【治験を実施する上での注意点。治験を行うときの注意点。治験実施のポイント。】
治験の流れ(4) 4.治験契約の締結から治験薬の交付まで |
【主な作業の流れ】 | |
■■主な作業■■■ 1.治験契約の締結 2.治験実施前説明会(キックオフミーティング) 3.症例報告書の変更又は修正の手引き書提供 4.治験薬の取扱い手順書の交付 5.治験薬の交付 |
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■■■4−1.治験実施前説明会(キックオフミーティング) | |
キックオフミーティング(会社により呼び名は様々です。) キックオフミーティングの目的は関係者に対しての治験・治験実施計画書(プロトコル)の説明。 治験実施計画書逸脱を防ぐためにも重要な会です。 【事前準備】 ・施設SOPなどで説明会の手順が規定されていることはほとんどないので、事務局を含む関連各部署を訪問し、全ての関係者を集めての説明会が必要なのか、各部署ごとの説明会を行うのかを確認するQ1。また、円滑に話を進めるため、事前に院内業務に関する打ち合わせQ2を行っておく。業務分担一覧表を作成し、それをもとに進めるとよい。 ・責任医師および分担医師の都合を最優先させた上で日程を調整する。 ・説明資料はプロジェクト内で十分検討し、簡潔で分かりやすいものを作成する。パワーポイント資料や症例ファイル等必要に応じて準備する。また、説明会を行う場所や使用する機材が施設にあるか持ち込むかどうかを確認しておく。 ・時間帯によっては弁当を準備する必要(昼食時間帯や夜に開催の場合)があるかどうかを事務局に確認し、特に医局説明会の場合は責任医師に相談する。 ・提供する資料(プロトコル、治験薬概要書、CRFの見本、同意・説明文書、治験薬管理手順書、治験スケジュール表等)を説明会の参加人数より余分に準備しておく。 ・質問に迅速に対応できるようにQ&A集を作成しておく。 ●説明会終了後、薬剤搬入してすぐに治験を開始することができるよう、施設側の体制を整えて頂く必要がある。 そのため、業務分担の確認がここでの最重要課題となる。 ●説明会当日は以下の項目を中心に行う。 @治験の概要について説明し、業務の確認を行う。質疑を受けた場合は速やかに回答する。 A署名・印影一覧表〔41.1〕 を入手(作成)する。 署名・印影一覧表〔41.1〕 は、第1症例目の被験者が登録される前までに入手しておくべきものだが、一度に入手する良い機会であるため、この時に作成してもらい入手するのが望ましい。 B症例報告書の変更又は修正の手引き書〔9.1-3〕 を提供する。 C保険外併用療養費や被験者負担軽減費については時間があれば説明する。 DCRCがいない施設においては院内の書類の流れ(治験概要、被験者負担軽減費の支払い確認書類等)も説明しておく。 E処方(処方印の使用等)の確認 F他院を受診している場合は、被験者の同意を得た上で、責任医師又は分担医師から他院の主治医に当該被験者が治験に参加していることを御連絡いただくこと、他院での診療情報(処方薬等)の情報入手に努めていただくことの説明 G被験者が薬局で購入し服用したOTC薬剤(感冒治療薬、胃腸薬、漢方薬等)の情報収集に努めていただくことの説明 *依頼者によって、「キックオフミーティング」の意味合いには違いがあり、顔合わせを主な目的とした簡単な説明会のことをそのように呼ぶ場合もある。 ●事前の院内業務の打ち合わせは、CRCとの連携が重要となってくる。 ・プロトコルおよび業務の流れ等について熟知し、質疑には全て答えられるようにしなければならない。 ・臨床検査が外注になっている場合は、検査会社の方に説明会へ来ていただき、検査キットの説明をしてもらうことが多い。 その場合、検体処理(遠心分離条件等)・保存・回収手順等について役割分担を含めて確認の必要がある。 ・症例報告書の変更又は修正の手引き書〔9.1-3〕 は、治験の実施に先立って提供すべき書類なので、第1症例目の被験者が登録される前までに提供されるべき書類なので、この時点で提出されていることが望ましい。 提供できない場合でも、遅くとも第1症例目の被験者が登録される時までに提供されるべきである。 |
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*******治験に関する質問と答え********* Q1.説明会の出席者はどのような構成ですか? A1:責任医師、分担医師、協力者、薬剤部、看護師、検査部、まれに医事課等の事務関連部署等が出席します。施設や治験により、出席するメンバーは異なります。説明会で説明できなかった方に関しては、後日別の機会に説明します。また、説明会と治験薬の交付を同日に実施することがあります。ほとんどの場合、薬剤部に説明をする時に、治験薬の交付を行います。 ************************** *******治験に関する質問と答え********* Q2:業務の打ち合わせとは具体的にどのような内容ですか? A2:症例ファイルや共通ファイルをもとに打ち合わせを行うことが多いです。同意取得から症例を登録し、 投薬を開始するまでのスケジュールや、臨床検査の実施方法、治験薬の払い出し方法などを重点的に、治験開始から治験終了までの流れを説明します。同意・説明文書や検査キットなどの実物を使用して、よりわかりやすく説明したり、患者さんの選択基準・除外基準や併用禁止薬(該当医薬品の医療機関採用品目の一覧を求められることもあります)など、逸脱が発生しやすい点について注意を促す工夫が重要です。更に、SAEの定義や発生時の手続き方法についても説明しておく必要があります。 ************************** |
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●症例ファイル: 施設ごとに対応させて1症例に1冊作成されるファイル。 同意文書及びその他の説明文書〔10.1〕 、登録票、治験概要、フローチャートやチェックリスト、カルテシール、CRF等を含んでいる ●共通ファイル: 各症例に共通する資料を施設ごとに1冊にまとめたファイル。 被験者登録に関する文書〔39.1〕(スクリーニング名簿、登録名簿、被験者識別コードリスト、等)、署名・印影一覧表〔41.1〕 の写し、同意文書及びその他の説明文書〔10.1〕 、カルテシールの予備等 |
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■■■4−2.治験薬の取扱い手順書の交付 | |
【事前準備】 ・治験薬の管理に関する手順書〔21.1〕 を交付する前に、その内容について治験薬管理者とすり合わせを行っておく。 ・治験薬を交付するまでに、治験薬管理表、処方印、薬袋について協議しておくこと。 ・治験薬の管理に関する手順書〔21.1〕 を医療機関の長に交付する。 ・医療機関の長が治験薬管理責任を指名する。 その委任業務内容を施設SOP(医療機関の治験の実施に関する手順書〔3.1〕)や指名書(治験薬管理者の指名記録〔3.1-2〕 )で確認する。 確認後、治験薬の管理に関する手順書〔21.1〕を、直接治験薬管理者に交付する。 このことをモニターが確認したということをモニタリング報告書に記載する。 ・治験薬管理者と実務者が異なる場合は、治験薬管理者より実務者を指名した記録を入手し、治験薬の管理に関する手順書〔21.1〕の説明をする。 ●注意点 ・治験依頼者は治験の契約の締結後遅滞なく、治験薬の管理に関する手順書〔21.1〕を 実施医療機関の長に交付しなければならない。 ・医療機関の長は治験薬管理者に、治験薬の管理責任の一部または全部を委任する。 *予め医療機関の長の承諾を得て治験薬管理者へ直接交付することは差し支えない (第16条第6項解説) *******治験に関する質問と答え********* Q1:治験薬管理者に対する治験薬の取扱い手順書の説明は説明会のときに行なうのですか? A1:医療機関への治験薬交付のときに治験薬を見せながら行われることが多いです。 ************************** |
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■■■4−3.治験薬の取扱い手順書の交付 | |
【事前準備】 ・交付の前に、治験の契約が締結されているかどうか確認する。 ・納品書への捺印は誰のもの(依頼者側の治験薬管理者もしくはモニター)が必要であるかを事前に事務局で確認しておく。 また、受領書の捺印も、治験薬管理者のものでなければならないのか、代行者(治験薬管理者が指名したもの)のもので良いのかを確認しておく。 ・治験薬を直接医療機関に交付する。 このとき、依頼者側が捺印した治験薬納品書の写し(治験依頼者の治験薬交付及び取扱い記録〔45.1〕 )と施設側の治験薬管理者が署名または記名・捺印した治験薬受領書(治験依頼者の治験薬交付及び取扱い記録〔45.1〕 )を入手する。 ●注意点 ・治験依頼者は、治験薬を治験依頼者の責任のもと実施医療機関に交付しなければならない。(省令第17条) ・治験依頼者は、治験薬の品質管理、運搬及び交付を確実に行うための必要な手順を定めておくこと。 ・治験依頼者は、運搬業者等を用いて実施医療機関に治験薬を交付する場合には、治験薬の品質管理、運搬及び交付を確実に行うために、当該運搬業者等と契約を締結するなど必要な措置を講じておくこと。 (省令第17条解説参照) ・治験薬管理表(医療機関での治験薬の保管・管理記録〔32.1〕)は、施設で様式が決まっている場合は、施設様式を使い、施設で様式が決まっていない場合は、依頼者側で様式を作成する。 しかし、施設で様式が決まっている場合でも、様式の内容が不足している場合Q、様式の変更や依頼者側様式の使用を求める。 ・二重盲検試験の場合、責任医師に盲検下の治験薬の割付けコードの開封手順書〔9.1-2〕 (エマージェンシーキーコードの開封手順)を治験薬交付までに提出しておく(同日を含む)。 コードがスクラッチになっている時は、治験薬交付の際にスクラッチが削れやすいことの注意を促す。 また開封に際する十分な説明も必要。 <GCP省令第11条> 治験の依頼をしようとする者は、治験の契約が締結される前に、実施医療機関に対して治験薬を交付してはならない。 *******治験に関する質問と答え********* Q:「治験薬管理表」の様式の内容不足とは具体的にどういうことですか? A:症例ごとの残数を記載しなければならないのに、治験薬全体の残数のみの記載様式になっている場合などが考えられます。 ************************** |
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