■■

●交渉は「勝つか負けるか」のサバイバルゲームではない

●交渉に立ちはだかる障害と解決策を理解する

●交渉の前の事前準備を十分に行う


お互いの満足のいく合意を得るためには、以下の5つの重要な点を通ることになる。

(1)利益

(2)選択肢

(3)基準

(4)代替手段

(5)提案



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