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 「GCPガイダンス」と「治験119」の合体:GCPの注意事項、GCPのグレーゾーン(7)
(つづき)
(モニタリングの実施)
第21条 治験依頼者は、モニタリングに関する手順書を作成し、当該手順書に従ってモニタリングを実施しなければならない。

2 前項の規定によりモニタリングを実施する場合には、実施医療機関において実地に行わなければならない。ただし、他の方法により十分にモニタリングを実施することができる場合には、この限りではない。
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〈第1項〉

1 治験依頼者は、被験者の人権の保護、安全の保持及び福祉の向上が図られていること、治験が最新の治験実施計画書及び本基準を遵守して実施されていること、治験責任医師又は治験分担医師から報告された治験データ等が正確かつ完全で原資料等の治験関連記録に照らして検証できることを確認するため、モニタリングを実施すること。

2 治験依頼者は、適切な訓練を受け、治験を十分にモニタリングするために必要な科学的及び臨床的知識を有するモニターを指名すること。また、モニターの要件を、モニタリングに関する手順書に記載しておくこと。

3 治験依頼者は、モニタリング、監査並びに治験審査委員会及び規制当局の調査時に治験責任医師及び実施医療機関が原資料等のすべての治験関連記録を直接閲覧に供することを、実施医療機関との治験の契約書及び治験実施計画書又は他の合意文書に明記すること。

4 治験依頼者は、モニタリング、監査並びに治験審査委員会及び規制当局の調査時に、被験者の医療に係る原資料が直接閲覧されることについて、各被験者が文書により同意していることを確認しておくこと。

5 治験依頼者は、モニターが実施医療機関及び治験の実施に係るその他の施設を訪問し、原資料を直接閲覧すること等により治験が適切にモニタリングされていることを保証すること。また、治験の目的、デザイン、盲検性、被験者に対する危険性のレベル、規模及びエンドポイント、当該実施医療機関及び治験の実施に係るその他の施設における実績等を考慮してモニタリングの適切な範囲及び方法を決定することとし、臨床研究中核病院等が当該実施医療機関及びその他の施設において治験の実施(データの信頼性保証を含む。)を適切に管理することができる場合においては、必ずしもすべての治験データ等について原資料との照合等の実施を求めるものではないこと。

6 モニターは、治験薬、治験実施計画書、説明・同意文書、治験依頼者の手順書及び本基準を熟知し、これに従うこと。

7 モニターは、治験依頼者が確定した手順書及び当該治験のモニタリングに関して治験依頼者が特に定める手順に従うこと。

8 モニターは、次の事項が当該治験及び当該治験の実施に係る施設に関して適切でかつ必要である場合には、治験依頼者の要求に従ってそれらを行うことにより、治験が適正に実施され、必要な事項が正確に記録されていることを保証すること。

(1)治験依頼者と治験責任医師、実施医療機関及び治験に係るその他の施設との間の情報交換の主役を務めること。

(2)実施医療機関及び治験責任医師が治験を適切に実施するのに求められる要件を満たし、それが治験期間を通して維持されていること、また検査室や必要な装置及びスタッフを含む設備が、治験を安全かつ適正に実施するのに十分であり、それが治験期間を通して継続されていることを確認すること。

(3)治験薬に関し下記の点を確認すること。

@ 保存期間、保存条件が許容できるものであり、治験期間を通して十分な量が交付されていること。

A 治験薬が適格な被験者のみに、治験実施計画書で規定された用量で投与されていること。

B 被験者に対し、治験薬の適正な使用、取扱い、保存及び返却に関して必要な指示が与えられていること。

C 実施医療機関及び治験の実施に係るその他の施設での治験薬の取扱い及び保管、管理が本基準及び治験依頼者の定めるところに従って適切に行われ、記録されていること。

(4)治験責任医師等が実施医療機関の長の指示、決定及び承認された治験実施計画書に従って治験を実施していることを確認すること。

(5)各被験者から、治験に参加する前に、治験への参加について自由意思による同意が文書により得られていることを確認すること。

(6)治験責任医師が治験を適正に実施し、本基準を遵守するのに必要な治験薬概要書の最新版等すべての文書及びその他の供給物を受領していることを確認すること。

(7)実施医療機関の長、治験責任医師、治験分担医師、治験協力者及び治験薬管理者等が治験について十分情報を得ていることを確認すること。

(8)治験責任医師、治験分担医師、治験協力者及び治験薬管理者等が治験実施計画書並びに治験依頼者と実施医療機関及び治験責任医師との間のその他の合意文書に基づいて治験における各々の役割を果たしており、このような役割を事前に取り決められた者以外に委任していないことを確認すること。

(9)治験責任医師等が適格な被験者のみを治験に組み入れていることを確認すること。

(10)被験者の登録状況を確認し、治験依頼者に報告すること。

(11)正確かつ完全で、最新に至る原資料等のすべての治験関連記録が作成、保存されていることを確認すること。

(12)実施医療機関の長及び治験責任医師又は治験分担医師が本基準で要求されるすべての報告、通知及び提出を行い、それらの文書が正確、完全で、適切な時期に行われ、読みやすく、日付が記載されており、該当する治験を識別できることを確認すること。

(13)症例報告書の内容と原資料等の治験関連記録類を相互に照合し、これらが正確であることを確認すること。その際、モニターは特に次の点を確認すること。

@ 治験実施計画書が要求するデータが症例報告書に正確に記載され、それらが原資料と一致していること。

A 用量又は治療法の変更があった場合には、そのすべてが各々の被験者について記録されていること。

B 有害事象、併用療法及び併発症が治験実施計画書に従って症例報告書に記載されていること。

C 被験者が規定どおりに来院しなかった日、実施されなかった試験及び検査が症例報告書に明確に記載されていること。
D 登録された被験者のすべての中止例、脱落例が症例報告書に記載され、その理由等が説明されていること。

(14)治験責任医師に、症例報告書の記載ミス、記載漏れ又は判読不能事項をすべて知らせること。また、適切な修正、追記又は削除がなされ、日付が記入され、それらが重大な場合にはその理由等が説明されており、かつ治験責任医師又は症例報告書を作成した治験分担医師によって、押印又は署名されていることを確認すること。

(15)すべての有害事象が、治験実施計画書、治験審査委員会、治験依頼者及び本基準によって要求されている期間内に適切に報告されていることを確認すること。

(16)実施医療機関において保存すべき文書又は記録をそれぞれの保存責任者が保存していることを確認すること。

〈第2項〉

1 モニタリングは、治験開始前、実施中及び終了後に実施医療機関及び治験に係るその他の施設において実地に行う。

2 「他の方法により十分にモニタリングを実施することができる場合」とは、例えば、治験の方法(評価項目等を含む。)が簡単であり、参加実施医療機関の数及び地域的分布が大規模であるなどのために実施医療機関等への訪問によるモニタリングが困難である治験において、治験責任医師等又は治験協力者等の会合及びそれらの人々に対する訓練や詳細な手順書の提供、統計学的にコントロールされた方法でのデータの抽出と検証、治験責任医師等との電話、ファックス等による交信等の手段を併用することにより、治験の実施状況を調査し、把握することが可能かつ妥当である場合である。このモニタリングの方法は「中央モニタリング」と呼ばれる。
質問番号:2009-09 モニターにより作成されるSDV時の記録

最近カルテを丸写しをされる治験依頼者様がおります。

モニタリングとは、カルテとCRFの整合性を確認するためと考えておりましたが、CRFを広げずにひたすら朝から晩までカルテを一字一句写し続けるモニター様がいらっしゃいます。
このため時間が足りなくなり、週一回8時間のモニタリングをすることを要求されています。

担当モニターのみの判断ではなく、会社としてモニターにカルテを写してくることを求めているとのことで、上司の方がいらして、GCPにはそのように記載されていると主張されていました。
また、その方は、CROにもそのように要求をしているとのことでした。

さらに、写した紙の保管は非常にぞんざいであり、レポート用紙に書かれていることについて、落とすことの危険性について指摘したところ、名前がないので全く問題がないとのご返事でした。
このようなものを院内で万が一紛失をしたときの問題については全く関 知しないという考えです。

このような、カルテの丸写しについては非常に問題であると考えておりますが、協会としてはどのようにお考えでしょうか?この事例は極端ではありますが、似たような事例は時々あります。 被験者はまさか個人のカルテがこのように扱われているとは思ってもいないと思いますが、いかがでしょうか?


製薬協見解

ご指摘の直接閲覧については、GCP第21条第1項ガイダンス1では「治験依頼者は、被験者の人権の保護、安全の保持及び福祉の向上が図られていること、治験が最新の治験実施計画書及び本基準を遵守して実施されていること、治験責任医師又は治験分担医師から報告された治験データ等が正確かつ完全で原資料等の治験関連記録に照らして検証できることを確認するため、モニタリングを実施すること」とあります。

治験実施計画書や症例報告書の内容に依存して、原資料から限られた範囲で、複写などをする必要があるかもしれませんが、ご指摘のカルテを一字一句写し続ける作業については、行き過ぎた行為です。
また、院内外を問わずモニターが書き写した紙を紛失した場合、例え被験者名の記載がなくても被験者の秘密保全の観点から問題があります。

本来モニタリング(SDV)は、症例報告書に記載されたデータが原資料から適切に転記等が行われ評価されているかどうかを検証するためのものです。
さらに、治験が医療行為として適切な措置が取られていたかということを確認することも忘れてはいけません。
カルテの一字一句を写してまで、症例報告書の整合を確認することがGCPの求める信頼性ではないことを改めて各企業が認識する必要があると考えます。
 
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