【交感神経の説明】

治験担当モニターに必要な知識
治験担当モニターのための交感神経の説明





ホームに戻る / 基礎薬理学のトップへ

交感神経系とは


交感神経系(英: Sympathetic nervous system, SNS)は、自律神経系の一つ。

「闘争と逃走の神経(英語ではFight and Flight)」などとも呼ばれるように、激しい活動を行っている時に活性化する。


末梢の交感神経線維は胸髄・腰髄の側角細胞に始まる。

ここから出た神経線維は交感神経幹神経節(椎傍神経節)またはさらに末梢の椎前神経節(腹腔神経節・上腸間膜神経節など)に至り、ここで次のニューロンに交代して末梢の効果器に分布している。

このように交感神経は2つの神経線維の連絡から成り立っており、神経節までの線維を節前線維といい、交代した神経節から先の線維を節後線維という。

なお、1つの節前線維に複数の節後線維が接続していることも多い。 



胸髄上部から出た交感神経線維は上に向かい頚部交感神経節(上・中・下頚神経節)でニューロンをかえ、頭頚部や上肢、心臓、肺などに分布する。

一方で、胸髄中・下部の線維は大内臓神経、小内臓神経などとして、交感神経幹を通過し、腹部の腹腔神経節などでニューロンをかえて腹部の臓器に分布する。

また、腰髄上部からの交感神経線維は腰内臓神経を伝って下腸間膜神経節に入りニューロンをかえ、腹部から骨盤部の臓器に分布している。 

交感神経には内臓に分布する線維のほかに皮膚の末梢血管や立毛筋に分布するものもあるが、これらは交感神経幹神経節でニューロンを交代する。



●伝達物質

アドレナリン、ノルアドレナリン


●受容体

α受容体(α1、α2)、β受容体(β1、β2、β3)


心臓 β1受容体

洞房結節→心拍数↑

心房→収縮、伝導速度↑

房室結節→自動能、伝導速度↑

ヒス束・プルキンエ線維→自動能、伝導速度↑

心室→収縮、伝導速度↑


細動脈 α受容体 冠動脈→収縮

皮膚・粘膜→収縮

骨格筋→収縮

β2受容体 冠動脈→拡張

骨格筋→拡張


肺 β2受容体 気管支筋→弛緩


腎臓 β受容体 傍糸球体細胞→レニン分泌↑

α受容体 尿細管→Na再吸収↑

脂肪細胞 β3受容体 脂肪分解、燃焼
アドレナリン作動薬

●アドレナリン作動薬(英語: adrenergic drug)は、アドレナリン作動性神経を刺激した時と同様の作動を示す薬物。

多くの場合は交感神経系シナプスに作動するため、これらは交感神経作動薬(英: sympathomimetic drug)とも呼ばれる。

●概要

アドレナリン作動薬としては、生体カテコールアミンと、人工的に合成されたものがあるが、これらは作動の発現方式によって分けられる。

作動の発現様式としては、

1.直接作動型
: アドレナリン受容体に直接作動するもの

2.間接作動型
: アドレナリン作動性神経のシナプス小胞に作動して神経伝達物質であるノルアドレナリンを放出させ、交感神経の作動を亢進させるもの

3.上2者の混合型

の3種類がある。

また、受容体への直接作動型については、さらに標的となる受容体に応じて細かく分類される。

現在、アドレナリン受容体としては、α1・2、β1?3の5つのサブタイプが識別されているが、これらの各サブタイプに特異的に作動するものと、非選択的に全てのサブタイプに作動するものがある。



●直接作動型

非選択的作動薬:カテコールアミン

カテコールアミン(あるいはカテコラミン)とは、受容体に直接作動する代表的な物質である。

これらは、非選択的なアドレナリン受容体作動薬として働く。

生理的に神経伝達物質として使われているものとしては、アドレナリン、ノルアドレナリン、ドーパミンがある。

また、人工的なものとしてはイソプロテレノールなどがある。



アドレナリンは、各受容体に等しく作動し、強心、昇圧、気管支拡張、散瞳、血糖上昇の各作動を発揮する。

臨床的には、心停止時に用いたり、アナフィラキシーショック・敗血症に対する血管収縮薬や、気管支喘息発作時の気管支拡張・痙攣抑制薬として用いられる。

ノルアドレナリンは、αおよびβ1受容体には作動するが、β2受容体への作動は弱い。

従って、昇圧作動が強いことから、急性低血圧やショック時の昇圧剤として、皮下注射あるいは静脈内持続投与により使用される。

ドーパミンはノルアドレナリンの前駆体であり、α、β受容体のほか、ドーパミンに特異的なD1・2受容体に対しても作動する。

D1受容体は腎臓など内蔵血管の平滑筋に分布しており、cAMP濃度を上昇させて筋を弛緩させることから、内蔵血流増加および利尿作動を持つ。

したがって、血圧上昇作動がある一方で、乏尿や脈圧・脈拍数の変化などの悪影響が出現しにくいことから他のカテコラミンよりも副作動が弱く、とくに中用量ドーパミンは昇圧剤として汎用される。



α作動薬

α1作動薬平滑筋収縮作動が強いことから、持続的血管収縮による昇圧薬、あるいは局所投与による血管収縮薬として使用される。

昇圧薬としてはフェニレフリン、血管収縮薬としてはナファゾリンなどが使用される。

α2作動薬中枢α2受容体刺激により交感神経節前線維の興奮を抑制し、また節後線維シナプス前膜からのノルアドレナリンの分泌を抑制することにより血圧を低下させることから、中枢性降圧薬として使用される。クロニジンなどがある。



β作動薬

β1作動薬心臓に主に存在し、心筋のβ1受容体に作用して収縮力を増強する。

ドブタミンなどがある。



β2作動薬

β2受容体は気管支や血管、子宮や膀胱壁において、平滑筋弛緩作用を発揮する。

このことから、β2作動薬は概して、気管支拡張薬として気管支喘息および他の慢性閉塞性肺疾患の症状緩和に使われる。

また、特にリトドリンについては、子宮弛緩薬として、切迫流産の治療に用いられる。

なお、アドレナリンのN-メチル基をN-イソプロピル基に置換した人工カテコラミンであるイソプロテレノールはβ作動薬としての性格が強く、β1・2に等しく作動し、また高濃度ではβ3受容体に作動する。




●間接作動型

間接型は、交感神経の作用を増強するものであり、アンフェタミンやドロキシドパがある。

アンフェタミンは代表的な覚醒剤の一つであり、ノルアドレナリンおよびドーパミンの放出促進およびその再取り込み・分解を阻害することで、強い交感神経興奮作用と中枢興奮作用を示す。

ドロキシドパは、生体内代謝によってノルアドレナリンに変換されることから、長時間型の昇圧剤として使用される。



●混合型

直接作動型と間接作動型の両方の機序によって作用するもので、エフェドリンなどがある。
【交感神経α受容体遮断薬】

交感神経α受容体遮断薬(こうかんしんけいあるふぁじゅようたいしゃだんやく、alpha-adrenergic blocking agent; alpha blocker)とは交感神経のアドレナリン受容体のうち、α受容体のみに遮断作用を示す薬剤のことである。

主に高血圧・前立腺肥大による排尿障害などの治療に用いられている。


●α受容体

アドレナリン受容体のうち、イソプロテレノール感受性が低いグループをα受容体と分類した。

内因性のリガンドとしてアドレナリン及びノルアドレナリンが存在する。

1型及び2型に大きく分類され、いずれもG蛋白質共役受容体である。


●α1受容体

Gq/11蛋白質結合型である。

リガンドが結合すると細胞内ホスホリパーゼCを活性化することによりイノシトール三リン酸(IP3)及びジアシルグリセロール(DG)の産生を介して細胞内カルシウムイオン濃度を上昇させる。

α1受容体への刺激は血管平滑筋の収縮を引き起こし、血圧の上昇に関与する。


●α2受容体

Gi蛋白質結合型である。

シナプス前膜に存在し、神経伝達物質の遊離を制御する自己受容体(Auto Receptor)として機能する。



●α受容体遮断薬

・α1・2受容体非選択的遮断薬

フェントラミン(Phentolamine)
トラゾリン(Tolazoline)


・非競合的α受容体非選択的遮断薬

フェノキシベンザミン(Phenoxybenzamine)
ダイベナミン(Dibenamine)


●α1受容体選択的遮断薬

プラゾシン(Prazosin)
ブナゾシン(Bunazosin)
テラゾシン(Terazosin)
ドキサゾシン(Doxazosin)
タムスロシン(Tamsulosin)
ナフトピジル(Naftopidil)


●α2受容体選択的作動薬

α-メチルドパ(α-Methyldopa)
クロニジン(Clonidine)


●α2受容体選択的遮断薬

ヨヒンビン(Yohimbine)

麦角アルカロイド
 エルゴタミン(Ergotamine)
 エルゴメトリン(Ergometrine)


●α及びβ受容体非選択的遮断薬

ラベタロール(Labetalol)
アロチノロール(Arotinolol)
アモスラロール(Amosulalol)
アロチノロール(Arotinolol)
【交感神経β受容体遮断薬】

●交感神経β受容体遮断薬(英 beta-adrenergic blocking agent; beta blocker)とは交感神経のアドレナリン受容体のうち、β受容体のみに遮断作用を示す薬剤のこと。

β遮断薬(ベータしゃだんやく)、βブロッカーなどとも呼ばれる。

臨床的には降圧薬や労作性狭心症患者の狭心症状予防、不整脈(心房細動、洞性頻脈、期外収縮時の心拍数低下)、心不全患者の心機能改善や突然死亡、心筋梗塞の心保護(予後改善)などの循環器疾患に対して用いられる。


●β受容体遮断薬の特性

β受容体遮断薬を分類するパラメータは多いが、特に重要なパラメータとしてはβ1選択性、内因性交感神経刺激作用(Intrinsic Sympathomimetic Activity,ISA)、α遮断作用の有無、効果の持続時間、脂溶性、水溶性の差などである。

β2受容体選択的遮断薬は臨床で用いられていない。

内因性交感神経刺激作用(ISA)β遮断薬の中には単に受容体を遮断するのみではなく、β受容体を刺激する作用も有するものが存在する。

これらの作用は矛盾するようであるが、ISA(+)の薬物がβ受容体を刺激するか遮断するかは状況により異なる。

つまり、内因性カテコールアミンやアドレナリンβ刺激薬の存在下においてこれらの薬物はβ遮断薬として働くが、非存在下においてはむしろ受容体を刺激する。

部分作動薬と考えると非常にわかりやすい。高齢者などにはISA活性を持つ薬物の方が負担が少なく好ましいとされているが、狭心症の患者においてはISA(+)の薬物はむしろ心臓に対する負荷を大きくするため予後改善効果が弱く望ましくない。

また、心筋梗塞患者の再発防止効果(二次予防)が乏しくガイドラインなどでは推奨されていない。



ISAの選択の意義としてはβ受容体遮断薬の副作用の軽減であるが、近年はISAを持つ薬物を避ける傾向がある。

β1選択性非選択的にβ受容体を遮断するとβ2遮断の結果、血管拡張が抑制され後負荷が増加し、また気管支喘息を誘発したり糖・脂質代謝に悪影響を及ぼす可能性がある。

β1選択性のある遮断薬でもわずかにβ2遮断効果があるため、どちらにせよ気管支喘息の患者には慎重投与となるが、気道抵抗の上昇した高齢者やCOPD患者などではβ1選択性はリスクを軽減すると考えられている。α遮断作用β遮断薬は相対的なα刺激の亢進で末梢血管抵抗を上昇させることがある、αβ遮断薬ならばそれを防ぐことができると考えられている。すなわち糖尿病などの脂質プロファイルや、末梢循環の改善には有用とのデータや考え方がある。

ただし、起立性低血圧(立ち上がった時の脳血流低下による「めまい」)が発生することがあり注意する。

効果の持続時間高血圧、狭心症、不整脈や心不全患者では長時間作用型の薬物が投与回数が少なく望ましい。

抗不整脈薬としては頓用で用いるには作用発現が早く、短期作用型のプロプラノール(インデラル)が扱いやすい。

脂溶性と水溶性脂溶性のβ遮断薬は脳に移行し中枢性の副作用(悪夢、インポテンツ、うつ病など)を起こすリスクが高いため注意が必要である。ただし、近年の研究では、β遮断薬の心保護効果(死亡抑制、心血管イベント防止)は脂溶性のβ遮断薬でないと得られないとの報告があり、欧州の心不全や心筋梗塞ガイドラインや、本邦でも最新(2011年)の心筋梗塞二次予防ガイドラインでも脂溶性β遮断薬が推奨されている。



膜安定化作用膜安定化作用(Membrane Stabilizing Activity,MSA)とは細胞内へのNa+の流入を阻害する作用のことである。

キニジン様作用及び局所麻酔作用とも呼ばれる。

膜安定化作用はβ遮断薬の抗不整脈作用に重要と考えられていたが、β遮断薬の抗不整脈作用は膜安定化作用によるものではなく、また臨床用量では膜安定化作用が期待できないことから臨床上は意味のない分類と考えられている。



●臨床適応

選択的及び非選択的なβ1受容体遮断薬の適応について下記に示した。なお、β2受容体選択的遮断薬は臨床で用いられていない。

本態性高血圧

上室性期外収縮

心室性期外収縮

頻拍性心房細動:メインテート(2013年6月適応追加)

慢性心不全(肺うっ血の無い患者):カルベジロール(2002年10月適応追加)、メインテート(2011年5月適応追加)



●副作用

全てのβ遮断薬に共通して起こるもの心機能低下、低血圧、洞機能不全、房室ブロック、消化器症状、離脱症状、離脱症候群などは起こるリスクが高い。

また冠痙縮の悪化に関しては明らかなエビデンスが存在しないため、どのβ遮断薬を用いても起こると考えた方が無難である。

冠スパズムの可能性があればCa拮抗薬を併用することが多い。離脱症候群はβ遮断薬の長期投与によって受容体のアップレギュレーションが認められ急に中止した際に著明な血圧の上昇や虚血症状、不整脈が増悪することである。

非β1選択性の場合β2遮断効果による副作用である。

気管支喘息の悪化、低血糖、閉塞性動脈硬化の増悪、末梢循環障害、トリグリセリドの上昇、HDL-Cの低下などが知られている。

気管支喘息は診断基準が存在しないために悩ましいことがある。

呼吸機能検査で改善率を調べることで気道過敏性を調べるといったことも参考になる。

高齢者は老化現象でスパイロメトリーが閉塞性パターンとなるため、喘息の診断は難しくなる。

脂溶性β遮断薬の場合悪夢、インポテンツ、うつ病など精神症状が認められることがある。

ただし、水溶性β遮断薬(テノーミン)でも発生するので注意が必要である。
●アドレナリン

アドレナリン(adrenaline、英名:アドレナリン、米名:エピネフリン、IUPAC組織名:4-[1-ヒドロキシ-2-(メチルアミノ)エチル]ベンゼン-1,2-ジオール)は、副腎髄質より分泌されるホルモンであり、また、神経節や脳神経系における神経伝達物質でもある。分子式はC9H13NO3。

ストレス反応の中心的役割を果たし、血中に放出されると心拍数や血圧を上げ、瞳孔を開きブドウ糖の血中濃度(血糖値)を上げる作用などがある。



●構造と生合成

アドレナリンはカテコールアミン(アドレナリン、ノルアドレナリンおよびドパミン)の一つである。

L-チロシンからL-ドーパを経て順にドパミン、ノルアドレナリン(ノルエピネフリン)、アドレナリン(エピネフリン)と生合成される。



●発見

アドレナリンは1895年にナポレオン・キブルスキーによって初めて発見された。

彼が動物の副腎から抽出したものには血圧を上げる効果が見られたが、これにはアドレナリンとその他のカテコールアミンも含まれていた。

彼はこれらの抽出物を"nadnerczyna"と呼んだ。

これとは独立に、ニュージャージーの研究所にいた高峰譲吉と助手の上中啓三は1900年にウシの副腎からアドレナリンを発見し、1901年に世界で初めて結晶化に成功した。

この時、実際に実験に成功したのは上中であった。

同時期、副腎から放出されている血圧を上げる物質の抽出研究は世界中で行われており、ドイツのフェルトはブタから分離した物質に「スプラレニン (suprarenin)」、アメリカ合衆国の研究者ジョン・ジェイコブ・エイベルはヒツジの副腎から分離した物質に「エピネフリン (epinephrine)」と名付けた。

アドレナリンは英語、スプラレニンはラテン語、エピネフリンはギリシア語でそれぞれ副腎を意味する語に由来する。

アドレナリンは1904年にフリードリヒ・シュトルツおよびヘンリー・デーキンらによって独立に合成された。

エピネフリンはアドレナリンとは分子式の異なる物質であったが、高峰の死後に、エイベルは高峰の研究は自分の盗作であると主張した。

これはアドレナリン発表寸前に高峰がエイベルの研究室を訪問した事実を盾に取った主張であった。

それまでの実績が主として発酵学の分野で、こうした分野での実績に乏しい高峰が、研究に大きな役割を果たした上中の功績を強調せず、自己の業績として発表したことも、本当に高峰らの業績だったのかを疑わせる一因であったと指摘する考えもある。

しかし、後年、上中の残した実験ノートより反証が示されており、またエイベルの方式では抽出できないことも判明して、高峰と上中のチームが最初のアドレナリンの発見者であったことは確定している。

なお、上中が残した実験ノートは兵庫県西宮市の名刹・教行寺に保管されている。




●エピネフリンという名称

現在ではアドレナリンもエピネフリンも同じ物質のことを指しているが、ヨーロッパでは高峰らの功績を認めて「アドレナリン」の名称が使われているのに対して、アメリカではエイベルの主張を受けて、副腎髄質ホルモンを「エピネフリン」と呼んでいる。

現在、生物学の教科書・論文では世界共通でアドレナリンと呼んでいるのに対して、医学においては世界共通でエピネフリンと呼ばれている。

「生体内で合成される生理活性物質」という捉え方と、「医薬品」という捉え方の違いからだが、日本では医薬品の正式名称を定める日本薬局方が改正され、2006年4月より、一般名がエピネフリンからアドレナリンに変更された。




●作用

交感神経が興奮した状態、すなわち「闘争か逃走か (fight-or-flight)」のホルモンと呼ばれる。

動物が敵から身を守る、あるいは獲物を捕食する必要にせまられるなどといった状態に相当するストレス応答を、全身の器官に引き起こす。

運動器官への血液供給増大を引き起こす反応 心筋収縮力の上昇

心、肝、骨格筋の血管拡張

皮膚、粘膜の血管収縮

消化管運動低下

呼吸におけるガス交換効率の上昇を引き起こす反応 気管支平滑筋弛緩

感覚器官の感度を上げる反応 瞳孔散大

痛覚の麻痺

勃起不全

興奮すると分泌されるため、例えば喧嘩になった時に分泌され、血まみれや骨折の状態になっても全く痛みを感じないケースもある。




●医薬品としてのアドレナリン

アドレナリン(商品名「スプラレニン」)のアンプル

アドレナリンは心停止時に用いたり、アナフィラキシーショックや敗血症に対する血管収縮薬や、気管支喘息発作時の気管支拡張薬として用いられる。

有害反応には、動悸、心悸亢進、不安、頭痛、振戦、高血圧などがある。

心停止の4つの病態、すなわち心室細動、無脈性心室頻拍、心静止、無脈性電気活動のいずれに対してもアドレナリンは第1選択として長く使用されてきたが、近年ではバソプレシンが救命率、生存退院率が共に上回ることが証明されバソプレシンに第1選択の座を譲りつつある。

静脈内投与の場合、初回投与量は1mgである。血中半減期は3分から5分なので、3分から5分おきに1mgを繰り返し投与する。

また局所麻酔剤に10万分の1程度添加して、麻酔時間の延長、局所麻酔剤中毒の予防、手術時出血の抑制を図ることもある。

代謝はまずモノアミン酸化酵素によって酸化(脱アミノ化)され、最終的にはバニリルマンデル酸として尿中に排泄される。

商品名として「エピスタ」「ボスミン」「エピペン」がある。



●併用禁忌
カフェイン(カフェイン飲料・製剤) - 相互に作用を増強させ、心臓に負荷をかける。

突然死の原因につながることもある。

タバコ(喫煙) - 相互に作用を増強、精神活動を賦活、錯乱を招く恐れがある。

血管拡張作用のある薬 - 血管収縮作用を減弱させ、相互に効力を弱める。

ブチロフェノン系、フェノチアジン系薬等(α遮断作用のある薬) - アドレナリンの作用を逆転させ、急激な血圧降下を起こす。



●アドレナリンと疾患

褐色細胞腫は副腎腫瘍の一つであり、多量のカテコールアミンが分泌される疾患である。










●ノルアドレナリン

ノルアドレナリン(独: noradrenalin、英: noradrenaline)は、化学式C8H11NO3のカテコールアミンにしてフェネチルアミンである。

米国ではノルエピネフリン (Norepinephrine) として知られる。

シナプス伝達の間にノルアドレナリン作動性ニューロンから放出される神経伝達物質や、副腎から血液に放出されるホルモンとして機能する。

また、ストレス・ホルモンのうちの1つであり、注意と衝動性 (impulsivity) が制御されている生物の脳の部分に影響する。

アドレナリンと共に、この化合物は闘争あるいは逃避反応を生じさせて、心拍数を直接増加させるように交感神経系を動かし、脂肪からエネルギーを放出し、筋肉の素早さを増加させる。

ストレスの多い出来事によって動かされた多数の生理学的変化は青斑核と呼ばれる脳幹の神経核の活動で一部解き放たれる。

この核は脳のほとんどのノルアドレナリン経路の起源である。

それらの神経伝達物質としてノルアドレナリンを使用するニューロンは両側性に、 他の投射中の大脳皮質への異なった経路に沿った青斑、辺縁系、および脊椎から投射する。

シナプスでは、それはアルファとベータ両方のアドレナリン受容体に影響する。


●抗うつ剤

ノルアドレナリン系における変化は憂うつに関係する。

SNRIは、脳内のシナプス後細胞で、利用可能なセロトニンとノルアドレナリンの量を増加させることによって、うつを治療する。

最近はノルアドレナリン自己受容体がドーパミンも再取り込みするかもしれないといういくつかの証拠があり、これはSNRIがドーパミン伝達をも増加させるかもしれないことを意味する。

一部の他の抗うつ薬(例えばいくつかの三環系抗うつ薬 (TCAs) )もまた、ノルアドレナリンに影響する。

いくつかの場合、他の神経伝達物質に影響しない(少なくとも直接ではない)。


●合体合成

ノルアドレナリンはアミノ酸チロシンから一連の酵素反応を経て合成される。

最初のジヒドロキシフェニルアラニン (L-DOPA) への酸化の後神経伝達物質ドーパミンへの脱炭酸が続き、ノルアドレナリンへと最終的にβ酸化する。

さらにノルアドレナリンはアドレナリンへメチル化できる。






●ドーパミン

ドーパミン(英: Dopamine)は、中枢神経系に存在する神経伝達物質で、アドレナリン、ノルアドレナリンの前駆体でもある。

運動調節、ホルモン調節、快の感情、意欲、学習などに関わる。

セロトニン、ノルアドレナリン、アドレナリン、ヒスタミン、ドーパミンを総称してモノアミン神経伝達物質と呼ぶ。

またドーパミンは、ノルアドレナリン、アドレナリンと共にカテコール基をもつためカテコールアミンとも総称される。

医学・医療分野では日本語表記をドパミンとしている。

統合失調症の陽性症状(幻覚・妄想など)は基底核や中脳辺縁系ニューロンのドーパミン過剰によって生じるという仮説がある。

この仮説に基づき薬物療法で一定の成果を収めてきているが、一方で陰性症状には効果が無く、根本的病因としては仮説の域を出ていない。

覚醒剤はドーパミン作動性に作用するため、中毒症状は統合失調症に類似する。

強迫性障害、トゥレット障害、注意欠陥多動性障害(ADHD)においてもドーパミン機能の異常が示唆されている。

一方、パーキンソン病では黒質線条体のドーパミン神経が減少し筋固縮、振戦、無動などの運動症状が起こる。

また抗精神病薬などドーパミン遮断薬の副作用としてパーキンソン症候群が起こることがある。

中脳皮質系ドーパミン神経は、とくに前頭葉に分布するものが報酬系などに関与し、意欲、動機、学習などに重要な役割を担っていると言われている。

陰性症状の強い統合失調症患者や、一部のうつ病では前頭葉を中心としてドーパミンD1の機能が低下しているという仮説がある。

下垂体漏斗系においてドーパミンはプロラクチンなどの分泌抑制因子として働く。

そのためドーパミン作動薬は高プロラクチン血症の治療薬として使用され、逆にドーパミン遮断薬は副作用として高プロラクチン血症を誘発する。




●生合成過程

ドーパミンの前駆体はL-ドーパである。

L-ドーパはフェニルアラニンやチロシンの水酸化によって作られる。

チロシン→L-ドーパ(L-ジヒドロキシフェニルアラニン)

チロシン水酸化酵素 (tyrosine hydroxylase, TH)

L-ドーパ→ドーパミン

ドーパ脱炭酸酵素 (dopa decarboxylase, DDC; 芳香族L-アミノ酸脱炭酸酵素 aromatic amino acid decarboxylase, AAAD, AADC, DDCなどと表記される)

さらに一部のニューロンにおいては、ドーパミンから、ドーパミン-β-モノオキシゲナーゼ (dopamine beta hydroxylase, DBH; あるいは dopamine beta-monooxygenase) によってノルエピネフリン(ノルアドレナリン)が合成される。




●放出・再取り込み・分解

ニューロンでは、ドーパミンは合成された後、小胞の中へ充填され(中枢神経系では小胞性モノアミン輸送体2 vesicular monoamine transporter 2 (VMAT2, SLC18A2) の働きによる)、活動電位の発生に伴って、放出される。

放出後のドーパミンは、ドーパミン輸送体 (dopamine transporter, DAT, SLC6A3) によって、ドーパミン作動性の軸索に再取り込みされる。

その後、カテコール-O-メチル基転移酵素 (catechol-O-methyl transferase, COMT) EC 2.1.1.6 およびモノアミン酸化酵素 (monoamine oxidase,MAO) EC 1.4.3.4によって、分解される。

酵素による分解を免れたドーパミンは、再び小胞へと充填されて再利用されると考えられている。

ドーパミンが関係する薬剤には以下のようなものがある。

抗精神病薬は、主にドーパミンD2受容体を遮断することで効果を発現する。

抗パーキンソン病薬のほとんどは、ドーパミンの前駆体であったりドーパミン受容体を刺激したりすることでドーパミン作動性に働くことで効果を発現する。


末梢において作用するもの

ドーパミン(イノバンR、カタボンR):急性循環不全治療薬ドーパミン作動薬

L-ドーパ(ドパストンR)、L-ドパ・カルビドパ配合剤(ネオドパストンR)、カベルゴリン(カバサールR)、ブロモクリプチン(パーロデルR)、アマンタジン(シンメトレルR)、アンフェタミン、メタンフェタミン、メチルフェニデート などドーパミン拮抗剤

抗精神病薬 、メジャートランキライザーとも呼ばれるクロルプロマジン、ハロペリドールなど。
   

ホームに戻る / 基礎薬理学のトップへ

【治験担当モニターのための不整脈の説明】

上に戻る

inserted by FC2 system