【モニター用】
1)モニターの仕事とは | 2)最初に覚えること | 3)実践での注意 | 4)自習の仕方 |
3)実践での注意 |
(中-1)部下を育てる | |
モニターとしての仕事ではありませんが、中堅のモニターの大切な仕事に初級モニターの育成があります。 会社によってはレベル別のモニター研修をやってくれるところもあるでしょう。 しかし、なんと言っても、直接一緒に仕事をする先輩モニターの実地指導(OJT)に勝るものはありません。 例えば一緒に同行することもあるでしょう。 自分の担当施設に連れて行くこともあれば、逆に後輩の担当施設に行くこともあるでしょう。 また、SDVの補助用員として、お互いに助け合う場面もきっとあるでしょう。 そんな時には、もちろん仕事を最優先しますが、同時に後輩のモニターを育成するまたとないチャンスです。 会社で行うモニター研修は平均的な研修です。 それに対して、実地での研修はマンツーマン対応ができます。 ただし! 注意がただひとつあります。 施設の訪問は仕事がメインであって、OJTの場ではないということです。 例えば、僕たちの仕事が治験ではなく、PCのソフトを売る会社だとします。相手は治験担当医師ではなく、顧客である経理会計会社のシステム担当者だとしましょう。 この相手にOJTと称して、いきなり新人に仕事をさせるのは、時間をとってくれた相手に失礼です。 同じことが治験の場合にも言えます。 あくまでも「仕事」を最優先します。ここを勘違いしないようにしましょう。 プレゼンをいきなり初めてやるのに、医局説明会を訓練の場にしないように。 まずは、社内で繰り返し訓練してから、医局説明会に臨ませましょう。 |
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■何故、後輩の指導が必要か? | |
部下の指導を行う場面はいつでも、どこでもあります。極端な話し、一緒に仕事をしている間は全てOJTとも言えるでしょう。 施設の同行だけでなく、社内におけるチーム会議、後輩が書いたモニタリング報告書の点検、全てが指導の対象になります。 ところで、あなたの仕事はモニターですか? それともモニターの教育担当者ですか? もちろん、モニターです。教育担当者は別にいるのですから、何も全てをあなたが後輩の面倒を見る必要も無いとも、言えるでしょう。 しかし、僕がモニターをやっていた時はこう考えました。「優秀な後輩を育てると自分が楽になる。」 今も、同じ様に考えています。 最初は手取り足取り、教えていた後輩が、やがて独り立ちできるようになります。 そして、今度は、あなたを助けてくれるようになります。 実際に、僕は助かっています。何も言わなくても、さっさと仕事をやってくれ、おまけに僕が悩んでいたことまで、片付けてくれるようになります。 全て、「情けは人の為ならず」です。(どうでもいいのですが、最近、この言葉が逆の意味で使われていますね。) さらに、あなたはいつでもチームとして働いているはずです。 チーム全体のパフォーマンスを上げるためにも、後輩の育成は必須です。 失敗させないため、という消極的な意味もありますが、より高いチーム力をつけるためにも、後輩の育成は欠かせません。 そして、最後になりますが、これが一番大切です。 人を育てるということは、とりもなおさず、自分を育てることになります。 一番学べるのは教える人です。 |
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■何を教えるか? | |
まずは、相談に乗るところから始まります。 初級モニターが分からない点、困っていることの相談にのってあげましょう。 その時に、できるだけ、相手が答えを導きだせるような相談方法をとります。 いきなり、答えを出すのではなく、「きみは、それに対して、どう考えているの?」と必ず、相手の考えをまず、聞いてみましょう。 その上で、自分の考えを伝えます。 こうして、思考の訓練を行います。 施設への同行の場合は、まず行く前に今回の訪問の目的を明確にします。 治験参加に消極的な医師に治験に参加してもらうのか、被験者登録が進んでいない医師をプッシュしに行くのか、CRFを書いてもらうために行くのか・・・・・・。 そのうち、どこまで行ったら、今日は良しとするか、目標を決めます。 消極的な医師にとりあえず医局説明会を開催させるところまででいいのか、それとも、治験に参加してもらうところまで持っていくのか、など等。 訪問が終わったら、その目標をクリアしたかどうかを話し合いましょう。 そこで、良かった点、悪かった点、自分ならこうしただろうということを話します。 ポイントは、悪かった点を1つあげるとしたら、良かった点は3つあげてやりましょう。 初級モニターに最も必要なのは『自信』です。 その自信は誰かの誉め言葉から生まれることが多いのです。 あなたの言葉で後輩のモニターに自信をつけてあげましょう。 治験医師に怒られたって気にする必要がないことを教えてあげましょう。 自分も最初はそうだったこと、いや、今でもそうだということ。 大切なのは、チームの目標を達成することだと教えてあげましょう。 あとは、後輩モニターをよく観察し、まだ力が弱い点をどう上げたらいいかを具体的に教えてあげます。例えば自分は、こうして弱点を克服した、というように。 ただし、その時も必ず、良い点を最後に伝えてあげます。 誉めて、誉めて、誉めあげていけば、人間はいつかその仕事に自信を持ちます。 その自信が、その人の持っている全ての能力を引き出してくれます。 「注意」や「しかる」こともあるでしょうが、それはそれです。それは単にルール違反をした時に身を守ることを教えているだけです。 人を成長させるのは「注意」や「しかる」ことではなく、ただ一つ「誉めてあげる」ことです。 |
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