(2)モニタリング活動実践能力アップ方法 |
(2)−1)面談技術の能力 |
ここで挙げられている能力は、実はモニタリング活動だけでなく、「社内」、「社外」一般に対する仕事の基本姿勢を問われています。(特にBやCは、とても大切な能力・姿勢です。Dも、特に若い内(30歳未満)は特に注意したいところです。社内においては特に。)
@効率的な面会を行うために、治験関係者ごとに、いつ、どこで面談できるかの情報を把握している
A治験担当者の学会や院内における影響力、人脈について把握している
B約束事は必ず守り、速やかに実行するようにしている
C不満やクレームには俊敏かつ誠実に対応し、対処策を適切に実行している
D治験担当者の否定的な態度・言動にも臆することなく、かつ円滑に対処している
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@効率的な面会を行うために、治験関係者ごとに、いつ、どこで面談できるかの情報を把握している |
モニターも慣れてくれると、4,5施設を担当することになります。
そうなると、この@の問題は一つの施設の中だけでなく、近隣の施設を回るための効率的な方法も考えないといけません。
例えば、北海道地区をなんかを担当している場合は、火曜日から木曜日まで北海道に行ったきりになることもあるでしょう。
そんな時に、どうやったら、効率的に北海道内の施設を訪問できるかを、時刻表を睨みながら考えましょう。
一つの施設内でも、もちろん、誰と何処でいつ会うかを考えてアポをとりましょう。
特に、緊急で会えなくなる確率が高い医師(外科の医師とか産婦人科の医師は急なオペや出産がある)等は、一番最後に会うようにしましょう。
事務局⇒薬剤部⇒医局のCRC⇒医師・・・などの順番を考えて、アポをとりましょう。
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A治験担当者の学会や院内における影響力、人脈について把握している |
これは、登録を促進してもらう時に、とても大事なファクターとなります。
どの医師が影響力を持っているかを把握し、治験全体の促進につなげます。
特に学会で重要なポジションにいる医師に治験を依頼している場合は、十分に戦略を練ってから、会いに行きましょう。
そうでないと、話がとんでもない方向へ行って、困ってしまうことがあります。
また、人脈を把握することにより、ある医師に対して治験の促進を促してもらえる医師を見つけておくことも大切です。
これは、社内でも一緒です。
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B約束事は必ず守り、速やかに実行するようにしている
C不満やクレームには俊敏かつ誠実に対応し、対処策を適切に実行している
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これはビジネスパーソンとして(と言うか「人間」として)、必須の能力、姿勢です。
「誠実さ」は「信頼感」を作る上で一番のファクターです。
誰が、誠実じゃない人を信頼するでしょうか?
約束も同じです。
約束やクレーム対応が、予定より遅くなりそうだとか、時間がかかりそうな場合は、途中経過でもいいので、連絡をします。
1ヶ月かけて100%の対応するよりも、1週間で80%対応するほうが、大体において好ましい結果を生みます。
これまた、社内でも同じです。
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D治験担当者の否定的な態度・言動にも臆することなく、かつ円滑に対処している |
とかく「自信」の無いモニターは必要以上に医師や事務局の人に卑屈になります。
何故、自信が無いのか? それはバックボーンとなる知識が無いことが原因であることが多いと思います。
GCPで「ダメ」なものは「ダメ」ときちんと「誠実に」言えるようにします。
あやふやなGCP知識しかないと、つい「はい、それでいいです」となりがちです。
「他社のモニターはいいと言ったよ」とか「他社は対応してくれているよ」という言葉に弱いモニターもいます。
その「他社のモニター」は確固たる根拠があって「いいです」と答えたのでしょうか?
その「他社」は、きちんと考えた上で「対応」してくれたのでしょうか? ひょっとしたらGCP知識の無いモニターが勝手に「いいですよ」と「対応」したのかもしれません。
また、例えば「補償制度」も、会社によって考え方も違いますし、保険会社との契約内容も違います。
そんな時に「他社でも補償してくれるのだから、お宅でも補償してよ」と言われ、簡単に「覚書」で了承しましたという旨の返事をしたとしましょう。 そしたら保険会社との契約以上の補償を病院から請求され、支払えなくなったという事態に陥る可能性もあります。
これは逆に「誠実」とはいえないでしょう。
この場合「ここまでは当社は補償できますが、ここから先のことは補償の対象外です」と答えるのが「誠実」な返答です。
あとで、困るのは会社よりも、それを信じて治験に参加した患者さんです。
患者さんのご好意を裏切らないためにも、できないこと、できることをきちんと説明するようにすべきです。
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