【モニター用】

1)モニターの仕事とは 2)最初に覚えること 3)実践での注意 4)自習の仕方


1)モニターの仕事とは


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11.有害事象への対応

有害事象が発生したことを口頭にしろ、SDVにしろ発見した場合は次の2点に注意します。

■それは重篤か?

「重篤の定義」は答申GCPでは次のようになっています。
この定義に従って、知り得た有害事象が「重篤」かどうかを医師に判断してもらいましょう。

2-15 重篤な有害事象又は重篤な副作用

有害事象又は副作用のうち、
死亡に至るもの、生命を脅かすもの、治療のため入院若しくは入院・加療期間の延長が必要なもの、永続的若しくは重大な障害・機能不全に陥るもの、先天異常を来すもの、又はその他の重大な医学的事象を言う。

盲腸で「入院」しても「重篤」になりますので、ご注意ください


■因果関係は?

次に因果関係を医師に判断してもらいます。

その治験薬の過去に発生した副作用かどうか、使用時期と有害事象の発生時期、使用中止により有害事象はどうなったか、再度治験薬を使ったら、その有害事象がまた発生したか、患者さんの既往歴、合併症との関係、他の薬の使用、、、など等を参考に因果関係を判断してもらいます。

1)重篤な有害事象だった場合

速やかに次の処置を講じます。(多分、各社のSOPで知りえてから何日以内などと規定されていると思います)

(1)医療機関で定めた書式に従ってIRBへ報告する。

(2)治験依頼者用にも同様に報告してもらう。

(3)被疑薬の特定

(4)因果関係の特定


その他にも、きっと社内のSOPに記載してありますので、それに対応してください。

こういった事態が発生すると慌てますので、日頃から有害事象の報告のSOPをよく読んでおいてください。
フローチャートがあると便利ですので、作りましょう。

2)重篤な副作用だった場合

もし因果関係が否定できない重篤な有害事象、即ち「副作用」だった場合は「既知」なのか「未知」なのかを判断します。

答申GCPでは次のように定義しています。


2-55 予測できない副作用

副作用のうち、治験薬に関する適用可能な情報(例えば、未承認の治験薬では治験薬概要書、既承認医薬品では添付文書や当該医薬品の特性を記した説明書)と、その性質又は重症度が一致しないもの


注意しないといけないのが「重症度」です。


例えば軽度の頭痛」が治験薬概要書に記載されていても「重度の頭痛」は「重症度」が違いますので「未知(予測できない)副作用」になります

既知、未知の判断ができたら、各社のSOPに従って迅速な行動をしましょう。
特に規制当局に報告する期限が決まっている時は、とりあえず、そこまでで知り得た情報でいいので、第一報を提出します。

また、「補償」の対象となる旨を医師(CRC)から患者さんに伝えてもらいましょう。(自社の補償制度を確認してからね。)

3)安全性情報の伝達

上記のような規制当局に報告した安全性に関する情報は速やかに(1ヶ月以内)、他の全治験参加医療機関や全治験責任医師にも手紙等で連絡します。

その上で、説明同意文書の改訂、IRBへの審議依頼を行う必要がありますので、リーダーの方は忘れないように!


■有害事象の対応が・・・

有害事象の対応がスムーズにできるかどうかが、初級モニターと中級モニターの違いでもあるでしょう。

抗ガン剤の治験を担当するとすぐに慣れますが、あまり重篤でない疾患の治験薬ですと、なかなか、そのような機会がありません。(もちろん、無いに越したことはありません。)

僕は、抗ガン剤の治験をやっていたことがありますが、不幸なことに患者さんが死亡されると1ヶ月はその対応に忙殺されることは覚悟しておいたほうがいいでしょう。



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