【治験を実施する上での注意点。治験を行うときの注意点。治験実施のポイント。】

治験の流れ(2)
治験責任医師等との治験に関する合意





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■2.治験実施計画書の説明〜協力者リストの入手の主な流れ
1)治験実施計画書(案)、症例報告書(案)、治験薬概要書等を治験責任医師へ提供し、協議・検討

2)治験実施計画書および症例報告書の内容に合意し、治験実施計画書を遵守した治験の実施につき合意(治験責任医師から合意文書を入手)

3)治験責任医師へ同意・説明文書の作成依頼(同意・説明文書案を提示)

4)同意及びその他の説明文書の入手

5)治験責任医師から治験分担医師・治験協力者等への情報伝達確認

6)治験分担医師となるべき者の氏名リスト(必要に応じ治験分担医師の履歴書)および治験分担医師・治験協力者のリストを入手


■■■2−1.治験実施計画書(案)、症例報告書(案)、治験薬概要書等を治験責任医師へ提供し、協議・検討

・責任医師に対し、最新の治験薬概要書、プロトコル(案)、同意・説明文書(案)、CRF(案)、その他必要な資料・情報(プロトコルの要約等)を提供する。

・責任医師に治験実施の可否について検討して頂く。

・責任医師と治験実施の倫理的および科学的妥当性について協議する。

・モニターは治験実施計画書案等の提供記録〔24.1-1〕を作成する。


●提供する資料に関して、十分に勉強しておく。

(勉強方法)

チーム内で開催される勉強会への参加や社内プロジェクト内での勉強会で内容を十分に理解するとともに、疑問点は自分で調査・勉強して完全に消化する。

・モニターは提供資料について説明を行う際、時間が短い場合を想定し、プロトコルの要約を予め準備しておく

*プロトコルで重要となる治験デザイン、選択基準、除外基準、治験スケジュール、目標症例数およびエントリー期間は、自主学習により頭に入れておく。


●治験実施の可否の検討に際して、予め責任医師が検討に要する時間、および協議に必要な時間を考慮しておく。



********治験に関するQ&A「治験に関する疑問点と答え」********

Q1:治験実施計画書案等の提供記録〔24.1-1〕 とは、どういったものでしょうか?

A1:モニタリング報告書で担保することが可能です。ただし、SOPの規定によっては別途作成する必要があります。

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********治験に関するQ&A「治験に関する疑問点と答え」********

Q2:どのような話を中心に説明するのでしょうか?説明のポイントはありますか?


A2:プロトコルに関してはA3一枚程度の要約を準備し、それを中心に治験の目的を説明します。

この中には治験薬の特徴(市販薬より優れている点)や当該治験の意義を盛り込んでおきます。

また、医師は治験薬の作用機序や副作用の内容、頻度に特に興味を持っているようです。

なお、逸脱の防止のために選択基準、除外基準、併用禁止薬・療法を重点的に説明することは必要です。

その他の説明のポイントは、治験のフェーズや治験薬の種類によって異なります。

例えば、第U相試験であれば、第T相試験の成績等の説明も必要となり、また、新規治験薬の場合、治験薬の概要を詳しく説明する必要があります。

逆にすでに市販されている薬物の適応拡大を目的とした治験や製造販売後臨床試験は、責任医師がすでに知っている情報も多く、詳細な説明は必要ないこともあります。

海外で既に販売されている場合には、海外での用量・用法、市場状況等を確認しておきます。


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■2−2.治験実施計画書及び症例報告書の内容に合意し、治験実施計画書を遵守した治験の実施につき合意
⇒ 治験責任医師から合意文書を入手


・プロトコルおよびCRFの内容を十分に説明した後、これらの内容に合意できる頂ける頂けるか確認する。

・プロトコルを遵守した治験の実施について責任医師と合意できるが得られるが得られるかを確認する(特に遵守することが困難であると予測される項目については十分に行う)。

・合意が得られた場合は、プロトコルまたはそれに代わる文書2部に責任医師と依頼者がそれぞれ記名・捺印または署名し、各自日付けを記入する(1部は責任医師保管用、1部は依頼者保管用とする)。

・合意ができない得られ得られない場合、改訂することにより合意できるが得られが得られるかを確認する。

・改訂により対応可能である場合、依頼者と協議した上で改訂を行う。
改訂しても合意が得られが得られできない場合、または改訂できない内容である場合、責任医師に十分説明の上、治験の依頼を中止する。




********治験に関するQ&A「治験に関する疑問点と答え」********

Q1:プロトコルに代わる文書とはどういったものでしょうか?


A1:合意して頂いたことを証明する文書です。
多くの場合は合意SOPに様式があります。
施設によっては、施設SOPの様式でのプロトコルに代わる文書(合意書)が必要になり、その場合、施設様式、依頼者様式の2部を用意することとなります。
なお、依頼者によっては、プロトコルそのものに記名・捺印または署名を頂く場合があります。


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********治験に関するQ&A「治験に関する疑問点と答え」********

Q2:責任医師の合意が得られない場合の対応で注意すべき点は?


A2:責任医師に合意が得られない理由を聞き、その場では当該施設での実施の可否の即答を避けることが大切です。
例えば、「ある特定の検査が出来ない」といわれた場合は、出来ない理由や医師がどうしたいのかということを聞き、少しでも治験実施の可能性を探ります。
そして、このことを正しく依頼者に伝え相談します。
理由が治験薬の評価や臨床検査に関する項目であればプロトコルの変更は難しいです。
しかし、薬効評価に影響のない箇所等、プロトコルの根幹に関わらない範囲であれば施設ごとのプロトコルを作成することも可能です。


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■2−3.治験責任医師へ同意・説明文書の作成依頼

■2−4.同意及びその他の説明文書の入手


・責任医師に、被験者から治験への参加の同意を得るために用いる同意文書及びその他の説明文書〔10.1〕 の作成を依頼する。

(この依頼は、責任医師が作成に要する時間を考慮して、責任医師選定時に行うことが多い。)

・同意文書及びその他の説明文書〔10.1〕を責任医師が作成するのに必要な資料を責任医師に提供して、その作成に協力する。
責任医師に必要な資料を提供した際には同意文書等の作成に必要な資料の提供記録〔24.1-2〕を作成する。

・責任医師が作成した同意文書及びその他の説明文書〔10.1]を入手する。




同意文書及びその他の説明文書〔10.1〕に記載されていなければならない項目

(省令第51条第1項解説に該当)

1.治験が研究を伴うこと

2.治験の目的

3.責任医師又は治験分担医師の氏名、職名及び連絡先

4.治験の方法(治験の試験的側面、被験者の選択基準、及び無作為割付が行われる場合は各処置に割り付けられる確率を含む。)

5.予期される臨床上の利益及び危険性又は不便(被験者にとって予期される利益がない場合には、被験者にその旨を知らせることること。なければならない。)

6.患者を被験者にする場合には、当該患者に対する他の治療方法の有無及びその治療方法に関して予測される重要な利益及び危険性

7.被験者の治験への参加予定期間

8.治験への参加は被験者の自由意思によるものであり、被験者又はその代諾者は、被験者の治験への参加を随時拒否又は撤回することができること。また、拒否・撤回によって被験者が不利な扱いを受けたり、治験に参加しない場合に受けるべき利益を失うことはないこと

9.モニター、監査担当者、実施医療機関等設置治験審査委員会等、第三者治験審査委員会及び規制当局が原医療記録医療に係る原資料医療に係る原資料を閲覧できること。その際、被験者の秘密は保全されること。また、同意文書に被験者又はその代諾者が記名捺印又は署名することによって閲覧を認めたことになること

10.治験の結果が公表される場合であっても、被験者の秘密は保全されること

11.被験者が治験及び被験者の権利に関してさらに情報の入手を希望する場合又は治験に関連する健康被害が生じた場合に照会すべき又は連絡をとるべき実施医療機関の相談窓口

12.治験に関連する健康被害が発生した場合に被験者が受けることのできる補償及び治療

13.治験に参加する予定の被験者数

14.治験への参加の継続について被験者又はその代諾者の意思に影響を与える可能性のある情報が得られた場合には速やかに被験者又はその代諾者に伝えられること

15.治験への参加を中止させる場合の条件又は理由

16.被験者が費用負担をする必要がある場合にはその内容

17.被験者に金銭等が支払われる場合にはその内容(支払額算定の取決め等)
18.被験者が守るべき事項


上記の内容に「IRBの種類、審議事項、その他当該治験に係るIRBに関する事項」が加えられる必要がある。
(省令第51条第1項第15号および省令第51条第1項解説3参照)(省令第51条第1項第15号および省令第51条第1項解説3参照)

IRBの手順書等を確認することができ、IRBの手順書等を確認することができ、併せてこれらを施設のホームページに公表している場合は当該ホームページのアドレスを、併せてこれらを施設のホームページに公表している場合は当該ホームページのアドレスを、公表していない場合は事務所で一般閲覧に供している旨を記載する必要がある。

公表していない場合は事務所で一般閲覧に供している旨を記載する必要がある。

また、IRBの手順書を確認したい場合は申し出て欲しい旨を記載すること。

また、IRBの手順書等を確認したい場合は申し出て欲しい旨を記載すること。
(省令第51条第1項解説4参照)(省令第51条第1項解説4参照)



*これらの記載内容は、各医療機関共通部分が多いため、ほとんどの場合、依頼者が依頼者が同意・説明文書(案)を用意している。

この案(施設で同意・説明文書に関する規定が定められている場合は、その様式に合わせたもの)を責任医師に提供し、同意・説明文書の作成に協力することが多い。

責任医師は、特に副作用の記載について配慮しながら作成している。

また、被験者負担軽減費の金額(一般的に7000円)および保険外併用療養費の期間等(制度としては治験薬投与期間中であるが、医療機関により観察期から求められることがある)については、責任医師、治験事務局および医事課等と協議して決定する。

なお、説明文書は治験事務局でIRB開催前IRB開催事前にチェックが入り、修正指示が出されることもある。


・施設の規定で同意文書と説明文書が別に規定されている場合、一体化した文書または一式の文書にすることが望ましい(省令第51条第1項解説6省令第51条第1項解説6局長通知)旨を治験事務局に伝えて、形式について協議する。

・説明文書を作成するのに必要な資料には、治験薬概要書およびプロトコル等があるが、場合によっては文献(海外の治験等)も提供することがある。





********治験に関するQ&A「治験に関する疑問点と答え」********

Q1:同意文書等の作成に必要な資料の提供記録〔24.1-2〕 とは、どういったものでしょうか?


A1:モニタリング報告書で担保することが可能です。ただし、合意SOPの規定によっては別途作成する場合があります


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********治験に関するQ&A「治験に関する疑問点と答え」********

Q2:その他の説明文書とは、具体的にどういったものでしょうか?


A2:同意・説明文書を補足説明するための文書であり、例えば、製薬協発行のパンフレット「くすりと治験」や当該疾患に係わる解説的な図示もこれにあたります。



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■2−5. 治験責任医師から治験分担医師・治験協力者等への情報伝達確認

■2−6. 治験分担医師となるべき者の氏名リスト(必要に応じの履歴書)および治験分担医師・治験協力者のリストを入手

責任医師が、分担医師または協力者に治験業務の一部を分担させる場合、責任医師から選ばれた分担医師・協力者に情報が的確に伝わっているか確認する。

さらに以下の事項について確認する。


・責任医師が分担させる業務と分担させる者のリストを作成し、予め実施医療機関の長に提出したこと。(一般的には依頼者を経由して事務局に提出)(答申6-1-8に該当)

・医療機関の長が責任医師から受け取ったリストをもとに、分担医師および協力者を了承指名し、医療機関の長が指名した治験分担医師及び治験協力者のリスト〔4.1〕
を責任医師および依頼者に提出するとともに、自らがその写しを保存していること。

・医療機関の長又は治験責任医師はリストの写しを治験依頼者に提出すること。



上記で確認すべき書類は以下の2つである。

・医療機関の長が了承した治験分担医師及び治験協力者のリスト〔4.1〕

・治験責任医師及び治験分担医師の履歴書等の文書〔8.1〕(治験分担医師は必要に応じて)



●GCPで規定される“協力者(答申2-22)”には、一般的に治験事務局の方や治験薬管理者は含まれない。

また、分担医師・協力者への情報伝達確認は、契約締結後〜被験者同意取得の間の治験開始前説明会(キックオフミーティング)に行うことも多い。
そして、情報伝達不足である場合には、モニターからも説明する。
モニターは、責任医師による分担させる業務と分担させる者のリスト作成に協力する。


・履歴書はIRB申請書類であるため、責任医師、分担医師および治験事務局に働きかけて、可能な限り早く入手する。(治験分担医師は必要に応じて)

・責任医師は、分担医師および協力者に、プロトコルや各業務内容等について十分な情報を与えて、指導および監督することとGCPに規定されているが、モニターも説明できるようでなければならない。
治験業務についてより詳しく理解して頂き、スムーズに治験が進むよう、モニターも分担医師や協力者に働きかけていく必要がある。



********治験に関するQ&A「治験に関する疑問点と答え」********

Q1:国立大学病院の分担医師に何か資格は必要ですか?


A1:GCPを遵守して治験を実施できるか否かの観点で、各大学のIRB で審査すればよいです。
大学院生や看護学科の医師等も診療従事者の届が出ていれば分担医師になり得ます。
研修医は治験分担医師以上になれない、という内規を定めている大学もあります。

【GCP関連 Q&A網羅集 平成14年4月版より抜粋



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********治験に関するQ&A「治験に関する疑問点と答え」********

Q2:CRCの職種に基準はありますか?


A2:基準はありません。病院内の治験体制に従って決定します。
なお、厚生労働省では、薬剤師、看護師などを想定しているようです。
もちろん、臨床検査技師等の方もいらっしゃいます。

【GCP関連 Q&A網羅集 平成14年4月版より抜粋】



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********治験に関するQ&A「治験に関する疑問点と答え」********

Q3: 依頼者が派遣した者は、協力者となり得ますか?


A3: 依頼者が派遣した者が協力者として当該治験の実施業務に関与する事は、依頼をした者と依頼を受けた者の関係が曖昧になるので止めるべきです


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●現在、CRCを資格化する方向に進んでいる。

臨床薬理学会、日本SMO協会がCRCを認定している。

*臨床薬理学会 ⇒ http://www.jscpt.jp/seido/crc/index.html

*日本SMO協会が ⇒ http://jasmo.org/ja/expart/license/index.html

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