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 「GCPガイダンス」と「治験119」の合体:GCPの注意事項、GCPのグレーゾーン(6)
(被験者に対する補償措置)

第14条 治験の依頼をしようとする者は、あらかじめ、治験に係る被験者に生じた健康被害(受託者の業務により生じたものを含む。)の補償のために、保険その他の必要な措置を講じておかなければならない。
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1 治験の依頼をしようとする者は、治験に関連して被験者に生じた健康被害(治験に係る業務の全部又は一部を委託した場合における当該委託業務により生じた健康被害を含む。)の治療に要する費用その他の損失を補償するための手順を定めるとともに、その履行を確保するために、保険その他の必要な措置を講じておくこと。

2 本条は上記1を受けたものであり、( )書きの「受託者」は第12条の受託者、いわゆる開発業務受託機関を指す。
注1)治験に関連して被験者に健康被害が生じた場合には、過失によるものであるか否かを問わず、被験者の損失を適切に補償すること。その際、因果関係の証明等について被験者に負担を課すことがないようにすること(第1条の解説参照)。

注2)開発業務受託機関は、治験依頼者とともに、当該受託業務により生じた健康被害の治療に要する費用その他の損失を補償するための手順を定め、当該手順書に従って健康被害の補償に関する業務を実施すること(第12条参照)。
(治験国内管理人)
第15条 本邦内に住所を有しない治験の依頼をしようとする者は、治験薬による保健衛生上の危害の発生又は拡大の防止に必要な措置を採らせるため、治験の依頼をしようとする者に代わって治験の依頼を行うことができる者を、本邦内に住所を有する者(外国法人で本邦内に事務所を有するものの当該事務所の代表者を含む。)のうちから選任し、この者(以下「治験国内管理人」という。)に治験の依頼に係る手続を行わせなければならない。
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1 本邦内に住所を有しない治験の依頼をしようとする者に選任された治験国内管理人は、治験の依頼の基準に従い、本邦内における治験の依頼に係る一切の手続を行うとともに、厚生労働大臣に治験の計画の届出等を行うこと。
質問番号:2008-50 治験国内管理人による治験依頼の手続き(その1)

国際共同治験を受託する予定です。その際、治験国内管理人(CRO)との2者契約で良いでしょうか。
また、治験依頼書等の記載は治験国内管理人の名前で問題無いでしょうか。
国内の治験届けは国内管理人(CRO)が行うので、問題無いと聞きましたが、初めてなので、心配です。
何か、注意することなど有りますか。


製薬協見解

治験実施計画書に記載すべき事項としまして、GCP第7条第1項第1号には、「治験の依頼をしようとする者の氏名(法人にあっては、その名称。(途中省略))及び住所(法人にあっては、その主たる事務所の所在地。(途中省略))(当該者が本邦内に住所を有しない場合にあっては、その氏名及び住所地の国名並びに第15条に規定する治験国内管理人の氏名及び住所。第13条第1項第2号において同じ。)」の旨が規定されています。

このうち治験国内管理人に係ります「第13条第1第2号において同じ。」とは、治験契約書に記載すべき事項のうちの「治験の依頼をしようとする者の氏名及び住所」を指しております。
したがって、治験契約書には、治験依頼者及び国内管理人を明記する必要があります。
また、GCP第15条(下記参照)より、治験国内管理人と実施医療機関との二者による契約で差し支えないと考えられます。

また、GCP第16条第1項第2号より治験薬の容器又は被包等には、治験依頼者の氏名及び住所(当該者が本邦内に住所を有しない場合にあっては、その氏名及び住所地の国名並びに治験国内管理人の氏名及び住所)を記載する必要がありますが、治験依頼書への記載方法についてはGCPでは規定されておりません。

実施医療機関の手順に従っていただければ問題ないと考えられますが、治験を依頼しようとする者(治験依頼者)と治験国内管理人を明確に区別できるような記載方法が望ましいと考えられます。

治験届につきましてはGCP第15条ガイダンス1で治験国内管理人が治験の計画の届出等を行うこととされ、治験届関連通知に従い作成、届出ることになります。
この際、治験国内管理人に係る事項としましては、「治験届出者に関する情報」としまして治験届出者の種別(治験依頼者、治験国内管理人の別)を届出ることになります。
3.第三章 治験の管理に関する基準
3−1 第一節 治験依頼者による治験の管理に関する基準
 (治験薬の管理)

第16条 治験依頼者は、治験薬の容器又は被包に次に掲げる事項を邦文で記載しなければならない。

1)治験用である旨

2)治験依頼者の氏名及び住所(当該者が本邦内に住所を有しない場合にあっては、その氏名及び住所地の国名並びに治験国内管理人の氏名及び住所)

3)化学名又は識別記号

4)製造番号又は製造記号

5)貯蔵方法、有効期間等を定める必要があるものについては、その内容

2 治験依頼者は、治験薬に添付する文書、その治験薬又はその容器若しくは被包(内袋を含む。)には、次に掲げる事項を記載してはならない。

1)予定される販売名

2)予定される効能又は効果

3)予定される用法又は用量

3 治験依頼者は、被験者、治験責任医師等及び治験協力者が被験薬及び対照薬の識別をできない状態で実施医療機関に交付した治験薬について、緊急時に、治験責任医師等が被験薬及び対照薬の識別を直ちにできるよう必要な措置を講じておかなければならない。

4 治験依頼者は、輸送及び保存中の汚染や劣化を防止するため治験薬を包装して実施医療機関に交付しなければならない。

5 治験依頼者は、治験薬に関する次に掲げる記録を作成しなければならない。

1)治験薬の製造年月日、製造方法、製造数量等の製造に関する記録及び治験薬の安定性等の品質に関する試験の記録

2)実施医療機関ごとの治験薬の交付又は回収の数量及び年月日の記録

3)治験薬の処分の記録

6 治験依頼者は、治験の契約の締結後遅滞なく、実施医療機関における治験薬の管理に関する手順書を作成し、これを実施医療機関に交付しなければならない。

7 治験依頼者は、必要に応じ、治験薬の溶解方法その他の取扱方法を説明した文書を作成し、これを治験責任医師等、治験協力者及び第39条に規定する治験薬管理者に交付しなければならない。

8 第6項に規定する手順書の交付については、第10条第2項から第6項までの規定を準用する。この場合において、これらの規定中「治験の依頼をしようとする者」とあるのは、「治験依頼者」と読み替えるものとする。

9 第7項に規定する文書の交付については、第10条第2項から第6項までの規定を準用する。この場合において、これらの規定中「治験の依頼をしようとする者」とあるのは「治験依頼者」と、「実施医療機関の長」とあるのは「治験責任医師等、治験協力者及び第39条に規定する治験薬管理者」と読み替えるものとする。
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〈第1項〉

1 治験依頼者は、治験薬の容器又は被包に第16条第1項各号に掲げる事項を邦文で記載することとしているが、国際共同治験(新規の医薬品の世界規模での開発及び承認を目指して企画される治験であって、一つの治験に複数の国や地域の医療機関が参加し、共通の治験実施計画書に基づき、同時並行的に進行するもの)において複数の国や地域に英文で記載された共通の治験薬を用いる場合又は欧米等で承認のある未承認薬を用いたブリッジング試験等の場合であって、治験実施計画書にその旨を記載し、治験審査委員会の承認を得たものについては、英文で記載することで差し支えない。

なお、英文で記載する場合には、別途、邦文で記載された治験薬の溶解方法その他の取扱方法を説明した文書(第16条第1項各号に掲げる事項を含むもの)を作成し、治験薬管理者に交付するなど治験薬を適切に管理するための必要な措置を講じておくこと。
また、国際共同治験又は欧米等で承認のある未承認薬を治験薬として用いる試験等の場合であって、英文等で販売名等が記載されているものを治験薬として用いるときは、実施医療機関において適切に管理がなされるための必要な措置を講じておくこと。

〈第3項〉

は、輸送及び保存中に汚染や許容範囲外の劣化を防止し、使用の便宜を考慮したものであること。

〈第5項〉

1 治験依頼者は、治験薬の製造に関する記録、安定性等の品質に関する試験の記録、治験薬の交付・回収の記録及び治験薬の処分の記録を作成すること。治験薬の製造に関する記録には、治験薬GMP通知に定められた記録を含むこと。

2 治験依頼者は、治験薬が使用期間中安定であることを保証すること。

3 治験依頼者は、必要な場合には、治験薬がその規格を満たしていることを再確認できるだけの十分な量のロットサンプルを確保し、経時的にロットサンプルを分析した記録を作成、保存すること。安定性が確保されている間は、ロットサンプルを治験データの解析が終わるまでの期間保存すること。

4 治験依頼者は、治験薬の適正な取扱いを保証するため、次の事項を行うこと。

(1)適切な時期に治験薬が実施医療機関に交付されるようにすること。

(2)治験薬の出荷、受領、処分、返却及び廃棄の記録を保存すること。

(3)治験薬の回収及びその記録作成のためのシステムを保持すること(例:欠陥品の回収、治験終了後の回収、使用期限切れの治験薬の回収)。

(4)未使用の治験薬の処分及びその記録作成のためのシステムを保持すること。

〈第6項〉

1 治験依頼者は、実施医療機関における治験薬の取扱い及び保管、管理並びにそれらの記録に際して従うべき指示を記載した手順書を定め、これを実施医療機関に交付すること。交付先は、実施医療機関の指示に従うことで差し支えない。当該手順書には、治験薬の受領、取扱い、保管、管理、処方並びに未使用治験薬の被験者からの返却及び治験依頼者への返却又はその他の処分が、適切で確実に行われるために必要な指示を記載すること。

〈第7項〉
1 治験依頼者は、治験薬の許容される保存条件、使用期限、溶解液及び溶解方法並びに注入器具等取扱い方法を説明した文書を作成し、これを治験責任医師、治験分担医師、治験協力者、治験薬管理者等(モニターを含む。)に交付すること。
質問番号:2009-01 実施医療機関間の治験薬の移送

【背景】

国際共同治験では、治験薬を確実に供給するための例外的な措置として、治験薬を交付した治験実施医療機関から別の実施医療機関へ治験薬を移送する手順が作成されています。
その際には、「実施医療機関での治験薬の履歴を評価して、移送する治験薬の適切性を確認する。
これには、モニタリング報告書や移送元の実施医療機関での保管状態の記録の見直し、並びに治験薬の物理的完全性の確認が含まれる。」と、治験薬が適切に保管されていたことが条件になっています。

【質問】

治験薬の適切性が確認できれば、別の実施医療機関で使用することは問題ないと考えますが、その際、治験依頼者が一旦治験薬を回収してから別の実施医療機関に交付せずに、実施医療機関から別の実施医療機関に移送することにGCP上何か問題はありますでしょうか?
モニターが治験薬を回収して、その足で別の実施医療機関に交付する、治験薬の運搬を外注するなど、移送の方法が色々と考えられます。ご教示いただければ幸いです。


製薬協見解

GCP第16条第4項に「治験依頼者は、輸送及び保存中の汚染や劣化を防止するため治験薬を包装して実施医療機関に交付しなければならない。」と規定されています。
また、GCP第17条では「治験依頼者は、治験薬の品質の確保のために必要な構造設備を備え、かつ、適切な製造管理及び品質管理の方法が採られている製造所において製造された治験薬を、治験依頼者の責任のもと実施医療機関に交付しなければならない。」とも規定されています。

したがって、治験依頼者は、製造所で製造され、適切に品質管理された治験薬を実施医療機関に交付することが基本ですので、実施医療機関に一度交付された治験薬を別の実施医療機関に移送するという例外的な措置の場合であっても、その移送にあたっては治験依頼者が責任を持たなくてはなりません。

あくまで治験依頼者の手順書の規定内容によりますが、治験依頼者側の適格な者により「実施医療機関での治験薬の履歴の評価」(移送する治験薬の適切性の確認)を、当該治験薬を保管している実施医療機関で行うことができるのであれば、当該実施医療機関から別の実施医療機関へ当該治験薬を移送することは可能と思われます。

平成20年4月のGCP省令の改正によって、必ずしも治験依頼者(モニター)が直接持参する必要は無くなりましたが、その場合には品質管理、運搬及び交付を確実に行うための手順書の作成や当該運搬業者等と契約を締結するなど必要な措置を講じておく必要があります(GCP第17条ガイダンス5)。

なお、「実施医療機関での治験薬の履歴の評価」については、治験薬の特性に応じて治験依頼者が判断すべき事項ですが、実施医療機関と協力し、十分な根拠を残すべきと思われます。
 
 (治験薬の交付)

第17条 治験依頼者は、治験薬の品質の確保のために必要な構造設備を備え、かつ、適切な製造管理及び品質管理の方法が採られている製造所において製造された治験薬を、治験依頼者の責任のもと実施医療機関に交付しなければならない。
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1 「治験薬の品質の確保のために必要な構造設備を備え、かつ、適切な製造管理及び品質管理の方法が採られている製造所」とは、治験薬GMP通知に定められた内容に適合する製造所をいう。

2 治験依頼者は、実施医療機関に対し治験薬を交付する責任を有する。

3 治験依頼者は、治験薬(実対照薬及びプラセボを含む。)が治験薬GMP通知に従って製造され、該当する場合には、盲検性が維持されるような方法でコード化され、表示されていることを保証すること。

4 治験依頼者は、治験薬の品質管理、運搬及び交付を確実に行うための必要な手順を定めておくこと。

5 治験依頼者は、運搬業者等を用いて実施医療機関に治験薬を交付する場合には、治験薬の品質管理、運搬及び交付を確実に行うために、当該運搬業者等と契約を締結するなど必要な措置を講じておくこと。
質問番号:2008-43 治験薬交付におけるCROによる運送業者の利用

治験依頼者からCROが治験薬の保管管理及び実施医療機関の発送を委託された場合、CROが実施医療機関の発送を運送業者に委託し、CROと運送業者と2者契約してよいと思われますか?


製薬協見解

GCP第17条ガイダンス5には「治験依頼者は、運搬業者等を用いて実施医療機関に治験薬を交付する場合には、治験薬の品質管理、運搬及び交付を確実に行うために、当該運搬業者等と契約を締結するなど必要な措置を講じておくこと。」とあります。
したがって、治験依頼者とCROとの委受託契約において、CROが受託した業務を運搬業者に再委託することの合意が得られており、CROと運搬業者との委受託契約及び業務手順書等により治験依頼者がCROに委託した業務が確実に実施されることを治験依頼者が確認していれば、CROと運送業者による2者契約でも差し支えないと思われます。

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