【モニター教育担当者用】

1)一番大切なこと 2)研修のあり方 3)カリキュラムの作り方 4)講師の育て方


3)カリキュラムの作り方


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■年間計画の作り方

年間計画を作る際に、最も大切なのは「今年の教育目標は何か?今年の終りにはモニターがどのようになっていて欲しいのか?」を明確にしておくことです。


「カリキュラムの作り方」のトップページで述べたように、中期的な計画ができたら、今年は何をすべきかを考えます。

このことさえ決まったら、年間計画の半分はできたも同然です。
あとは、それを具体的にどう実行に移すかだけです。

問題となるのは、もし、仮にあなたの今年の年間教育目標を達成させるために、今までのやり方ではできないと思った場合はどうするか? です。

以下、それを検討する方法を記述します。

■年間教育研修を実行する際の問題点

例えば、今まで、この会社ではモニターの研修は半年に一回だけだ、とか、3ヶ月に一回しかしない、としましょう。
しかし、あなたが立てた年間目標を達成するには、どう考えても毎月研修をやる必要がある、としたらどうするか?

まずは、モニター部門の上層部と話し合いをします。そして、あなたの立てた教育目標の意義、重要性を伝えます。
その上で、毎月研修をやる方向で話し合います。
この話し合いで、毎月研修ができるようになったら、それでオシマイですが、そうじゃなかった場合。
毎月研修ができない理由を聞きます。
その理由が、単なる慣行的なものだったら、それを打破するよう説得します。
もし、理由が物理的な問題(場所が無い、モニターの時間が無い等)だった場合は、こちらで工夫しましょう。

「場所が無い」場合、イントラネットで研修を行うことも検討します。
「モニターの時間が無い」場合・・・どうして時間が無いのかを探ります。どこに時間を割かれているのかを探します。もし、それが特定できたら、それを取り除くことができないかを考えます。

例えば、会議多くて時間が取れない場合、会議の中味を聞き出し、削れる中味が無いかどうかを検討します。

実際に、僕はこれで、今まで2週間に1回会議をやっていたあるモニターチームの会議を4週間に1回にしてもらいました。(実際問題、モニターたち自身も2週間に1回は多すぎるし、無駄な話し合いも多いという認識だったのが幸いしました。つまり、誰もそれを上司に言い出せなかったところを、僕が言っただけです。モニターのみんなにも感謝されました。・・・・・・問題はありますが。どうして、誰も、それを言い出せなかったのか、という問題が。)

モニタリング活動で忙しい場合・・・これが一番、やっかいです(教育担当者としてね)
どんな解決方法があるか?

■時間を分散させる

研修目標を達成するためには毎月1回、1日(7時間)かかる研修が必要だったとしましょう。
しかし、モニター部門から、それはムリだが、毎月1回、半日(3〜4時間)なら、研修に参加できるという意見があったら、この方法を使います。

つまり、その研修を2ヶ月に分散させて行えばいいのです。その代わりに中味を2倍濃くしましょう。
(これができるようになると、相当違います。もし、モニターの人員が増えて、毎月1回、1日(7時間)まるまる研修ができるようになった場合、1年で2年分の研修ができることになります。)

その他にも、1週間に1回、2時間なら研修にでてもいい。それを毎週やることにする。 という方法もあります。
さらに、1週間に1回1日30分なら、研修に出てもいい。という方法もあります。
このような短時間じゃ、研修なんてできない! と思ったら、負けです。^^
その短時間で目標を達成できる研修になるよう工夫します。 リアルの研修とイントラネットを使ったeラーニングを組み合わせるとかね。

それでもなお、どうしても半年に1回しかできない、3ヶ月に1回しかできない場合は、その貴重な機会をどう利用するかに知恵を絞りましょう。

また、モニター全員の集合研修がムリだとしても、モニターチーム会議を毎月1回やっているなら、そこに15分でもいいので、研修時間をもらい、そこに出前研修をする、という手もあります。

言いたいことは、「工夫せよ!」です。


■研修を絞り込む

さて、どうあがいても、時間が十分に取れないという場合は、研修内容、項目を絞り込みましょう。
短時間に、あれもこれも、という研修ではアブハチ取らずです。

最優先項目から、研修を行い、他の項目は、この際、きっぱりと捨てます。
ただし、それも、次の機会にやればいいのです。

時間が限定されているのなら、研修項目も限定しましょう。


■年間教育研修を例

例えば、今年は「SDVを強化する」というのが、研修目標だとしましょう。具体的な中味は以下のようです。

(目標:基礎の確立。GCP、SOPを覚える。SDVをしっかりできる)


・模擬研修を重点的にやる。(実際のSOPの書式等を利用して、行動し、記載し、体で覚えてもらう。)

・模擬SDVを特に徹底的にやる。SDVに必要な基礎的医学知識、カルテ用語も覚えてもらう。

・モニタリング報告書、SDV記録の方法を実際に書いてもらったり、チェックしてもらう。

・実際にSOP通りにSDVを実施しているか、SDV記録は十分かをチェックする。

では、これを年間計画にどう落としていくかを考えてみましょう。(ここでは、毎月1回、3時間程度の研修ができるという仮定にします。)

▼まず、「SDVに必要な基礎的医学知識、カルテ用語も覚えてもらう。」ですが、これは1年間を通じて、分野別にやることにしましょう。

▼次に、SDVのSOPをしっかり覚えてもらいます。これは「模擬研修を重点的にやる。(実際のSOPの書式等を利用して、行動し、記載し、体で覚えてもらう。)」というところです。
この項目は年間計画の初期に設定します。
まずは、守るべきSOPについて研修しましょう。SDVをやったと言っても、SOP通りにやっていないなら、論外ですからね。
これは、レクチャー方式、模擬研修方式、eラーニング方式などを組み合わせて、徹底的に覚えてもらいます。

▼SDVをしっかりできるようになっても、その記録が不十分ではいけません。(記録に無いことはやってないと同じことです。)
SDVをただやったという記録だけでなく、SDVの結果、問題が発見された場合の対応も研修に盛り込みます。

▼そして、研修そのものとは関係ありませんが、研修の評価として、時々、「実際にSOP通りにSDVを実施しているか、SDV記録は十分かをチェック」しましょう。
もし、SOP通りに実行されていない場合は、それに対応する研修を考えます。
研修したからといって、それで済む話しではありません。
実際に、モニターの皆さんが、行動に移してくれてこそ、研修目標が達成できたと言えます。


以上を4月から次の年の3月まで、どうバランスよく計画するか、やってみましょう。


研 修 項 目
4月 ■SDVのSOPについて
 ▼SDVの実施時期、実施方法、書式の研修

■SDVに必要な基礎的医学知識、カルテ用語
 ▼内分泌系
5月 ■模擬SDVの実施
 ▼登録基準について

■SDVに必要な基礎的医学知識、カルテ用語
 ▼感染症系
6月 ■模擬SDVの実施
 ▼CRF内の矛盾記載について

■SDVに必要な基礎的医学知識、カルテ用語
 ▼消化器系
7月 【このあたりで、実際のモニタリング報告書、SDV記録書等をチェックし、SOP通りにSDVを実施しているかを確認する。】

■模擬SDVの実施

 ▼SDVの記録方法(特に矛盾や、プロトコール逸脱を発見した場合等)

■SDVに必要な基礎的医学知識、カルテ用語
 ▼呼吸器系
8月 【先月、実際のモニタリング報告書、SDV記録書を確認し、問題が発見されたら、それに対応する研修を行う。】

■模擬SDVの実施
 ▼併用薬を中心に

■SDVに必要な基礎的医学知識、カルテ用語
 ▼7月までに学んだことの試験
9月 ■模擬SDVの実施
 ▼有害事象を中心に

■SDVに必要な基礎的医学知識、カルテ用語
 ▼泌尿器系
 ▼「7月までに学んだことの試験」で弱かった領域、項目の復習
10月 【このあたりで、実際のモニタリング報告書等をチェックし、SOP通りにSDVを実施しているかを確認する。】

■GCP試験&解説
 
▼時々、このようなことを実施し、知識を復習する。また、模擬SDVばかりの研修にも飽きるので、たまには目先の変わったことをやる意味もある。

■SDVに必要な基礎的医学知識、カルテ用語
 ▼小児科系
11月 【先月、実際のモニタリング報告書、SDV記録書を確認し、問題が発見されたら、それに対応する研修を行う。】

■SDVの事例研修
 ▼実際にSDVを実施して、問題となった事項や困った事例をグループで検討してもらう。

■SDVに必要な基礎的医学知識、カルテ用語
 ▼循環器系
12月 ■CRFを早く作成してもらうための研修
 ▼ロールプレーで医師、CRCに協力要請の練習

■SDVに必要な基礎的医学知識、カルテ用語
 ▼感染症系
1月 ■模擬SDVの実施
 ▼必須文書を中心に

■SDVに必要な基礎的医学知識、カルテ用語
 ▼12月までに学んだことの試験
2月 ■模擬SDVの実施
 ▼コメント欄を中心に

■SDVに必要な基礎的医学知識、カルテ用語
 ▼2回の試験で点数の悪かった領域の復習(1)
3月 【このあたりで、実際のモニタリング報告書等をチェックし、研修成果を確認する。】

■GCP試験&解説


■SDVに必要な基礎的医学知識、カルテ用語
 ▼2回の試験で点数の悪かった領域の復習(2)


以上のような感じでいかがでしょう?
少なくとも、半年に1回は研修内容を再検討しましょう。
必要に応じて、監査からの指摘、SOPの改訂、通知類、最近の実地調査事例報告などを適宜、追加します。



1.年間計画 2.レベル別カリキュラムの作り方
3.超短期(8週間)モニター育成方法 4.カリキュラム見直しのポイント

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